サウンドプログラミング入門
サウンド プログラミング ニュウモン
音響合成の基本と C 言語による実装
- 著者:
- 青木直史(アオキ, ナオフミ)
- 出版社:
- 技術評論社
- 出版日:
- 2013年03月
- ISBN:
- 9784774155227
- シリーズ:
- Software Design plus シリーズ
- 在庫:
- 在庫あり
なぜ注目されているか
書籍紹介
サンプリング、サイン波、フーリエ変換、ディジタルフィルタ、PSG 音源、アナログシンセサイザ、FM 音源、PCM 音源。音を作る原理を C 言語のプログラムで体験学習。
技書の森解説
『サウンドプログラミング入門』 (青木直史 著、技術評論社 (Software Design plus シリーズ)、2013 年 2 月刊) は、コンピューターでシンセサイザのようにさまざまな音を作り出す仕組みを、C 言語のプログラムとともに学ぶ書籍です。副題は音響合成の基本と C 言語による実装で、版元の概要は、加算合成や減算合成といった基本的な音作りの仕組みに加えて、音響合成の代表的な方式として PSG 音源、アナログシンセサイザ、FM 音源、PCM 音源を取り上げると説明しています。ゲーム機や電子楽器の音がどのような計算で生まれているのかを、実際に動くコードで確かめたい人に向いた一冊です。
全 12 章の構成、サンプリングの基礎から 4 つの音源方式まで
第 1 章はサンプリング、標本化、量子化、WAVE ファイルといった基礎知識で、第 2 章から第 4 章はサイン波を鳴らし、重ね合わせ、周波数特性を分析する流れです。第 4 章ではフーリエ変換、窓関数、スペクトログラム、高速フーリエ変換を扱います。第 5 章の加算合成と第 7 章の減算合成のあいだには、FIR フィルター、IIR フィルター、DFT フィルターを扱う第 6 章が置かれ、第 7 章は音声合成やボコーダにも触れます。第 8 章から第 11 章は PSG 音源、アナログシンセサイザ、FM 音源、PCM 音源と方式ごとに分かれ、ゲームミュージックや効果音、LFO や ADSR、変調指数、タイムストレッチやピッチシフト、ADPCM といった題材が並びます。最後の第 12 章はリアルタイム処理で、サウンドデバイスとサウンドドライバー、録音と再生、ボイスチェンジャを取り上げ、どの章にも末尾にコラムが 1 本付いています。
音を数値の列として扱う考え方と音響合成の方式
デジタルの音は、空気の振動を一定の間隔で測った値の並びです。1 秒あたりに測る回数が扱える周波数の上限を決め、1 回の値を何段階で表すかが雑音の小ささを決めます。この 2 つを押さえると、音を作るとは配列に値を書き込むことであり、音を加工するとはその配列に計算を施すことだと見通せます。音響合成の方式は、その計算の組み立て方の違いです。サイン波を足し合わせる加算合成、倍音を多く含む波形からフィルターで成分を削る減算合成、ある波形で別の波形の周波数を揺らして複雑な倍音を生む FM 方式、録音した波形を読み出して鳴らす PCM 方式は、計算の手間と音色の自由度の釣り合いがそれぞれ異なります。C 言語 で配列とループを直接書く形は、こうした計算が 1 サンプルごとに何をしているのかを隠さずに見せるため、ライブラリの関数を呼ぶだけでは見えにくい中身をつかむ助けになります。
Windows と C 言語の前提、2013 年の開発環境
版元の概要によると、本書はフリーの コンパイラー として Borland C++ Compiler 5.5 を使い、Windows 環境さえ用意すれば手軽に試せる形になっています。2013 年時点の環境を前提にしているため、別のコンパイラーや OS で動かす場合は、ビルドの手順やサウンドデバイスまわりを自分の環境に合わせて読み替える場面を想定しておくと安心です。C の文法、とくに配列と関数の扱いに慣れていることが前提になり、フーリエ変換やフィルターのように数式を伴う題材もあるため、三角関数や複素数の初歩に触れたことがあると理解が早くなります。版元は対象として「コンピュータを使って音を作り出すテクニックを実際に動作するプログラムで学びたい方」を挙げています。
一方で、DAW の操作や作曲の方法、既製のプラグインの使い方を知りたい人には目的が合いません。目次に並ぶのは音を作る原理とその実装であり、音楽制作の手順や、Web やスマートフォン向けの音楽アプリを作る方法は含まれていません。
PSG 音源のピコピコした電子音や FM 音源の金属的な響きが、どの計算から生まれるのかを自分の手で確かめたい人、音響合成の方式を名前だけでなく実装として理解したい人にとって、本書は方式ごとに章を追いながら原理と実装を結びつけられる一冊です。
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