マシンビジョン

マシンビジョン

マシンビジョンの表紙
AI / 機械学習
著者:
石井 明 / 斉藤 文彦(イシイ アキラ / サイトウ フミヒコ)
出版社:
コロナ社
出版日:
2008年06月12日頃
ISBN:
9784339045260
シリーズ:
ロボティクスシリーズ 15
在庫:
在庫あり
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書籍紹介

マシンビジョンとは, 知能機械システムが外界の状況変化に適応した知的な動作制御をしたり, 対象の認識・計測を行うための視覚情報処理技術である。本書は大学の 1 セメスタで扱える範囲の基本的で実用に即した技術を中心にまとめた。

技書の森解説

工場の外観検査やロボットの視覚で使われる画像の技術を、撮像の段階から 3 次元の計測まで一冊で通して学ぶための大学の教科書です。『マシンビジョン』 (石井 明、斉藤 文彦 著、コロナ社、2008 年 7 月刊) はロボティクスシリーズの第 15 巻で、版元の紹介文はマシンビジョンを「知能機械システムが外界の状況変化に適応した知的な動作制御をしたり, 対象の認識・計測を行うための視覚情報処理技術」と定義し、本書を「大学の 1 セメスタで扱える範囲の基本的で実用に即した技術を中心にまとめた」ものと説明しています。

全 7 章の構成、照明と光学系からステレオ計測まで

第 1 章「マシンビジョンとその構成」は画像形成、画像解析、機構系との関係という全体像を示し、第 2 章「照明・光学系の基礎」は光の属性、照明系、撮像光学系を扱います。第 3 章「画像のディジタル表現と変換」はフーリエ級数とフーリエ変換、標本化定理、離散的フーリエ変換です。第 4 章「画像の補正と強調」は濃度の変換、ヒストグラムの均等化、シェーディング補正から、平滑化、鮮鋭化、エッジの検出へ進みます。第 5 章「画像特徴の抽出」は 2 値化の手法と、ラベリング、距離変換と骨格化、細線化、モルフォロジー処理などの 2 値画像の解析、第 6 章「形状の計測と認識」はテンプレートマッチング、特徴パラメーター法、決定木法と Hough 変換を取り上げます。最後の第 7 章「3 次元ビジョンシステム」は透視投影系と平行投影系、同次座標表現、カメラキャリブレーション、ステレオ法による 3 次元座標計測とパターン投影法です。第 1 章から第 7 章までのすべての章に章末問題があり、巻末に章末問題解答が付きます。

画像処理の前に照明とレンズを学ぶ意味

画像処理の手法は撮像された画像を入力として動きますが、検査や計測の現場では、照明とレンズで決まる入力画像の質が後段の処理の成否を左右します。傷や異物は照明の当て方しだいで強く浮かび上がりもすれば、ほとんど写らなくもなり、被写界深度が足りなければ対象の一部がぼけ、レンズの収差は寸法の計測値をゆがめます。第 2 章は光の明るさと放射量、スペクトルと表色、偏光と反射、屈折現象、複屈折、回折、散乱と光の拡散を取り上げたうえで、光源と照明形態の特性、カメラのイメージサイズ、レンズの公式、開口絞り、解像力、被写界深度、収差を扱います。画像の補正や特徴の抽出を学ぶ前に、撮像の条件を設計する側の知識を固めておけるのが本書の構成の特徴です。

2 値化、Hough 変換、カメラキャリブレーションという古典の手法

第 5 章が挙げる 2 値化の手法には、固定しきい値法、モード法、判別分析法、微分ヒストグラム法、P-タイル法、局所 2 値化法があります。判別分析法は大津の方法としても知られ、濃度ヒストグラムを 2 つのクラスに分けたときのクラス間の分散が最大になるしきい値を選ぶ手法で、照明のむらが大きい画像では局所 2 値化法のように場所ごとにしきい値を変える考え方が要ります。Hough 変換は、画像上の点が通り得る直線を媒介変数の空間に投票し、多くの票を集めた直線を検出する手法で、線が途切れていたり雑音が混じっていたりしても検出が崩れにくいことが特長です。第 7 章のカメラキャリブレーションは、焦点距離や画像中心のようなカメラの内部パラメーターと、カメラの位置と向きを表す外部パラメーターを求める工程で、同次座標を使うと世界座標から画像座標への投影を行列の積で表せます。これらの手法の多くは OpenCV などの画像処理ライブラリに関数として用意されており、ライブラリを使う場合でも、しきい値の決め方や投影モデルを原理から理解しておくと、パラメーターの調整や誤差の原因の切り分けがしやすくなります。深層学習 で画像を認識する構成を採る場合も、カメラの投影モデルや照明の設計は学習の外側で決める事柄です。

画像検査やロボットの視覚に関わる人に合う教科書

本書は 2008 年刊で、目次には深層学習の章や、プログラミング言語やライブラリの使い方を扱う章はありません。学習済みのモデルを動かす手順や、特定のライブラリのコードを手早く知りたい人には別の本が合います。一方で、外観検査や寸法計測の装置を設計する技術者、ロボット工学や機械工学を学ぶ学生で、照明と光学系、画像の補正、2 値化と形状の認識、カメラの投影モデルとステレオ計測までを一続きの原理として押さえたい人にとっては、章末問題と解答で理解を確かめながら全体を見渡せる一冊です。画像処理のライブラリを使ってみて、パラメーターの意味が分からないまま調整を重ねている人ほど、手元に置く価値があります。

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