リアリティ+(プラス) 上

リアリティプラスジョウ

バーチャル世界をめぐる哲学の挑戦

リアリティ+(プラス) 上の表紙
その他
著者:
デイヴィッド・J・チャーマーズ / 高橋 則明(デイヴィッド ジェイ チャーマーズ / タカハシ ノリアキ)
出版社:
NHK 出版
出版日:
2023年03月25日
ISBN:
9784140819364
在庫:
在庫あり
3.5(5 件 / 楽天ブックス)

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書籍紹介

この世界は本物か? 現代の代表的哲学者によるテクノロジーと「心の哲学」探求の最先端

私たちがいるこの世界は本物なのだろうか? それが「確か」だとなぜわかるのか?
テクノロジーが急速な発展を遂げるなか、古くて新しい哲学的難問があらためて問い直されているーー

現実 (リアリティ) とは何か、どのようにしてそれを知ることができるのか。「シミュレーション仮説」「可能世界」「水槽の中の脳」など、さまざまな思考実験を通じ、見えてくるものとは。

現代哲学の第一人者チャーマーズが、哲学とテクノロジーを大胆に融合させ、新しい現実 (リアリティ)、新しい世界観を提示する。

〈各氏絶賛!〉
虚実とテクノロジーが入り乱れ、いくつものリアリティが絡みあう世界で、私たちに必要なのは哲学だ。 --山本貴光 (文筆家・ゲーム作家)

うつし世 (リアル) は夢、仮想の夢 (シミュレーション) こそ真実 (まこと)

ーー読書猿 (独学者・作家)

哲学研究者・愛好家にとっても、舐読 (しどく) のうえで検討されるべき「必読書」だ。

ーー山口尚 (哲学者)

今こそ現実世界 (リアリティ) を拡張する哲学の冒険に乗り出そう。

ーー吉川浩満 (文筆家)

〈目次〉より
序章 テクノフィロソフィーの冒険

第 1 部 バーチャル世界に関する重要な問い

第 1 章 これは実在するのか?

第 2 章 シミュレーション説とは何か?

第 2 部 知識を疑う

第 3 章 私たちに知識はあるのか?

第 4 章 外部世界は本当にあるのか?

第 5 章 私たちはシミュレーションの中にいるのだろうか?

第 3 部 リアリティの定義

第 6 章 リアリティとは何か?

第 7 章 神はひとつ上の階層にいるハッカーなのか?

第 8 章 宇宙は情報でできているのか?

第 9 章 シミュレーションがビットからイット説をつくったのか?

第 4 部 VR テクノロジーがつくる現実世界

第 10 章 VR ヘッドセットは現実をつくり出すのか?

第 11 章 VR 機器は錯覚を生む機械なのか?

第 12 章 AR は真の実在なのか?

第 13 章 ディープフェイクにだまされないためには

序章 テクノフィロソフィーの冒険

第 1 部 バーチャル世界に関する重要な問い

第 1 章 これは実在するのか?

第 2 章 シミュレーション説とは何か?

第 2 部 知識を疑う

第 3 章 私たちに知識はあるのか?

第 4 章 外部世界は本当にあるのか?

第 5 章 私たちはシミュレーションの中にいるのだろうか?

第 3 部 リアリティの定義

第 6 章 リアリティとは何か?

第 7 章 神はひとつ上の階層にいるハッカーなのか?

第 8 章 宇宙は情報でできているのか?

第 9 章 シミュレーションがビットからイット説をつくったのか?

第 4 部 VR テクノロジーがつくる現実世界

第 10 章 VR ヘッドセットは現実をつくり出すのか?

第 11 章 VR 機器は錯覚を生む機械なのか?

第 12 章 AR は真の実在なのか?

第 13 章 ディープフェイクにだまされないためには

技書の森解説

私たちがいるこの世界は本物なのか、そしてそれが確かだとなぜ分かるのか。『リアリティ+(プラス) 上』 (デイヴィッド・J・チャーマーズ 著、高橋則明 訳、NHK 出版、2023 年 3 月刊) は、この古くて新しい問いを、バーチャルリアリティ (VR) やコンピュータシミュレーションという技術を手がかりに考え直す哲学書で、副題は「バーチャル世界をめぐる哲学の挑戦」、原題 REALITY+ の邦訳を上下 2 巻に分けた上巻です。著者は版元プロフィールによれば 1966 年オーストラリア / シドニー生まれの哲学者 / 認知科学者で、ニューヨーク大学哲学教授と同大学の心 / 脳 / 意識センター共同ディレクターを務め、専門は心の哲学、認識論、言語哲学、形而上学、2015 年にジャン・ニコ賞を受賞しています。版元紹介文は本書を、現代哲学の第一人者が哲学とテクノロジーを大胆に融合させて新しい現実観を提示する一冊と位置づけています。

上巻の構成、序章と第 1 部から第 4 部までの 13 章で問うこと

上巻は序章「テクノフィロソフィーの冒険」に続く 4 部 13 章で構成されます。第 1 部「バーチャル世界に関する重要な問い」は第 1 章「これは実在するのか?」と第 2 章「シミュレーション説とは何か?」で出発点を据え、第 2 部「知識を疑う」は第 3 章から第 5 章で、私たちに知識はあるのか、外部世界は本当にあるのか、私たちはシミュレーションの中にいるのだろうかという懐疑の問いを順に扱います。第 3 部「リアリティの定義」は第 6 章「リアリティとは何か?」から第 9 章「シミュレーションがビットからイット説をつくったのか?」までで、リアリティという語の意味そのものと、宇宙は情報でできているのかという問いに踏み込みます。第 4 部「VR テクノロジーがつくる現実世界」は第 10 章から第 13 章で VR ヘッドセット、VR 機器と錯覚、AR、ディープフェイクを取り上げます。版元紹介文が挙げる思考実験は「シミュレーション仮説」「可能世界」「水槽の中の脳」で、目次の章題では「シミュレーション説」という訳語が使われています。上巻の範囲はここまでで、続きは下巻に収められています。

技術背景、VR やシミュレーションがなぜ現実の問いを鋭くするのか

哲学が長く扱ってきた「感覚が伝える世界は本物か」という懐疑は、感覚への入力を計算機で人工的に作り出せる技術が登場したことで、思考実験から工学的な現実へと近づきました。VR ヘッドセットは左右の目に別々の映像を描き、頭の動きに合わせて描画を更新することで、脳が受け取る視覚と運動の手がかりを一貫した仮想空間として成立させます。物理法則を計算で再現するシミュレーションが精密になれば、その内部に知的な存在が生じ得るかという問いが立ち、2003 年に哲学者ニック・ボストロムが提起したシミュレーション仮説は、私たち自身がそうした計算の内部にいる可能性を確率的に論じる形で議論の土台になりました。第 9 章の章題にある「ビットからイット説」は、物理的な実在 (イット) は情報 (ビット) から生じるという見方を指します。第 13 章のディープフェイクは、ディープラーニング にもとづく 生成 AI が本物と見分けにくい映像や音声を作り出せるようになった状況を背景にしており、何をもって実在と呼ぶかという問いが技術者にとっても実務上の問題になったことを示しています。

哲学書としての前提知識と、技術書の読者にとっての位置づけ

前提知識として哲学の専門教育は要りません。章題のほとんどが問いの形で並んでいることが示すとおり、本書は用語の暗記ではなく問いに付き合う根気を求める本で、VR や AR、シミュレーションといった題材そのものは技術に関わる読者にとってむしろ身近です。訳者の高橋則明氏は版元プロフィールによれば『フリー』『Think Simple』 (いずれも NHK 出版) などを訳した翻訳家で、一般読者向けの訳文で読めます。版元ドットコムの掲載情報では、刊行後の 2023 年に日本経済新聞、朝日新聞、毎日新聞の書評欄で取り上げられており、版元紹介文には山本貴光氏、読書猿氏、山口尚氏、吉川浩満氏の推薦文が添えられています。ただし本書は技術書ではなく、VR の実装方法やシミュレーションの作り方を学ぶ本ではありません。また上下巻の上巻であるため、議論の全体像と結論を求めるなら下巻まで読み進める前提で手に取る必要があります。

VR やシミュレーションの時代に現実を問い直したい人へ

元が取れるのは、VR や AR、メタバース、生成 AI の開発や企画に携わっていて、自分が作っている体験は本物の経験と呼べるのか、利用者にとって何が実在なのかという問いを、感覚論ではなく哲学の言葉で考えたい人です。シミュレーション仮説や水槽の中の脳といった思考実験を名前だけ知っている状態から、それらがどんな問いに答えるための道具なのかを一貫した筋道で理解できるようになる点が、この上巻のペイオフです。一方、手を動かして VR アプリケーションを作りたい人や、結論を手早く知りたい人には向きません。技術の意味を根本から考える時間を取れる人にとって、現代哲学の第一人者が VR を主題に据えた本書の上巻は、技術と哲学の接点に立つための確かな出発点になります。

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