人工知能を作るの表紙

人工知能を作る(ジンコウチノウヲツクル)

ラズベリー・パイからはじめる身の回り AI 実験

ハードウェア
著者:
小池 誠/鎌田 智也(コイケ マコト/カマタ トモヤ)
出版社:
CQ出版
出版日:
2018年10月01日頃
ISBN:
9784789847056
シリーズ:
ボード・コンピュータ・シリーズ
在庫:
在庫あり
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書籍紹介

本書では,ラズベリー・パイ (Raspberry Pi) や Arduino,Jetson などのコンピュータ・ボードを使った人工知能 (AI) の作り方を紹介しています.

※本書の各記事は,「 Interface 」に掲載された記事を再編集したものです.

技書の森解説

人工知能を「使う」のではなく、手元の小さなコンピュータで「作って動かす」ことから学ぶ実験集です。『人工知能を作る ラズベリー・パイからはじめる身の回り AI 実験』は小池誠氏と鎌田智也氏の著書で、 CQ 出版のボード・コンピュータ・シリーズの 1 冊として 2018 年に刊行されました。 B5 判の誌面で、 Raspberry Pi (ラズベリー・パイ) や Arduino 、 Jetson といったコンピュータ・ボードを使った AI の作り方を扱います。各記事は同社の組み込み技術誌 Interface に掲載された記事の再編集で、雑誌の実験記事ならではの「実際に作って動かした記録」という手触りが本書の性格を決めています。

全 5 部の構成: キュウリ選別から Jetson まで

構成は全 5 部です。第 1 部「ディープ・ラーニングでラズパイ人工知能を作る」は、 Google のオープンソース AI ライブラリ TensorFlow をラズパイで使えるようにするところから始まり、キュウリの自動選別コンピュータを題材に、設計方針の決定、撮影台の製作と学習用データの作成、学習の実行、判定、ラズパイへの搭載、そして判定処理の高速化改良までを段階を追って進めます。第 2 部「軽くて高速なラズパイ人工知能を作る」はサカナの観察&飼育コンピュータを題材に、ディープ・ラーニング 方式と、計算量が少なく強力なサポート・ベクタ・マシン (SVM) 方式を比較しながら、オープンソースの LIBSVM ライブラリの使い方や、いちばん手間のかかる学習データベースの作り方までを扱います。第 3 部「人工知能を作るためのソフトウェア」は道具側の整理で、人工知能ソフト事典、 TensorFlow ・ Caffe ・ Chainer ・ Keras ・ Theano といったライブラリの見取り図、クラウド API での体験、 TensorFlow による顔認識までを収めます。第 4 部「ラズパイ×クラウドで人工知能を作る」では大手クラウドの AI サービスを見渡し、ラズパイとカメラで作る AI 日記、顔写真から血液型を当てる実験、数百円で使えるクラウド GPU 、異音判定の Web API 化を扱い、第 5 部「手のひら GPU ボードで人工知能を作る」で NVIDIA Jetson TX1 による画像認識の音声ガイド製作まで到達します。

読みどころ: 教科書が省く泥臭い工程

この本の価値は、機械学習の入門書が省きがちな工程を省かない点にあります。 AI の学習は「データを集めて前処理し、学習させ、実環境に組み込む」という流れで成り立ちますが、教科書の多くは整備済みのサンプルデータから始めるため、実物を相手にする一番泥臭い部分が見えません。キュウリをどの角度から撮るか、学習用画像をどう揃えるか、ほこりや土の舞う環境にどう組み込むかという本書の記事は、まさにその見えない部分の記録です。しかも推論は手元のボードで動かし、計算の重い学習はクラウド GPU やクラウド API に任せるという使い分けまで実験で示されるため、電子工作と機械学習の交差点に立つ読者にとって具体的な手本になります。

2018 年刊の注意点と本書の効き目

読む際は 2018 年刊という時点を押さえてください。 TensorFlow をはじめとするライブラリの API やインストール手順、ボードの世代は刊行時点のもので、掲載コードをそのまま動かす には読み替えが必要な場面があります。本書の効き目は 逐語的な写経 よりも、課題設定からデータ作り、学習、組み込みまでの工程全体を通しで追体験できることにあり、その流れ自体はライブラリの版が変わっても古びません。また、誤差逆伝播の数理やアルゴリズムの理論的導出を学ぶ本ではないので、理論は教科書で別途補う前提の実践側の一冊です。

向いている読者: 手を動かして作り切る人

向いているのは、ラズパイや Arduino での電子工作の経験があり AI を組み合わせてみたい人、農作業や生き物の世話といった身の回りの課題を自動化してみたい人、そして自分のデバイスで動く AI を一度作り切ってみたい人です。逆に、理論から順に学びたい人 や、業務システムでの機械学習運用を学びたい人には別の本が向きます。手を動かす人にとっては、身近な題材で「 AI を作る」を最後までやり切る道筋を見せてくれる、実験心をくすぐる一冊です。

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