科学技術計算のための Python 入門
カガク ギジュツ ケイサン ノ タメノ パイソン ニュウモン
開発基礎、必須ライブラリ、高速化
- 著者:
- 中久喜健司(ナカクキ, ケンジ)
- 出版社:
- 技術評論社
- 出版日:
- 2016年09月22日頃
- ISBN:
- 9784774183886
- 在庫:
- 在庫あり
なぜ注目されているか
書籍紹介
科学技術計算を強力サポートする Python のエコシステムの今を知り、より効率的な研究 / 開発を実現する。研究 / 開発に使える基本文法から実践テクニックまでこの 1 冊で!
技書の森解説
『科学技術計算のための Python 入門』は、実験やシミュレーションに Python を使い始める理工系の学生やエンジニアに向けて、言語の基本から NumPy、SciPy、Matplotlib、pandas、プログラムの高速化までを 1 冊で扱う入門書です。著者は中久喜健司で、技術評論社から 2016 年 9 月 22 日に発売されました。副題は「開発基礎, 必須ライブラリ, 高速化」です。版元は本書を「科学技術計算向けの、Python の実践的な入門書」と紹介しています。版元の概要によれば、冒頭でロケットシミュレータの作成場面を想定し、コーディングの基礎からデバッグやテストまでの具体的な流れを平易に示す構成です。
全 12 章と付録 3 本、Python の位置づけから高速化まで
第 1 章「科学技術計算と Python」で言語の特徴と科学技術計算での位置づけを示したあと、第 2 章「ゼロからのシミュレータ開発」はロケットシミュレータ PyRockSim を題材に、設計、機能分割とファイル分割、コーディング、静的コード解析、単体テスト、デバッグ、プログラムの最適化という作業の流れを順にたどります。第 3 章「IPython と Spyder」で対話型の開発環境を整え、第 4 章「Python の基礎」、第 5 章「クラスとオブジェクトの基礎」、第 6 章「入力と出力」で言語の基本を固めます。第 7 章から第 10 章は NumPy、SciPy、Matplotlib、pandas を 1 章ずつ取り上げ、第 11 章「プログラムの高速化」と第 12 章「プログラム高速化の応用例」で締めくくります。巻末には参考文献と学習リソース、組み込み関数と標準ライブラリ、NumPy の関数リファレンスの 3 本の付録が付きます。
SciPy の実践例と、高速化の章が示す道筋
第 8 章の実践の節には、統計分布関数、離散フーリエ解析、ボード線図、データの内挿、デジタル信号フィルターの設計、行列の分解の項が並び、統計や信号処理、制御の分野で使う計算を SciPy でどう書くかを確かめられます。第 11 章はボトルネックの解消とプロファイラの活用を扱い、処理の並列化の節では GIL、SIMD、マルチスレッド、マルチプロセスの項が続きます。第 12 章は Cython と自作の C/C++ ライブラリの活用に続いて、JIT コンパイラーの利用の節で Numba と Numexpr を取り上げます。
Python のように実行するまで変数の型が決まらない言語では、数値計算の繰り返しをそのまま書くと、インタープリタが要素ごとに型を確かめながら処理を進めるため遅くなりがちです。配列の演算をまとめてライブラリに渡せば、繰り返しはコンパイル済みのコードの中で済むので、同じ計算でも大きく速くなる場面があります。ブラウザーの JavaScript エンジンや Java の仮想マシンが速さを得ているのも、よく通る処理を 実行時に機械語へ変換する 工夫によるものです。どの手段を選ぶにしても、先にどこが遅いのかを測るのが順序です。測らずに書き換えると、手間のわりに効果が出ないことがよくあります。
これから Python を使い始める理工系の読者に
版元の「こんな方にオススメ」は、想定読者を、これから科学技術計算やエンジニアリングに Python を使い始めてみようと考えている方々とし、例として Python で科学技術計算を行ってみたい方、ハイパフォーマンスプログラミングの基礎知識を学びたい方、文法に加えて実際的なプログラム構築法を学びたい方などを挙げています。第 4 章は Python をはじめて学ぶ人のための章と案内されているので、Python の経験が無くても入れます。版元ページのプロフィール (2026 年 10 月の閲覧時点の掲載) によれば、著者は東京大学工学部航空宇宙工学科と同大学院を 2000 年に卒業したあと三菱電機に入社し、空力、航法、制御系の設計に携わるエンジニアで、研究と開発の業務では C 言語や MATLAB、Perl も使っています。
刊行は 2016 年で、第 1 章には Python 2 系と Python 3 系を扱う項があります。Python の開発者は 2020 年 1 月 1 日をもって Python 2 を終了し、それ以降はセキュリティの問題が見つかっても改善しないと案内しています。前付けに動作確認に使用した OS と Python のバージョンを記した節があるので、手元の環境との差を確かめ、ライブラリの説明は各ライブラリの公式の文書と突き合わせながら読むのが安全です。数値解析の理論や誤差の扱いそのものを学びたい場合や、機械学習のライブラリを使いたい場合は、目次にその題材の章が無いため別の本が向きます。
研究室や開発の現場で、実験データの処理やシミュレーションを Python に移したいと考えている人にとって、開発の進め方、必須ライブラリ、高速化の 3 つを 1 冊で通して押さえられる本書は、最初に手元へ置く 1 冊として元の取れる入門書です。
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