ソーシャルメディア・プリズムの表紙

ソーシャルメディア・プリズム(ソーシャルメディアプリズム)

SNS はなぜヒトを過激にするのか?

著者:
クリス・ベイル/松井信彦(クリスベイル/マツイノブヒコ)
出版社:
みすず書房
出版日:
2022年06月03日頃
ISBN:
9784622090830
在庫:
在庫あり
★★★☆☆3.43(10 件)
中級者向け
ソーシャルメディア分析データサイエンス心理学政治的部族主義誤情報ネットワーク分析行動研究社会学データビジュアライゼーションアルゴリズム

なぜ注目されているか

総合
878
6 ランクダウン

書籍紹介

「本書は、データに基づく解決策が私たちを崖っぷちから救い出してくれるという希望を与えてくれる」
J ・ゴルベック (『サイエンス』誌)

「エコーチェンバーが作用しているという仮説に、スマートかつ魅力的に挑戦している」
F ・ブルニ (『ニューヨーク・タイムズ』紙)

「ベイルによる発見は、社会の成り立ちについての興味深い結論を教えてくれる」
N ・ヘラー (『ニューヨーカー』誌)

「われわれのチームは、何千何万というソーシャルメディア・ユーザーの複数年にわたる行動を記述した億単位のデータポイントを収集してきた。自動化されたアカウントを使って新実験を行ったり、外国による誤情報キャンペーンが与える影響について先駆けとなる調査を実施したりしてきた」
「その真実とは、ソーシャルメディアにおける政治的部族主義の根本原因が私たち自身の心の奥底にあることだ。社会的孤立が進む時代において、ソーシャルメディアは私たちが自身をーーそして互いをーー理解するために使う最重要ツールのひとつになってきた。私たちがソーシャルメディアにやみつきなのは、人間に生得的な行動、すなわち、さまざまなバージョンの自己を呈示しては、他人がどう思うかをうかがい、それに応じてアイデンティティーを手直しするという行動を手助けしてくれるからである。ソーシャルメディアは、各自のアイデンティティーを屈折させるプリズムなのだーーそれによって私たちは、互いについて、そして自分についての理解をゆがめられてしまう」 (本文より)

計算社会科学 Computational Social Science の最先端を走る研究者が、政治的分極化への処方箋を提示する。

1 エコーチェンバーの伝説

エコーチェンバーについてのエコーチェンバー

分極化に向ける新たなレンズ

2 エコーチェンバーを壊したらどうなのか?
エコーチェンバーを壊す

悪いボット、良いボット

謎の解明

3 実際に壊すとどうなるか?
群れることを習うパティー

ジャネット

正しいことはいい気分

ハードリセット

4 ソーシャルメディア・プリズム
大して合理的ではない大衆

ソーシャルメディアとステータス追求

プリズムの威力

5 プリズムが過激主義をあおる仕組み
孤独な荒らしたち

あなたの知らない荒らし

過激主義というカルト

プリズムから映し出される過激主義

6 プリズムは穏健派を“ミュート”する
穏健な大多数

過激主義者との遭遇

失うものが多すぎる穏健派

穏健派の抱く絶望感

穏健派の不在

7 アカウントを削除すべきか?
離れられない理由

プラットフォームが独力では私たちを救えないわけ

私たち次第

8 プリズムをハックする
認識のずれを狭める

プリズムを見て取る

プリズムを通して自分を見る

プリズムを壊す

9 より良いソーシャルメディア
コロナ時代のソーシャルメディア

新手のプラットフォーム

目的を定めたプラットフォーム

付録 調査手法
ボットを使った量的な実験

ボットを使った質的な実験

シミュレーションされたソーシャルメディア・プラットフォーム実験

謝辞
索引/原注/参考文献

技書の森解説

SNS が社会の分断を深めている、という主張は広く語られています。しかし本書の著者クリス・ベイルは、デューク大学の計算社会科学者として実験データを用いてその通説に疑問を投げかけます。対立する政治的立場のアカウントを意図的にフォローさせる大規模実験を実施し、「異なる意見に触れればかえって態度が硬直化する」という反直感的な結果を示したことで注目を集めた研究が本書の核です。

議論の重心は「なぜ人は SNS 上で極端になるのか」にあり、その答えを情報の偏りだけでなくアイデンティティの構築欲求に求めます。プラットフォームのアルゴリズムよりも、自己像を強化したいという人間の心理に焦点を当てる点が、技術決定論的な類書と異なる視座です。

学術書としての厳密さを保ちながら、訳文は平易で読みやすく仕上がっています。テクノロジー批評としてだけでなく、社会心理学の入口としても機能する一冊で、ネット空間の対立構造を感情論ではなくデータで考えたい読者に向いています。

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