情報通信ネットワーク

ジョウホウ ツウシン ネットワーク

情報通信ネットワークの表紙
ネットワーク
著者:
阪田史郎 / 井関文一(サカタ, シロウ / イセキ, フミカズ)
出版社:
オーム社
出版日:
2015年10月14日頃
ISBN:
9784274217975
シリーズ:
IT text
在庫:
在庫あり
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ネットワーク

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書籍紹介

情報通信ネットワークの基本と現在のネットワークの理解に必要な事項全般を解説
「IT Text」シリーズは情報処理学会編集の教科書として、大学や高専などでこの間一定の評価を得てきました。本書は大学の情報・理工系学部における情報通信ネットワークの教科書として、インターネットプロトコルを各層ごとに解説するとともに、無線ネットワークや QoS、セキュリティ、管理など、情報通信ネットワークの基本と現在のネットワークの理解に必要な事項全般を解説するものです。なお、インターネットプロトコルについては、利用に密着したアプリケーション層からデータリンク層へという流れで解説します。

1 章 情報通信ネットワークとインターネット

2 章 アプリケーション層

3 章 トランスポート層

4 章 ネットワーク層

5 章 データリンク層と LAN

6 章 物理層

7 章 無線ネットワークと移動体通信

8 章 ストリーミングと QoS 制御

9 章 ネットワークセキュリティ

10 章 ネットワーク管理

技書の森解説

『情報通信ネットワーク』 (阪田史郎 / 井関文一 / 小高知宏 / 甲藤二郎 / 菊池浩明 / 塩田茂雄 / 長敬三 著、オーム社、2015 年 10 月刊) は、情報処理学会が編集する教科書シリーズ「IT Text」の 1 冊で、大学の情報 / 理工系学部における情報通信ネットワークの教科書として書かれた本です。版元が想定する読者は情報 / 理工学系学部の 2 年生と 3 年生、それに情報処理 / ネットワーク関連の入門技術者で、インターネットプロトコルを層ごとに解説したうえで、無線ネットワーク、QoS、セキュリティ、ネットワーク管理まで、ネットワークを理解するのに必要な事項を一冊で扱います。書店やデータベースには滝根哲哉 著の同名書『情報通信ネットワーク』もあるため、探すときは著者名か ISBN で区別してください。

全 10 章の構成、アプリケーション層から物理層へ下りる順序

構成は全 10 章です。1 章で情報通信ネットワークとインターネットの全体像を示した後、2 章 アプリケーション層、3 章 トランスポート層、4 章 ネットワーク層、5 章 データリンク層と LAN、6 章 物理層と、利用者に近い上位層から下位層へ下りていく順序でインターネットプロトコルを解説します。版元はこの順序を、利用に密着したアプリケーション層からデータリンク層へという流れと説明しています。7 章以降は層の縦割りには収まらない主題で、7 章 無線ネットワークと移動体通信、8 章 ストリーミングと QoS 制御、9 章 ネットワークセキュリティ、10 章 ネットワーク管理と続き、通信の基礎から運用の入口まで一巡できる配列です。

上位層から学ぶ意味と、無線や QoS が難しい理由

ネットワークの教科書には、物理層から積み上げる順序と、アプリケーション層から下りる順序の 2 つの流儀があります。下から積み上げる方式は信号や符号化から始まるため、Web やメールという日常の体験にたどり着くまでが長く、動機を保ちにくいのが難点です。本書のように上から下りる方式では、ブラウザが名前解決をして HTTP でページを取りに行くという見える動作を出発点に、その通信が途中で欠けたらどう取り戻すのかをトランスポート層で、相手のネットワークまでどう届けるのかをネットワーク層で、同じケーブルや電波を共有する機器同士がどう譲り合うのかをデータリンク層で、と一段ずつ疑問を掘り下げる形になります。各層が自分の責務だけを果たし、下の層の実装を知らなくてよいという分業がインターネットの拡張性の源泉で、この分業を体で理解するのが学部段階の到達点です。一方、無線や QoS は層の縦割りで説明しにくい主題です。電波は有線と違って誤りや途切れが日常的に起きるため、下位層の損失を上位層の TCP 輻輳制御 が混雑と誤認して速度を落とすといった層をまたぐ相互作用が生じます。映像や音声のストリーミングでは、遅延や揺らぎを抑える QoS 制御が、本来はベストエフォートで設計された IP 網の上でどこまで可能かという問いになります。各層を一通り学んだ後にこれらを別章で扱う本書の配列は、この難しさに沿ったものと読めます。

学部 2、3 年向けの前提と、向かない読者 / 類書の使い分け

版元が学部 2 年生と 3 年生を対象に挙げていることから、1 年次の基礎科目程度の知識を前提と見てよいでしょう。講義用の教科書なので、コマンドを打ちながら機器を設定していく実習書でも、ネットワークスペシャリスト試験のような資格に照準を合わせた対策書でもありません。実務でルータやスイッチを扱う人が設定手順を求めて開くと期待と違い、逆に、なぜそう設計されているのかを原理から知りたい人には合います。2015 年刊のため、刊行後に広まった規格や製品動向は別の資料で補う前提で読んでください。同じオーム社の『マスタリング TCP/IP 入門編 第 6 版』は TCP/IP の各プロトコルを図解で解説する定番の入門書で、独学の最初の一冊としてはそちらの方が入りやすい一方、無線 / QoS / セキュリティ / 管理までを講義の骨格に沿って一冊で通し、講義と定期試験で問われる理論の土台を作るなら本書の守備範囲です。ネットワーク書を全体像の教科書、プロトコル各論、実務書の 3 段階で選ぶ考え方は ネットワーク本ガイド にまとめています。

元が取れるのは、講義の指定教科書として手にする学生に加えて、開発や運用の現場に入ったものの HTTP や TCP、IP、LAN の知識が断片的で、層のつながりを一度整理したい入門技術者です。読み終えると、障害や遅延の相談を受けたときにそれはどの層の問題かを切り分ける視点が持て、無線や QoS、セキュリティ、管理といった実務で必ず出会う主題を、基礎と同じ地図の上に置けるようになります。情報処理学会編集のシリーズとして書かれた教科書であり、製品名ではなく原理で語れる知識を身につけたい人にとって、時間を投じる価値のある一冊です。

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