知を再構築する 異分野融合研究のためのテキストマイニング

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知を再構築する 異分野融合研究のためのテキストマイニングの表紙
データサイエンス
著者:
内田 諭 / 大賀 哲 / 中藤 哲也(ウチダ サトル / オオガ トオル / ナカトウ テツヤ)
出版社:
ひつじ書房
出版日:
2021年07月20日頃
ISBN:
9784823410000
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中級者向け
テキストマイニング異分野融合研究データ解析自然言語処理研究手法データサイエンス情報学社会科学言語学ツール利用

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書籍紹介

本書は異分野融合研究を実践するための方法論としてテキストマイニング (TM) に着目し、その基本的な仕組みや実際の研究事例を示したものである。基礎編では TM の理論や手法等を紹介し、実践編では言語学、情報学、政治学、社会学、看護学、環境学など多様な分野の新進気鋭の研究者が、それぞれの分野における TM の実践的な研究例を提示する。

執筆者: 石田栄美、伊豆倉理江子、内田諭、大賀哲、加藤朋江、金岡麻希、川端亮、木下由美子、清野聡子、田中省作、土屋智行、中藤哲也、永崎研宣、畑島英史、秦正樹
第 1 部 基礎編

第 1 章

異分野融合研究のためのテキストマイニング 

内田諭・大賀哲・中藤哲也

第 2 章
テキストマイニングにおけるデータ 

中藤哲也

第 3 章
データ加工ーテキストマイニングのための方法 

大賀哲・石田栄美・金岡麻希

第 4 章
テキストマイニングのためのツール 

内田諭

第 2 部 実践編
第 5 章 言語学

構文の探索手段としてのテキストマイニング 

土屋智行

第 6 章 情報学
論文のトピック分析による研究者のつながりのマイニング 

田中省作

第 7 章 図書館情報学
図書・書誌データを対象としたテキストマイニング

石田栄美

第 8 章 政治学
3 つのイズム (ism) と争点態度の比較研究

大賀哲・秦正樹

第 9 章 教育学
教育現場でのテキストマイニング導入による授業の評価と改善の試み

畑島英史・清野聡子

第 10 章 社会学
新聞報道にみる「チェルノブイリ」

加藤朋江・大賀哲

第 11 章 看護学
生体肝移植ドナーの語りと看護への示唆

ーグラウンデッドなテキストマイニング・アプローチによる分析

伊豆倉理江子・金岡麻希・木下由美子

第 12 章 社会調査
ライフヒストリーにおける言葉のあいまいさの活用

川端亮

第 13 章 デジタル・ヒューマニティーズ
仏教学向け全文テクスト DB の構築・運用から垣間見えるテクストデータ構築の課題

永崎研宣

終章
異分野融合研究に向けて

大賀哲・内田諭・中藤哲也

技書の森解説

言語学、政治学、看護学のように、問いも資料もまったく異なる分野でテキストマイニングがどう研究の方法として使われているかを、1 冊の中で並べて確かめられる編著です。『知を再構築する 異分野融合研究のためのテキストマイニング』は内田諭、大賀哲、中藤哲也の 3 名が編者を務め、2021 年 7 月にひつじ書房から刊行されました。版元の紹介文は、異分野融合研究を実践するための方法論としてテキストマイニングに着目し、その基本的な仕組みと実際の研究事例を示した本と位置づけています。執筆者は編者を含む 15 名で、英文書名は Reshaping Academic Fields: Text-mining for Interdisciplinary Research です。

基礎編 4 章、データと加工とツールから入る構成

本書は第 1 部「基礎編」、第 2 部「実践編」、終章「異分野融合研究に向けて」で構成されています。基礎編は第 1 章「異分野融合研究のためのテキストマイニング」から始まり、第 2 章「テキストマイニングにおけるデータ」、第 3 章「データ加工―テキストマイニングのための方法」、第 4 章「テキストマイニングのためのツール」と続きます。

テキストマイニングは、文章のままでは数えられない資料を、語の出現や語どうしの共起といった数えられる形に置き換えて分析する方法です。日本語の文章は単語の切れ目に空白が無いため、形態素解析で語に分け、表記のゆれをそろえ、分析に使わない語を除くといった加工を経て、ようやく集計や可視化に進めます。この下ごしらえは 自然言語処理 の技術に支えられていますが、どの語を同じものとみなし、何を除くかは研究の問いによって変わります。基礎編の第 2 章から第 4 章は、この分析前の工程をデータ、加工、ツールの順に扱う章題になっています。

実践編 9 章、言語学からデジタル・ヒューマニティーズまで

第 2 部の実践編は第 5 章から第 13 章までの 9 章で、章ごとに分野名が冠されています。第 5 章の言語学「構文の探索手段としてのテキストマイニング」と第 6 章の情報学「論文のトピック分析による研究者のつながりのマイニング」に始まり、図書館情報学、政治学、教育学、社会学、看護学、社会調査と続いて、第 13 章のデジタル・ヒューマニティーズ「仏教学向け全文テクスト DB の構築・運用から垣間見えるテクストデータ構築の課題」で終わります。章題に表れる資料も、図書 / 書誌データ、新聞報道、生体肝移植ドナーの語り、ライフヒストリーと分野ごとに異なります。第 11 章の副題に「グラウンデッドなテキストマイニング・アプローチによる分析」とあるように、質的研究の考え方とテキストマイニングを組み合わせる章も含まれます。

語の頻度表や共起の図は、それ自体が答えではありません。どの語の結びつきに意味があるかを読み取るのは、その分野の問いと資料の文脈を知る研究者です。数えることで読み手の思い込みを確かめ直せる一方、数えにくい文脈を取りこぼす危険もあるため、一般の データ分析 と同じく、手法と解釈の往復が欠かせません。分野の異なる 9 章を並べた本書では、その往復を分野ごとに見比べられます。版元の編者紹介によると、刊行時の編者は九州大学の准教授 2 名 (内田諭は認知意味論とコーパス言語学、大賀哲は国際政治学と国際人権論と多文化共生が研究テーマ) と中村学園大学の准教授 (中藤哲也はテキストマイニング、情報抽出、文字列照合が研究テーマ) で、編者の顔ぶれそのものが分野をまたいでいます。

自分の分野でテキストを数えたい研究者への手がかり

紹介文が示すとおり本書の主眼は方法論と研究事例なので、自分の研究資料にテキストマイニングを使えるかを検討している研究者や大学院生は、他分野での使い方を見比べられます。一方、特定の分析ソフトの操作を画面に沿って覚えるための本ではありません。版元は第 1 章を HTML と PDF で公開しているので、問題設定の書き方が自分の関心に合うかを先に確かめてから選べます。手元にインタビュー記録や新聞記事、論文の抄録のような文章の資料を抱え、それを数える視点で読み直したい人に向く一冊です。

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