なぜ注目されているか
総合2993位 ↓ 24 ランクダウン
技書の森解説
学会誌ほど硬くなく、一般の商業誌ほど広く浅くもない。特定の技術体系を看板に掲げた専門誌には、その中間の情報が集まります。『 TRONWARE 』はまさにそういう媒体で、 TRON 系技術を専門に扱ってきました。本書は通巻 108 号、パーソナルメディアから 2007 年 11 月に刊行された号です。
TRON プロジェクトの面白さは、組込み機器の奥深くで動くリアルタイム OS の話と、街や生活空間のあらゆるモノに計算機能を埋め込むユビキタスコンピューティングの話が、一つの思想でつながっている点にあります。 2007 年という時期は、後者の構想が実証実験などの形で社会に出ていった時代にあたり、 OS の技術論だけでは捉えきれないプロジェクトの広がりを、こうした専門誌が橋渡ししていました。本誌を読む価値は個別記事の情報だけでなく、この視野の広さに触れられることにもあります。
読みこなすには組込みシステムかその周辺分野の土地勘があるのが望ましく、入門書代わりに手に取る号ではありません。一方で、 2007 年秋の時点で TRON 界隈が何を論じていたかを確かめたい調査目的には、刊行年月が明確なバックナンバーこそが頼りになります。技術史の資料として本棚に収まる種類の一冊です。