働きたくないイタチと言葉がわかるロボット 人工知能から考える「人と言葉」の表紙

働きたくないイタチと言葉がわかるロボット 人工知能から考える「人と言葉」(ハタラキタクナイイタチトコトバガワカルロボット ジンコウチノウカラカンガエルヒトトコトバ)

著者:
川添愛/花松あゆみ(カワゾエアイ/ハナマツアユミ)
出版社:
朝日出版社
出版日:
2017年06月17日頃
ISBN:
9784255010038
在庫:
在庫あり
★★★★☆4.18(81 件)
初級者向け
自然言語処理人工知能マシンラーニングコンピュータサイエンス人間の認知言語理解AIのエthique技術と社会初歩的なAI物語形式の解説

なぜ注目されているか

総合
982
7 ランクダウン

書籍紹介

なぜ AI は、囲碁に勝てるのに、簡単な文がわからないの?

そもそも、言葉がわかるって、どういうこと?
中高生から大人まで「言葉を扱う機械」のしくみと、私たちの「わかり方」を考える。

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「つまり、僕らはロボットにしてほしいことを言うだけで、あとはロボットが勝手にやってくれる。それが一番いいってことだね」

「いいね。そうすれば、誰も働かなくてよくなるね」

イタチたちはみなこの計画にうっとりして、なんてすてきなのだろうと思いました。

(序章「ことの始まり」より)

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なんでも言うことを聞いてくれるロボットを作ることにしたイタチ村のイタチたち。彼らは、「言葉がわかる機械ができたらしい」といううわさを聞いては、フクロウ村やアリ村や、その他のあちこちの村へ、それがどのようなものかを見に行きます。ところが、どのロボットも「言葉の意味」を理解していないようなのですーー

この本では、「言葉がわかる機械」をめぐるイタチたちの物語と、
実際の「言葉を扱う人工知能」のやさしい解説を通して、

そうした機械が「意味がわかっていると言えるのか」を考えていきます。

はたして、イタチたちは何でもできるロボットを完成させ、ひだりうちわで暮らせるようになるのでしょうか?

ロボットだけでなく、時に私たち人間も、言葉の理解に失敗することがありますが、なぜ、「言葉を理解すること」は、簡単なように見えて、難しいのでしょうか?

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ーーいま、さまざまな人がさまざまな機会に、「言葉を理解する機械がとうとう完成した」とか「今はできていないけれど、もうすぐできるだろう」とか「機械には本当の意味で言葉を理解することはできない」ということを言っています。いったいどれが正しいのでしょうか?

ーー私たちは普段から、「あの人が何を言っているかが理解できた」とか「あの言葉の意味が分からない」ということをよく口にします。しかし、自分がそう言うとき、どんな意味で言っているか、きちんと意識しているでしょうか? 実際のところ、私たちはさまざまなことを、「言葉が分かる」という便利な表現の中に放り込んでしまっています。それらを一つひとつ取り出してみないことには、「言葉が分かっているかどうか」という問題に答えを出すことはできません。

ーーこの本では、「言葉が分かる」という言葉の意味を考えていくことで、機械のこと、そして人間である私たち自身のことを探っていきたいと思います。

ーー (問題の一部を知るだけでも) みなさんが、「人と機械の知性」について考えたり、またご自身の「言葉の使い方」や「理解の仕方」を振り返ったりする手がかりになると信じています。

(序章「ことの始まり」より)

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技書の森解説

「コンピュータが言葉を理解するとはどういうことか」。この問いに対して、数式もコードも使わず、動物たちの寓話で答えてみせるのが本書です。言語学者・川添愛氏が描く物語の中で、イタチたちは「働かなくて済むように」言葉を理解するロボットを作ろうとし、そのたびに言葉の曖昧さや文脈依存性という壁にぶつかります。読者はイタチと一緒に試行錯誤しながら、自然言語処理が扱う本質的な困難を体感していくことになります。

扱われるテーマは形態素解析、構文解析、意味の曖昧性、推論など、自然言語処理の教科書が数十ページかけて説明する概念群です。それを専門用語ではなく物語の展開として消化できる構成になっているため、プログラミング経験のない文系の方や、 AI に興味はあるが技術書に手が出ない方にとって格好の入口になります。一方で、すでに NLP を扱っているエンジニアが読んでも「なぜこの問題が難しいのか」を非専門家に説明する言葉が手に入るという別の価値があります。

物語形式ゆえに実装や数理には踏み込みませんが、「言葉を扱う技術がなぜ簡単ではないのか」を直感的に腑に落とすという一点において、類書にない強さを持つ一冊です。

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