情熱プログラマー

ジョウネツ プログラマー

ソフトウェア開発者の幸せな生き方

情熱プログラマーの表紙
エンジニアのキャリア / 思考
著者:
チャド・ファウラー / でびあんぐる(ファウラー, チャド / デビアングル)
出版社:
オーム社
出版日:
2010年02月
ISBN:
9784274067938
在庫:
在庫あり
4.18(54 件 / 楽天ブックス)

なぜ注目されているか

言及数
139位
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技書の森解説

プログラマとしての腕を磨くことと、職業人としてのキャリアを育てることは、重なりつつも同じではありません。『情熱プログラマー』は、その後者に正面から取り組んだ本で、副題は「ソフトウェア開発者の幸せな生き方」です。著者は Chad Fowler さん、監訳はでびあんぐるさんで、オーム社から 2010 年 2 月 26 日に発売されました。原書は The Pragmatic Programmers から 2009 年に出た The Passionate Programmer: Creating a Remarkable Career in Software Development で、版元によると、オーム社が 2006 年に刊行した『My Job Went To India オフショア時代のソフトウェア開発者サバイバルガイド』の改題改訂版にあたります。

市場選びから研鑽まで、全 5 章 53 項目の構成

本文は「イントロダクション」のあと、第 1 章「市場を選ぶ」、第 2 章「製品に投資する」、第 3 章「実行に移す」、第 4 章「マーケティング……スーツ族だけのものじゃない」、第 5 章「研鑽を怠らない」の 5 章に、通し番号付きの短い項目が 53 本並び、「楽しもう」で締めくくられます。章題の並びからは、自分のスキルを 1 つの製品に見立て、どの市場で売るかを決め、製品に投資し、仕事で成果を出し、周囲に知ってもらい、陳腐化しないよう手入れを続けるという、商品開発の流れになぞらえた組み立てと読めます。1 章には「需要と供給」「一番の下手くそでいよう」「万能選手になろう」「スペシャリストになろう」、2 章には「ビジネスの仕組みを学ぶ」「師匠を探す」「師匠になる」、3 章には「保守作業の真価を知る」「失敗する方法を学ぶ」といった項目が置かれています。

ビジネスの視点でキャリアを設計するという考え方

版元の紹介文が要点としているのは、プログラマはビジネスの視点を持って意識的にキャリアを開発すべきだという主張です。前身の書籍の題からは、ソフトウェア開発の仕事が海外へ移っていく 2000 年代の状況が背景にあると読み取れ、「コーディングはもう武器にならない」という 1 章の項目名にもその問題意識がうかがえます。言語やフレームワークの流行は数年単位で入れ替わり、同じ技術を扱える人が増えれば、その技術だけで差をつけることは難しくなります。そこで本書は、どの分野に身を置くか、どう学び続けるか、雇い主や顧客にとっての価値をどう示すかを、技術の習得と同じ重みで扱っていると読めます。2 章の「自動化によって仕事を確保する」や、4 章の「自作のコードをリリースしよう」「業界で名前を売ろう」のように、日々の開発の延長で取り組める項目が多い点も特徴です。繰り返しの作業を 自動化 して手を空けることも、OSS としてコードを公開して社外に実績を見せることも、技術者が自分の価値を高める手段として位置づけられていると読めます。

職業プログラマと学生に向く理由、2009 年の原書を読むときの注意

版元が想定する読者は、現役のソフトウェア開発者、職業プログラマを目指す学生、ソフトウェア開発者への転職を考えている人です。各項目が短く独立しているため、気になった章題から拾い読みしても話が通じます。注意したいのは、原書が 2009 年刊であることです。働き方や採用の仕組み、技術の名前など、時代に依存する部分は当時の状況として読み替える必要があります。一方で、市場を選ぶ、投資する、実行する、知ってもらう、研鑽を続けるという骨組みそのものは、特定の技術に依存しません。具体的なコーディング技法や設計手法を学びたい人には、『達人プログラマー』のような実践寄りの本のほうが目的に合います。

技術書を読むことがキャリアにどう効くのかは 技術書がエンジニアのキャリアを変える でも整理していますが、本書はその手前にある「何のために、どの方向へ伸びるのか」を考える材料になります。仕事に慣れて伸び悩みを感じている人や、転職や専門分野の選択を前に判断の軸を持ちたい人にとって、短い項目を 1 本ずつ自分の状況に当てはめながら読める本書は、手元に置いて読み返す価値のある 1 冊です。

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