オブザーバビリティ・エンジニアリング

オブザーバビリティエンジニアリング

オブザーバビリティ・エンジニアリングの表紙
ネットワーク
著者:
Charity Majors / Liz Fong-Jones / George Miranda / 大谷 和紀 / 山口 能迪(チャリティ メジャース / リズ フォン ジョーンズ / ジョージ ミランダ / オオタニ カズノリ / ヤマグチ ヨシフミ)
出版社:
オライリー・ジャパン
出版日:
2023年01月27日
ISBN:
9784814400126
在庫:
在庫あり
3(4 件 / 楽天ブックス)
中級者向け
LANネットワークKubernetesDevOpsマイクロサービスソフトウェアアーキテクチャSRE監視ロギングメトリクストレーシングシステム設計

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言及数
87位
総合182位 ↓ 10 ランクダウン 言及 49 件・うち記事 28 件を掲載
出版前出版日04820222023202420252026

書籍紹介

現代の情報システム運用/設計に必須の「オブザーバビリティ」を根底から解説!
本書は DevOps から SRE へのムーブメント、Kubernetes などの技術スタック、マイクロサービスアーキテクチャなどの設計プラクティスの中でほぼ登場する単語「オブザーバビリティ (可観測性)」に関する書籍です。オブザーバビリティとは何か、どのように役立つものかなどについて、登場の背景から実践方法、組織、企業への適用といった幅広い視点で紹介します。本書は今後、より一般化するオブザーバビリティを知るために必須の書籍となるでしょう。

技書の森解説

『オブザーバビリティ・エンジニアリング』 (Charity Majors、Liz Fong-Jones、George Miranda 著、大谷 和紀、山口 能迪 訳、オライリー・ジャパン、2023 年 1 月刊) は、システムの内部で何が起きているかを、事前に想定していなかった問いに対しても外から調べられる状態をどう作るかを、考え方から計装、組織への定着まで通して解説した書籍です。原書は Observability Engineering で、版元の紹介では、オブザーバビリティ (可観測性) とは何か、どのように役立てるのかを、登場の背景から実践方法、組織や企業への適用まで幅広い視点で解説すると説明されています。ダッシュボードとアラートを整えても障害の原因に素早くたどり着けないと感じている、分散システムの開発者や運用担当者に向いた一冊です。

全 5 部 22 章の構成、基礎から大規模運用と組織の文化まで

本文は 5 部 22 章で、前に本書への賞賛、まえがき、序文、後ろに訳者あとがきと索引が付きます。第 Ⅰ 部 オブザーバビリティへの道 (1 章〜4 章) は、オブザーバビリティの数学的定義から始め、メトリクスとモニタリングによるデバッグとの違い、カーディナリティとディメンションの役割、Parse でのスケーリングの教訓、DevOps や SRE、クラウドネイティブとの関係を扱います。第 Ⅱ 部 オブザーバビリティの基礎 (5 章〜9 章) は、構造化イベントを構成要素に据え、メトリクスや従来のログの限界を確かめたうえで、イベントをトレースにつなぐ方法、OpenTelemetry を使った計装 (コードベースの例を用いた計装を含む)、イベントの解析、モニタリングとの関係へ進みます。第 Ⅲ 部 チームのためのオブザーバビリティ (10 章〜14 章) は、チームへの適用、オブザーバビリティ駆動開発、サービスレベル目標の活用と SLO ベースのアラート、Slack の事例を含むソフトウェアサプライチェーンの章、第 Ⅳ 部 大規模なオブザーバビリティ (15 章〜18 章) は、作るか買うかの投資判断、効率的なデータストア、サンプリング戦略、パイプラインによるテレメトリー管理、第 Ⅴ 部 オブザーバビリティの文化を拡大する (19 章〜22 章) は、ビジネス事例、利害関係者と協力者、成熟度モデルを扱います。概念の説明から始めて、個人の計装、チームの運用、規模とコスト、組織の文化へと視野を広げていく流れと読めます。

モニタリングでは足りなくなる理由、カーディナリティと事前集計

従来のモニタリングは、何を見るべきかを事前に決め、その値をメトリクスとして集計し、しきい値を超えたら知らせる仕組みです。既知の故障の型には強い一方で、集計の時点で個々のリクエストの文脈が失われるため、特定の顧客や特定のビルド、特定の地域の組み合わせだけで起きる問題には、あとから切り口を足して調べることができません。ユーザー ID やリクエスト ID のように取りうる値の種類が非常に多い属性 (高カーディナリティ) は、時系列のメトリクスでは扱いにくく、ここを扱えるかどうかが調査の速さを分けます。そこで、1 つのリクエストの処理をたくさんの属性を持つ 1 つのイベントとして記録し、それをトレースの単位でつないで、後から任意の属性で絞り込み、比較できるようにする、という発想が出てきます。ログを 構造化ログ に置き換えることはその入り口ですが、何を 1 つのイベントとして書き出すかという設計が伴わなければ、検索しやすいだけのログにとどまります。計装の標準として OpenTelemetry が広く採られるようになったことで、こうしたデータを特定の製品に縛られずに集めやすくなりました。ただし詳細なイベントをすべて保存すると費用が膨らむため、どのデータを残しどれを間引くかというサンプリングの判断が、大規模な運用では避けて通れなくなります。本書の第 Ⅳ 部は、まさにこの費用と精度の釣り合いを主題にしていると読めます。

SLO ベースのアラートと、読む前に持っておきたい前提

運用の面で効いてくるのは、第 Ⅲ 部の サービスレベル目標 とアラートの章です。個々の症状ごとにしきい値を置くアラートは、鳴りすぎて無視されるか、肝心な時に鳴らないかのどちらかに陥りがちで、利用者から見た信頼性の目標と、その目標に対する余裕の減り方を基準に知らせる考え方は、オンコールの負担を下げる手段として知られています。読み進めるには、Web サービスやマイクロサービスの運用に触れた経験と、メトリクスやログ、ダッシュボードを使った障害調査を一度は経験していることが前提になります。7 章の計装や 17 章のサンプリング戦略のコード化といった例はあるものの、目次を見る限り特定の監視製品の操作手順を順に追う構成ではないため、ツールの設定方法を一から知りたい段階の人には遠回りに感じられるかもしれません。DevOps の流れの中でこの本をどこに置くかは、DevOps の技術書の選び方 で前後に読む本と合わせて確認できます。

障害のたびに経験豊富な人の勘に頼った調査が続いているチームや、監視ツールの費用とデータ量の増え方に悩み、作るか買うかの判断材料を探している立場の人にとって、本書は考え方の土台から組織への広げ方までを一続きで示してくれる一冊です。自分のチームが成熟度モデルのどこにいるかを確かめながら読めば、次に投資すべき場所が見えやすくなります。

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この本は技書デッキのカードです (備え 9) 図鑑でこの本を見る

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