直感 生成 AI

チョッカンセイセイエーアイ

ハンズオンで動かして学ぶ拡散モデル入門

直感 生成 AI の表紙
プログラミング
著者:
Omar Sanseviero / Pedro Cuenca / Apolinario Passos / Jonathan Whitaker / 江川 崇(オーマル サンセビエロ / ペドロ クエンカ / アポリナリオ パソス / ジョナサン ウィッティカー / エガワ タカシ)
出版社:
オライリー・ジャパン
出版日:
2025年12月16日頃
ISBN:
9784814401406
在庫:
在庫あり
0
初級者向け
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書籍紹介

Transformer モデルと拡散モデルによる生成 AI をハンズオン形式で詳説!
最先端の生成 AI を、手を動かしながら体得できる入門書。テキスト・画像・音声・動画といった幅広い生成 AI の基本から、ファインチューニングやモデル評価などの応用までを、わかりやすく体系的に解説します。複雑な理論や高度な数学には深入りせず、事前訓練済みモデルとオープンソースライブラリを活用し、実際にコードを動かしながら学習可能。豊富なサンプルコードと解説を通じて、生成 AI の仕組みを直感的に理解できます。専門知識がなくてもハンズオンで直感的に学べて、急速に進化する AI 時代を生き抜く実践力も身につけられる一冊です。

技書の森解説

テキストを書く言語モデルと、画像を描く拡散モデルは、別々の本で学ぶものだと思われがちです。『直感 生成 AI ハンズオンで動かして学ぶ拡散モデル入門』 (Omar Sanseviero、Pedro Cuenca、Apolinário Passos、Jonathan Whitaker 著、江川崇 訳、オライリー・ジャパン、2025 年 12 月刊) は、その両方を 1 冊で、しかも事前訓練済みモデルとオープンソースライブラリを実際に動かしながら学ぶハンズオン入門書です。原書は『Hands-On Generative AI with Transformers and Diffusion Models』で、版元は Transformer モデルと拡散モデルによる生成 AI をハンズオン形式で詳説する本と案内しています。扱う生成対象はテキスト / 画像 / 音声 / 動画に広がり、複雑な理論や高度な数学には深入りしないという方針が全体を貫きます。

全 10 章を 3 部構成で、Transformer から拡散モデルへ

本書は全 10 章を 3 部に分け、付録 3 本を添えた構成です。第 I 部「オープンモデルの実践的活用」は 1 章の生成メディア入門から始まり、2 章で Transformer (テキストのトークン化 / 確率の予測 / ゼロショット汎化)、3 章でオートエンコーダー / VAE / CLIP という情報の圧縮と表現、4 章で拡散モデル (反復的精緻化 / ノイズスケジュール / UNet)、5 章で Stable Diffusion と条件付き生成を扱います。第 II 部「生成モデルの転移学習」は 6 章が言語モデルのファインチューニング (インストラクション / アダプター / 量子化 / 評価)、7 章が Stable Diffusion のファインチューニング (DreamBooth / LoRA の訓練) です。第 III 部「さらなる理解のために」は 8 章でインペインティングや ControlNet などテキストから画像生成モデルの創造的応用、9 章で音声の生成、10 章でプリファレンス最適化 / 長いコンテキスト / Mixture of Experts (MoE) / 動画生成 / マルチモーダルといった急速に進歩する領域を概観します。付録は A オープンソースツール (Hugging Face スタック / ローカル推論 / デプロイツール)、B 大規模言語モデル のメモリ要件、C RAG です。

2 章から 9 章の章末に置かれたプロジェクト課題で「動かして学ぶ」

書名の「ハンズオン」は、目次の作りに具体化されています。2 章から 9 章まで、各章の終わりに「プロジェクト課題」が置かれ、言語モデルを用いたテキスト生成、セマンティック画像検索、拡散モデルの訓練、Gradio でのインタラクティブな ML デモの構築、検索拡張生成、SDXL 向け DreamBooth LoRA の訓練、エンド・ツー・エンドの対話システムと、その章で学んだ部品を組み合わせて 1 つの成果物にする流れになっています。多くの章には演習と課題、参考文献も付き、版元サイトからサンプルコードが提供されているため、読んで終わりではなく手元で再現しながら進める設計です。1 章と 10 章にはプロジェクト課題が無く、前者は生成メディアの全体像と倫理的および社会的影響、後者は進歩の速い領域の見取り図という位置づけです。

反復的精緻化と潜在拡散、生成 AI を実装から理解する意味

生成 AI の学習で難しいのは、Transformer と拡散モデルという発想の異なる 2 つの仕組みが、実務では 1 つのシステムの中で組み合わさっている点です。Transformer はトークン列の次を確率的に予測する仕組みで、大規模な事前訓練を経ることでゼロショットや少数ショットの汎化を示すようになります。一方の拡散モデルは、ノイズだらけの状態から少しずつノイズを取り除いて画像を作る反復的精緻化を核にしており、Stable Diffusion では画像を圧縮した潜在空間で拡散を行って計算量を抑え、CLIP のようなテキストと画像を同じ空間に写す表現でプロンプトによる条件付けを実現します。本書が 3 章で圧縮と表現を先に扱い、4 章と 5 章でそこへ拡散と条件付けを積み上げる順序は、この構造をそのまま反映したものです。第 II 部の転移学習も、フルファインチューニングだけでなく LoRA のようなアダプター方式や量子化を扱うため、限られた GPU メモリで公開モデルを自分の用途に寄せる現実的な手順として読めます。

前提知識は控えめ、数式で理論を追いたい人には向かない

版元は、専門知識がなくてもハンズオンで直感的に学べると案内しており、複雑な理論や高度な数学に深入りしない方針と合わせて、機械学習を専門としてこなかったエンジニアが入りやすい設計です。ただし事前訓練済みモデルをコードで動かす本である以上、Python のコードを読み書きし、ライブラリの導入や GPU 環境の準備を自力でこなせることは事実上の前提になります。逆に、拡散モデルの目的関数や Transformer の理論を数式レベルで導出したい人、論文を追う土台として厳密な数理を求める人には、本書の「深入りしない」方針は物足りなく感じるはずです。また 2025 年 12 月刊という時点の性格上、登場するモデル名やライブラリの API は刊行後に変わり得るため、手順の細部は公開されたサンプルコードと突き合わせて進める前提で読むのが安全です。

類書との使い分けでは、LLM / 生成 AI 本の選び方 で整理しているように、仕組みを読み物として掴む本、実装で中身を理解する本、RAG やエージェント開発へ進む本という層があり、本書は 2 番目の「実装で理解する」層にあたります。その中でも、言語モデルに絞った実装書や画像生成に絞った解説書と異なり、テキスト / 画像 / 音声を横断して同じ部品 (トークン化 / 埋め込み / 条件付け / ファインチューニング) で扱う点が特徴です。

公開モデルを API 越しに呼ぶだけの段階から、モデルそのものを動かし、自分のデータで調整し、Gradio で人に見せられる形にまで持っていきたいエンジニアにとって、この 1 冊で得られる経験は投資に見合います。画像生成と言語モデルのどちらか一方だけを学んで、もう片方はブラックボックスのままという状態を解消したい人にこそ、両方を同じ手つきで動かす本書の構成は効きます。

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