インフォメーション

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情報技術の人類史

インフォメーションの表紙
コンピュータサイエンス / アルゴリズム
著者:
ジェイムズ・グリック / 楡井 浩一(グリック, J. (ジェイムズ) / ニレイ コウイチ)
出版社:
新潮社
出版日:
2013年01月25日頃
ISBN:
9784105064112
在庫:
在庫あり
4.33(12 件 / 楽天ブックス)
中級者向け
情報理論文明史科学史哲学コンピューター科学歴史的視点科学文芸情報社会認知科学文化研究

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書籍紹介

トーキング・ドラムからコンピュータまで、「情報」を操るあらゆる試みを見つめ直し、世界の本質を問い直すー壮大なスケールで描かれた、まったく新しい文明史。英国王立協会ウィントン科学図書賞 (2012 年)、PEN / E・O・ウィルソン科学文芸賞 (2012 年) 受賞。

技書の森解説

「情報」が工学の対象として測れるものになるまでに、人類がどのような道をたどってきたのかを、1 冊の文明史として描いた本です。『インフォメーション 情報技術の人類史』 (ジェイムズ・グリック 著、楡井 浩一 訳、新潮社、2013 年 1 月刊) は、原書 THE INFORMATION の日本語版です。版元の紹介文によると、アフリカ奥地のトーキング・ドラムに始まり、文字の発明や辞書製作、近代の計算機や遠隔通信技術の開発、そして現代の遺伝子解読や量子力学と情報理論の結合まで、情報を操る数多くの試みを見つめ直す内容で、英国王立協会ウィントン科学図書賞 (2012 年) と PEN/E・O・ウィルソン科学文芸賞 (2012 年度) を受けています。

全 15 章の構成、トーキング・ドラムから日々の報せまで

目次はプロローグと全 15 章、エピローグで、各章の題には括弧書きの副題が添えられています。1 章「太鼓は語る」で始まり、2 章「言葉の永続性」と 3 章「ふたつの単語集」、4 章「歯車仕掛けに思考力を投じる」、5 章「地球の神経系統」、6 章「新しい電線、新しい論理」と続いたあと、7 章が「情報理論」、8 章が「情報的転回」、9 章が「エントロピーと悪魔たち」です。後半は 10 章「生命を表わす暗号」、11 章「ミーム・プールへ」、12 章の乱雑性 (ランダムネス) を問う章、13 章「情報は物理的である」を経て、14 章「洪水のあとに」と 15 章「日々の新しき報せ」で終わり、エピローグの副題は「意味の復帰」です。巻末には謝辞、訳者あとがき、索引、注記 (抄)、参考文献が付きます。版元の紹介文の流れと章題を重ねると、7 章の情報理論を折り返し点にして、前半が伝える技術の歴史、後半が生命や物理へ広がる情報の概念を扱う並びと読めます。

ビットとエントロピー、シャノンの情報理論が変えたもの

情報理論は、伝えたい内容の意味には立ち入らず、受け手にとってどれだけ予測しにくいかで情報の量を測る考え方です。量の単位がビットで、ある情報源が平均してどれだけの情報を生むかを表す量がエントロピーと呼ばれます。この見方によって、通信路でどこまで効率よく送れるか、雑音があってもどこまで正しく伝えられるかを数量として扱えるようになり、データの圧縮や誤り訂正、さらには コンピューターサイエンス の多くの分野の土台になりました。版元のページに載る西成 活裕 氏の書評 (『波』2013 年 2 月号) は、本書の前半が、のろしによる伝達から電信、電話の発明へと、離れた相手に情報をどう伝えるかをたどる部分であること、シャノンが情報理論を作り上げるまでの逸話や、ゲーデル、チューリングといった科学者の人間像が盛り込まれていることを紹介しています。数式で学ぶと抽象的に見える概念が、どのような問題を解くために生まれたのかを人物の側から追える点が、本書の読みどころです。

遺伝子とミーム、物理へ広がる後半

10 章「生命を表わす暗号」と 11 章「ミーム・プールへ」の題が示すように、後半では情報の概念が通信の外へ広がります。書評は、ドーキンスの『利己的な遺伝子』が本書で紹介されていることにも触れています。13 章「情報は物理的である」は、版元の紹介文がいう量子力学と情報理論の結合に当たる章と題から読めます。著者は、版元のプロフィールによると 1954 年ニューヨーク市生まれで、著書の『カオス』はピューリッツァー賞の最終候補作となり、著書は 20 以上の言語に翻訳されています。

版元はこの本をビジネス / 経済の IT のジャンルに置いていますが、プログラミングや情報理論の計算を演習で身につけるための教科書ではなく、文明史として書かれた読み物です。符号化や通信、データの量を日々扱っているエンジニアが、自分の使っている概念がどこから来たのかを歴史の流れの中でつかみたい時に向いています。情報理論の式を解けるようになることが目的なら、教科書を別に用意し、本書はその背景を知るための 1 冊として並べて読むのが合っています。

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