あたらしい脳科学と人工知能の教科書
アタラシイノウカガクトジンコウチノウノキョウカショ
- 著者:
- 我妻 幸長(アズマ ユキナガ)
- 出版社:
- 翔泳社
- 出版日:
- 2021年01月25日頃
- ISBN:
- 9784798164953
- シリーズ:
- AI & TECHNOLOGY
- 在庫:
- 予約受付中
なぜ注目されているか
書籍紹介
シンギュラリティ前夜!
脳科学と人工知能の接点がわかる!
【本書の概要】
本書は Udemy で大人気の講座、
『脳科学と人工知能: シンギュラリティ前夜における、人間と機械の接点』
をもとにした書籍です。
脳と人工知能のそれぞれの概要から始まり、
脳の各部位と機能を解説した上で、
人工知能の様々なアルゴリズムとの接点をわかりやすく解説。
脳と人工知能の、類似点と相違点を学ぶことができます。
後半の章では「意識の謎」についても解説します。
【シンギュラリティ】
また近年、人工知能の分野では「シンギュラリティ」という概念が注目されています。
シンギュラリティとは指数関数的に高度化する技術や人工知能が未来に人間の知能を凌駕するという概念ですが、
本書を読むことでそうしたシンギュラリティへの洞察力も養うことができます。
【対象読者】
・人工知能に強い関心があり、人工知能の背景にある天然の「知能」の仕組みについて知りたい方
・人工知能に関して、技術面以外の知識、特に生物学的側面を知りたいエンジニア
・人工知能の未来と、自身のキャリアを関連付けて考えたいビジネスマン
・素朴に、「ヒトって何?」という疑問のある方
・知性の本質をアルゴリズムで探究したい方
【著者プロフィール】
我妻幸長 (あづま・ゆきなが)
SAI-Lab 株式会社を起業。「ヒトと AI の共生」がミッション。
人工知能 (AI) 関連の研究開発、教育、アプリ開発が主な事業。
著者の YouTube チャンネルでは、無料の講座が多数公開されている。
技書の森解説
人工知能の入門書の多くはアルゴリズムや実装から入りますが、その背景にある天然の「知能」、つまり脳がどう情報を処理しているかを先に押さえ、そこから人工知能との接点を見ていく本は限られます。『あたらしい脳科学と人工知能の教科書』 (我妻幸長 著、翔泳社、2021 年 1 月刊) はその一冊で、翔泳社の AI & TECHNOLOGY シリーズから刊行されました。著者が Udemy で公開している講座『脳科学と人工知能: シンギュラリティ前夜における、人間と機械の接点』をもとにした書籍で、脳と人工知能のそれぞれの概要から始め、脳の各部位と機能を解説したうえで、人工知能のさまざまなアルゴリズムとの類似点と相違点を学ぶ構成です。著者は SAI-Lab 株式会社を起業し、ヒトと AI の共生をミッションに人工知能関連の研究開発、教育、アプリ開発を事業としており、YouTube チャンネルでも講座を無料公開しています。
全 7 章の構成、脳の構造から「意識」のシミュレーションまで
本文は Chapter 1 から 7 の全 7 章で、前に Preface (本書の対象 / 構成 / 読み方)、後ろに 2 つの Appendix が付きます。Chapter 1「脳科学と人工知能の概要」で両分野の概要と歴史を並べ、Chapter 2「脳の構造」では神経細胞とグリア細胞、脳の進化、大脳皮質の脳葉と機能局在および層構造、大脳辺縁系、大脳基底核、小脳、間脳と脳幹を順に見ます。Chapter 3「脳における演算と記憶」は神経細胞における演算、シナプスと神経伝達物質、神経細胞の種類、記憶のメカニズムを扱い、ここまでが脳側の土台です。Chapter 4「脳と人工知能」が接点の章で、人工ニューロンと人工ニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワークと視覚、強化学習、教師なし学習と大脳皮質、過学習と汎化能力という項目が並びます。Chapter 5 は意識の謎を探る章で、意識とは何か、意識はどこにあるのか、複雑ネットワーク、意識を扱う理論を取り上げ、Chapter 6 はアルゴリズムによる意識の探究に進み、脳を再現する試み、セル・オートマトン、トーラス上のニューラルネットワーク、恒常性と馴化の導入、投射と介在、興奮と抑制、ヘブ則の導入を経て、ネットワークに意識は宿るのかという問いに向かいます。Chapter 7「脳科学と人工知能の未来」は汎用人工知能は実現するのか、AI と倫理、脳と AI の共存で締め、Chapter 1 から 5 の各章末には小テスト、Chapter 7 には最終テストが置かれています。Appendix 1 はシミュレーションの実行方法で、付属データが版元サイトから配布されています。
人工ニューラルネットワークと脳の対応、似ている点と違う点
人工知能の技術を脳と並べて学ぶ意味は、モデルの設計判断に「なぜそうなっているか」の由来を与えられる点にあります。人工ニューラルネットワーク の最小単位である人工ニューロンは、入力に重みを掛けて足し合わせ、しきい値を超えたら出力するという神経細胞の単純化モデルとして生まれました。畳み込みニューラルネットワークは視覚の研究に着想を得た系譜を持ち、強化学習 は報酬をもとに試行錯誤で行動を改善する枠組みとして、生物の学習と対比しながら理解すると腑に落ちやすい分野です。一方で、深層学習 の学習を支える誤差逆伝播法のような仕組みは、脳がそのまま同じ計算をしているとは考えられておらず、類似点と同じくらい相違点を知ることが、人工知能の限界と可能性を見誤らないために役立ちます。本書の特徴は、この対比を解説で終わらせず、Chapter 6 でセル・オートマトンやヘブ則といった単純な規則を組み合わせたネットワークを実際に動かし、意識という主題にアルゴリズムの側から近づいてみせる点です。ヘブ則は同時に活動した素子どうしの結合を強める学習則で、学習アルゴリズムの原型として位置づけられる考え方であり、これを小さなシミュレーションで体験できる構成は、数式だけを追う学習とは違う手触りを与えます。
対象読者と前提知識、深層学習の実装書ではないという注意
版元が挙げる対象読者は、人工知能に強い関心があり背景にある天然の知能の仕組みを知りたい人、技術面以外の知識、特に生物学的側面を知りたいエンジニア、人工知能の未来と自身のキャリアを関連付けて考えたいビジネスマン、素朴に「ヒトって何?」という疑問のある人、知性の本質をアルゴリズムで探究したい人の 5 区分です。脳科学と人工知能のどちらにも専門知識は求められず、二つの分野の入口を一冊で見渡す位置づけの本と言えます。逆に、フレームワークを使って深層学習モデルを実装する手順や、数学的な導出を体系的に学ぶ本ではないため、実装力を上げたい人は本書を背景知識の補強として位置づけ、実装書や理論書を別に選ぶ方が目的に合います。系統別の選び方は ディープラーニング本の選び方 で整理しています。刊行は 2021 年 1 月で、シンギュラリティや汎用人工知能をめぐる議論は 2021 年時点の見取り図であり、2022 年以降に急拡大した大規模言語モデルの展開は範囲に含まれない点は踏まえて読む必要があります。
深層学習を使ってはいるものの、その設計が脳のどこに着想を得て、どこで脳から離れているのかを説明できないことに引け目を感じているエンジニア、人工知能の話題を技術面だけでなく「知能とは何か」という問いから捉え直したい人、そして意識という難問にアルゴリズムで手を伸ばしてみたい人には、投じた時間の回収が早い一冊です。脳の構造から人工知能の未来までを一つの流れで読み通せる本は少なく、両分野の橋渡しを求める読者にとって、本書は出発点として堅実な選択です。
言及した記事 (7 件)
ブックマークしてあった、データサイエンスなどの記事約1年分のリンク集(2018年5月ごろまで)
♡ 39Python, 機械学習, AI, 分析, データサイエンスセル・オートマトンで「脳」をシンプルに実装してみよう。その1 -セル・オートマトンとは?-
♡ 20人工知能, セル・オートマトン, 脳科学セル・オートマトンで「脳」をシンプルに実装してみよう。その5 -ヘブ則の導入-
♡ 7人工知能, セル・オートマトン, 脳, 脳科学セル・オートマトンで「脳」をシンプルに実装してみよう。その4 -恒常性と馴化-
♡ 6人工知能, セル・オートマトン, 脳, 脳科学『あたらしい人工知能の教科書』よんでみた
♡ 6人工知能セル・オートマトンで「脳」をシンプルに実装してみよう。その2 -セルの並べ方-
♡ 5人工知能, セル・オートマトン, 脳科学セル・オートマトンで「脳」をシンプルに実装してみよう。その3 -ニューロンの配置-
♡ 2人工知能, セル・オートマトン, 脳, 脳科学
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