メタバース さよならアトムの時代

メタバース/サヨナラアトムノジダイ

メタバース さよならアトムの時代の表紙
IT / 数学
著者:
加藤 直人(カトウ ナオト)
出版社:
集英社
出版日:
2022年04月05日頃
ISBN:
9784087880755
在庫:
在庫あり
3.83(42 件 / 楽天ブックス)
初級者向け
VRARメタバースNFTWeb3.0ゲーム開発デジタル資産社会影響未来技術哲学

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言及数
478位
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書籍紹介

2022 年最注目キーワード〈メタバース〉が一番よくわかる教科書。
GAFAM がしのぎを削る現状から、VR の歴史や背後の思想、そして驚きの未来像まで、メタバースに関わるすべてを網羅!

「世界を変える 30 歳未満 30 人の日本人」 (Forbes JAPAN) に選出された、メタバースプラットフォーム cluster 創業者が幻視する、人類が物質 (アトム) の束縛から解き放たれる未来とは?

【目次】
第 1 章 メタバースとは何か

伝説的小説『スノウ・クラッシュ』/一世を風靡した「セカンドライフ」/メタバース 7 つの条件/8 つ目の条件は「身体性」/世界的大ヒットゲーム「フォートナイト」/MMORPG との違いは「自己組織化」/フェイスブックの大きな賭け etc.

第 2 章 メタバース市場とそのプレイヤーたち
ゲーム業界と SNS 業界の戦い/デジタル資産・NFT の活用先/実現可能な『ハリー・ポッター』の魔法/究極のネイティブ広告/ノーコード・ツールとしての「どうぶつの森」/Web3.0 を牽引するイーサリアム etc.

第 3 章 人類史にとってのメタバース
「計算」は身体と深く結びついている/「数学を数学する」という挑戦/人間と機械を融合する「サイバネティクス」/知性とはパターンを見つけること/現実はすでに「圧縮」されている/情報を動かすバーチャリティの時代/主役はアトムからデータへ交代 etc.

第 4 章 VR という技術革命
VR 発展の 3 つのフェーズ/画期的な 89 年の「アイフォン」/VR の 3 大技術要素/オキュラスの快進撃/デバイス技術をオープンソースに/2016 年の新機種旋風/VR デバイスの驚異的な進化スピード etc.

第 5 章 加速する新しい経済
ゲーム・イベント・エロ/VR・AR でやる必要がないこと/世界初の有料 VR ライブ/アーカイブ機能はタイムマシンである/メタバースの第 1 次 & 第 2 次産業/NFT によるクリエイターの復権/遊べば遊ぶほど稼げる未来 etc.

第 6 章 メタバースの未来と日本
"面倒くさい"コミュニケーションの歴史/デジタル世界で「体を重ねる」/メタバース・ファーストな都市/コラボして建造するメタバースのピラミッド/日本のストロングポイント etc.

【プロフィール】
加藤直人 (かとう・なおと)

クラスター株式会社 代表取締役 CEO。

1988 年大阪府生まれ。京都大学理学部にて宇宙論と量子物性論を研究。京都大学大学院理学研究科修士課程中退後、約 3 年間のひきこもり生活を過ごす。

2015 年にスタートアップ「クラスター」を起業。2017 年に VR プラットフォーム「cluster」を公開。

cluster は現在アバターを用いたコミュニケーションやオンラインゲームの投稿などができるメタバースプラットフォームへと進化している。

技書の森解説

『メタバース さよならアトムの時代』 (加藤直人 著、集英社、2022 年 4 月刊、四六判 272 ページ) は、プログラミングや実装手順を扱う技術書ではなく、メタバースという言葉の中身を歴史 / 市場 / 思想 / 技術 / 経済の面から俯瞰する一般向けのノンフィクションです。著者は刊行時点の版元プロフィールでクラスター株式会社 代表取締役 CEO と紹介され、2015 年にスタートアップ「クラスター」を起業し、2017 年に VR プラットフォーム「cluster」を公開した事業の当事者です。版元は本書をメタバースの教科書と位置づけ、著者が Forbes JAPAN の「世界を変える 30 歳未満 30 人の日本人」に選出されたことにも触れています。技術者にとっては、VR や NFT といった個別技術が社会の中でどう束ねられて語られているかを知る読み物として役立ちます。

全 6 章の構成、小説『スノウ・クラッシュ』から日本の強みまで

構成は全 6 章です。第 1 章「メタバースとは何か」は小説『スノウ・クラッシュ』や「セカンドライフ」、「フォートナイト」を手がかりに、メタバース 7 つの条件と、8 つ目の条件として挙げる「身体性」、MMORPG との違いを整理します。第 2 章「メタバース市場とそのプレイヤーたち」ではゲーム業界と SNS 業界の戦い、デジタル資産 / NFT の活用先、Web3.0 とイーサリアムを扱い、第 3 章「人類史にとってのメタバース」は計算と身体の結びつきやサイバネティクスを経て「主役はアトムからデータへ交代」という書名につながる論点へ進みます。第 4 章「VR という技術革命」は VR 発展の 3 つのフェーズ、VR の 3 大技術要素、オキュラスの快進撃、2016 年の新機種旋風といったデバイスの歩みを追い、第 5 章「加速する新しい経済」は世界初の有料 VR ライブや NFT によるクリエイターの復権など経済面を、第 6 章「メタバースの未来と日本」はメタバース・ファーストな都市や日本のストロングポイントを論じます。目次にコードや API の項目は無く、概念と歴史の読み物として一貫しています。

技術書との接点、VR デバイスと NFT を支える仕組み

技術者が本書を読む価値は、個別技術の背景を社会の文脈に置き直せる点にあります。VR 体験が成立するには、頭の動きを追うトラッキング、視野を覆うディスプレイと光学系、酔いを避けるための低遅延な描画がそろう必要があり、2010 年代に Oculus 系デバイスが登場して以降、スマートフォン向けに量産された小型パネルや慣性センサーの恩恵で価格と性能の壁が急速に下がりました。本書が第 4 章で扱う「VR 発展の 3 つのフェーズ」や「2016 年の新機種旋風」は、この技術史を事業者の視点で語り直したものです。第 2 章と第 5 章に出てくる NFT は、ブロックチェーン 上でトークンの一意性と所有履歴を記録する仕組みで、イーサリアムのようなスマートコントラクトを備えた基盤の上で動きます。本書はその実装ではなく「デジタル資産の活用先」や「クリエイターの復権」といった用途と経済圏の側から論じるので、技術を知る読者ほど、自分の知識が事業の言葉でどう翻訳されるかを確かめる読み方ができます。

ビジネス書として読む前提と、著者の展望の受け止め方

前提知識は不要で、ビジネスパーソンや学生がメタバースの全体像を知る入り口として読める本です。ただし著者はメタバースプラットフォームを運営する事業の当事者であり、「人類が物質 (アトム) の束縛から解き放たれる未来」や第 5 章の「遊べば遊ぶほど稼げる未来」は、著者が描く展望として受け取るのが適切です。市場の描写は刊行時点である 2022 年の状況を前提としているため、その後のプラットフォーム各社の動きは別の資料で補う必要があります。Unity や WebXR で空間を実装したい人、ヘッドセットの技術仕様を比較したい人、批判的な学術分析を求める人には本書は向きません。

メタバースや VR に関わる企画や事業検討を任された人、VR とゲームの歴史を一冊でまとめて押さえたい人、そして非技術者の同僚とメタバースについて議論するための共通言語を欲しい技術者には、272 ページで概念 / 歴史 / 経済を一望できる本書は投じた時間の回収が早い選択です。メタバースという言葉に半信半疑の人ほど、当事者の論理を一度通して読んでおく価値があります。

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