基礎情報学のフロンティア

キソジョウホウガクノフロンティア

人工知能は自分の世界を生きられるか?

基礎情報学のフロンティアの表紙
AI / 機械学習
著者:
西垣 通(ニシガキ トオル)
出版社:
東京大学出版会
出版日:
2018年08月31日頃
ISBN:
9784130561167
在庫:
在庫あり
3(1 件 / 楽天ブックス)
中級者向け
人工知能情報倫理社会システム認知科学メディア研究ウェルビーイング情報論自律性思弁的実在論社会心理学

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書籍紹介

まえがき (西垣 通)

第 1 章 観察、創発、意識、そして人工知能ーー本書の導入にかえて (西垣 通)
第 2 章 社会システム・心的システム観察の二重性ーー社会心理学からの接近 (柴内康文・北村 智)

第 3 章 基礎情報学と社会調査研究の架橋可能性ーー社会心理学的メディア研究の視点からの接近 (北村 智・柴内康文)

第 4 章 ビッグデータ型人工知能時代における情報倫理ーー個人的次元 / 社会的次元の峻別と二重性に注目して (河島茂生)

第 5 章 ウェルビーイングの構成要素と情報技術による介入ーー基礎情報学的視点からの検討 (渡邊淳司)

第 6 章 情報の基としての贈与ーー「生命力中心主義」の情報論 (大井奈美)

第 7 章 階層的自律性の観察記述をめぐるメディア・アプローチ (原島大輔)

第 8 章 人工知能は自分の世界を生きられるかーー思弁的実在論からの考察 (西垣 通)

THE FRONTIER OF FUNDAMENTAL INFORMATICS: Can Artificial Intelligence Live in its Own World?
Toru NISHIGAKI, Editor

技書の森解説

『基礎情報学のフロンティア』 (西垣 通 編、東京大学出版会、2018 年 8 月 31 日発売) は、「人工知能は自分の世界を生きられるか?」を副題に掲げ、基礎情報学の立場から知能と情報の意味を問い直す論集です。版元の紹介は、人工知能の時代に「そもそも知能とはなにか」「情報とはなにか」という問いに日々直面することになったと述べ、メディア、創発性、意識、倫理などをめぐる問いから、基礎情報学という「知の冒険の尖端を実践する論集」と位置づけています。刊行時の版元ドットコムの著者紹介では、西垣 通は東京経済大学コミュニケーション学部教授、東京大学名誉教授です。英文書名は THE FRONTIER OF FUNDAMENTAL INFORMATICS です。

全 8 章の構成、観察と創発から思弁的実在論まで

目次はまえがきと全 8 章で、まえがき、第 1 章、第 8 章を編者の西垣 通が書いています。第 1 章「観察、創発、意識、そして人工知能」は副題が「本書の導入にかえて」です。第 2 章「社会システム・心的システム観察の二重性」 (副題「社会心理学からの接近」) は柴内康文と北村 智、第 3 章「基礎情報学と社会調査研究の架橋可能性」 (副題「社会心理学的メディア研究の視点からの接近」) は北村 智と柴内康文の共著です。第 4 章「ビッグデータ型人工知能時代における情報倫理」は河島茂生、第 5 章「ウェルビーイングの構成要素と情報技術による介入」は渡邊淳司、第 6 章「情報の基としての贈与」 (副題「「生命力中心主義」の情報論」) は大井奈美、第 7 章「階層的自律性の観察記述をめぐるメディア・アプローチ」は原島大輔の執筆です。第 8 章は書名の副題と同じ「人工知能は自分の世界を生きられるか」で、副題は「思弁的実在論からの考察」です。巻末には索引があります。

基礎情報学とシステム論、章の題材の背景

基礎情報学は、情報を機械の中で運ばれる記号としてだけでなく、生命体が自分にとっての意味を生み出す働きの側から捉え直す枠組みです。その土台にあるのが、生物を自分で自分を作り出し続ける閉じたシステムとして捉えるオートポイエーシスの考え方と、それを社会に広げた社会学者ニクラス・ルーマンの社会システム理論です。ルーマンの理論では、コミュニケーションの連鎖である社会システムと、意識の連鎖である心的システムが、互いに閉じたまま影響し合うものとして区別されます。第 2 章の章題にある社会システムと心的システムは、このルーマンの理論の用語です。

一方で、人工知能 の多くの実用例は、大量のデータから統計的な規則性を取り出す 機械学習 によって作られています。こうした仕組みは入力と出力の対応を精密に学べますが、扱う記号が当の機械にとって何を意味するのかという問いには、性能の数値だけでは答えられません。第 8 章の副題にある思弁的実在論は、人間の思考との関係から離れて事物そのものを考えようとする、2000 年代に現れた哲学の潮流です。

情報倫理、ウェルビーイング、贈与へ広がる論点

第 4 章はビッグデータ型人工知能の時代の情報倫理を主題にした章で、副題は「個人的次元 / 社会的次元の峻別と二重性に注目して」です。第 5 章は副題が「基礎情報学的視点からの検討」で、ウェルビーイングの構成要素と、情報技術による介入を扱います。第 6 章は贈与を情報の基として論じる章です。国立国会図書館の書誌では件名が情報科学、分類が NDC 007.04 です。本書は、西垣 通を編者に 7 名の執筆者が、観察と創発、社会心理学、情報倫理、ウェルビーイング、贈与、メディア・アプローチ、思弁的実在論の視点から人工知能と情報をめぐる問いを論じた 8 本の章を収めています。

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