情報技術が拓く人間理解

ジョウホウギジュツガヒラクニンゲンリカイ

情報技術が拓く人間理解の表紙
ハードウェア
著者:
仁科 エミ / 辰己 丈夫(ニシナ エミ / タツミ タケオ)
出版社:
放送大学教育振興会
出版日:
2020年03月20日頃
ISBN:
9784595322150
シリーズ:
放送大学教材
在庫:
在庫あり
0
中級者向け
データサイエンスビッグデータIoT人工知能ライフログ技術遺伝子研究脳科学イメージング技術人間行動分析学習環境デザイン

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986位

書籍紹介

情報通信技術の進展は、私たちの社会生活を大きく変貌させ、そのなかで生きる人々の思考・行動にも大きな影響を及ぼしている。IoT 環境、ライフログ技術、ビッグデータ、人工知能など情報通信技術に関する新しい技術とその可能性、社会的有用性、そしてそれらが人間および社会に及ぼす影響についての知識を深める。同時に、遺伝子研究や脳における情報処理についての知見を紹介し、人間と情報環境との関わりについて考察する。
1.科目の全体像 2.遺伝情報の基本原理 3.遺伝情報からの人間理解 4.生命体のなかでの情報の働き 5.イメージング技術が描き出す脳内情報伝達 6.視聴覚情報メディアの発展と人間の応答 7.非言語行動に着目した会話インタラクションの理解 8.ライフログ技術を使った社会活動の理解と活用 9.博物館・美術館での情報技術の利用と展開 10.人間の学習行動と学習環境のデザイン 11.人間を理解するためのロボット 12.データサイエンス・ビッグデータ 13.データクレンジング・人工知能の登場と倫理 14.人工知能の活用と人間理解 15.まとめと展望

技書の森解説

遺伝子の情報、脳の活動、会話のしぐさ、日々の行動の記録、そして人工知能。『情報技術が拓く人間理解』 (仁科 エミ、辰己 丈夫 編著、放送大学教育振興会 (放送大学教材)、発売 NHK 出版、2020 年 3 月 20 日発売) は、こうした題材を情報という一つの軸で結び、情報技術の側から人間を理解する手がかりを探る放送大学の教材です。版元の紹介文は、IoT 環境、ライフログ技術、ビッグデータ、人工知能などの新しい技術が人間と社会に及ぼす影響についての知識を深めると同時に、遺伝子研究や脳における情報処理の知見を紹介し、人間と情報環境との関わりを考察すると説明しています。

15 項目の構成、遺伝情報と脳からデータと人工知能へ

目次は「科目の全体像」に始まり「まとめと展望」で終わる、1 から 15 までの番号を振った 15 項目です。2 番目からは「遺伝情報の基本原理」「遺伝情報からの人間理解」「生命体のなかでの情報の働き」「イメージング技術が描き出す脳内情報伝達」と、生命と脳を情報の観点から扱う項目が続きます。続いて「視聴覚情報メディアの発展と人間の応答」「非言語行動に着目した会話インタラクションの理解」「ライフログ技術を使った社会活動の理解と活用」「博物館・美術館での情報技術の利用と展開」「人間の学習行動と学習環境のデザイン」「人間を理解するためのロボット」が並び、「データサイエンス・ビッグデータ」「データクレンジング・人工知能の登場と倫理」「人工知能の活用と人間理解」を経て、最後の項目に至ります。

生命と脳を情報として捉える視点

情報技術の本というと計算機の仕組みやソフトウェアの作り方を思い浮かべがちですが、本書の項目の並びは、情報という概念を生命の側にも広げています。遺伝情報は塩基の並びとして書かれた情報であり、それを読み取って解釈する研究は、大量の配列を扱う計算と切り離せません。脳の活動を画像として計測する技術も、得られた信号をどう処理し、何を読み取るかという情報処理の問題を抱えています。人間を対象にした研究と情報技術が互いに道具と題材を提供し合う関係を、具体的な分野ごとに見渡せる点が、この構成の特徴です。

ライフログとデータ、人工知能の倫理まで

ライフログ技術やデータサイエンス、人工知能の項目は、人間の行動がデータとして記録される状況に関わる題材です。身の回りの機器がネットワークにつながる IoT の環境では、行動の記録が意識しないうちに大量に蓄積されます。それを分析して社会の理解に役立てる データサイエンス には、統計の手法だけでなく、欠けや誤りを含む生のデータを分析に使える形に整える作業が欠かせません。目次ではデータクレンジングと、人工知能の登場と倫理が 1 つの項目にまとめられています。データの質と使い方をどう判断するかは、人工知能 を社会で使う際の倫理の問題と地続きです。

向いている読者と、プログラミングの入門を探す人への注意

本書が合うのは、情報技術が人間の理解や社会にどう関わるのかを分野横断で見渡したい人です。生命科学、脳研究、メディア、ロボット、データ分析と、普段は別々の本で読む領域を 1 冊でつなげるため、情報系の学生が専門の外側に視野を広げる入り口にもなります。一方、プログラミングやデータ分析の手順を身につけたい人には、手を動かす内容を中心にした本のほうが目的に合います。人工知能の記述も 2020 年 3 月刊行時点の技術環境を前提にしている点は踏まえておく必要があります。情報技術と人間の関わりを、技術の作り方ではなく人間を知るための道具という角度から考えてみたい人にとって、題材の幅そのものが価値になる一冊です。

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