情報リテラシー教科書 Windows 11/Office 2024 対応版

情報リテラシー教科書 Windows 11/Office 2024 対応版の表紙
その他
著者:
耒代 誠仁
ISBN:
9784274234378

なぜ注目されているか

総合927位

技書の森解説

大学や専門学校の初年次に置かれる情報リテラシー科目は、パソコンの基本操作、インターネットの安全な使い方、Word / Excel / PowerPoint の操作を一巡させる構成が定番です。『情報リテラシー教科書 Windows 11/Office 2024 対応版』 (耒代誠仁 監修、オーム社、2025 年 12 月刊、B5 判) は、その一巡をこの順番で一冊にまとめた教科書です。版元は「Windows 11 でのコンピュータ操作、Office 2024 活用などの基礎を学べる 1 冊」と位置づけ、パソコンやインターネットを使用するうえで身につけておくべき情報リテラシーの習得を目標に掲げています。前の版が存在し、本書はそれを Windows 11 と Office 2024 の環境に対応させた版です。

全 5 章の構成、PC の基礎から Office 操作へ

構成は監修のことばに続く全 5 章と巻末の索引です。第 1 章「パーソナルコンピュータの基礎」は Windows 11 の基本操作、マウスの使い方、キーボードと文字入力 (かな漢字変換、タッチタイピング、IME パッドによる手書き文字入力)、ファイルの保存 / 編集、パーソナルコンピュータの構成要素 (補助記憶装置、オペレーティングシステム、アプリとオフィススイート、クラウドサービス) を扱います。第 2 章「インターネット利用」はインターネットの仕組みと接続、Web 検索と Web 情報の信頼性、電子メールの仕組みと書き方、情報セキュリティ、情報モラル、情報社会の法律、情報技術の発展 (IoT と AI) まで進みます。第 3 章から第 5 章が Microsoft Word、Microsoft Excel、Microsoft PowerPoint の操作編で、Word は書式設定を基本編 / 応用編 / 発展編の三段階に分け、Excel は計算と関数から見やすい表の作成、グラフの利用、データベース、ピボットテーブルへ、PowerPoint はプレゼンテーションの基礎からスライド作成、スライドの組み立て、仕上げ、提示、印刷へと進みます。イントロダクションにはマンガページが置かれており、学生の学習意欲を沸かせる工夫として版元が挙げている要素です。

Excel の参照方式やピボットテーブルまで、教科書が段階を踏む理由

Office の操作を教科書で学ぶ意味は、ボタンの位置を覚えることではなく、道具の背後にある考え方を順序立てて身につけることにあります。Excel を例にすると、第 4 章は数式と関数の入力の直後に相対参照 / 絶対参照 / 複合参照を置き、AVERAGE や IF といった基本の関数を経てから、RANK.EQ、COUNTIF、SUMIF、IF 関数の入れ子、AND と OR、VLOOKUP、MATCH と INDEX という段階へ進みます。参照方式の理解が先にあるからこそ、数式をコピーしたときに何が動いて何が固定されるのかを説明でき、その理解の上に条件付き書式、テーブルの並べ替えと抽出、ピボットテーブルが積み上がります。Word でも段落の設定や表の作成から、箇条書き、脚注、図表番号の挿入、スタイルの設定へと進む配列で、レポートの書式要件に応える機能が発展編に集められています。自己流で操作を覚えた人ほど抜けやすい土台を、一定の順序で埋めていく構成です。

情報セキュリティ / モラル / 法律を操作編の前に置く意味

第 2 章が Office の操作編より前に置かれている点は、この教科書の性格をよく示しています。情報セキュリティ の節では情報に関する各種のリスクと対策、その技術を扱い、情報モラルの節では情報発信、インターネットを利用したコミュニケーション、情報社会での心構えを、情報社会の法律の節では情報セキュリティに関する法律と知的財産に関する法律を扱います。学生がレポートの素材を Web から集め、SNS で発信し、課題のファイルを クラウドサービス に置く以上、道具の操作と同じ重みで、何をしてはいけないか、何が自分を守るかを先に学ぶ順序には理由があります。第 1 章のコラム「情報リテラシーと人工知能」や、第 2 章で IoT と AI を取り上げる情報技術の発展の節は、操作手順が変わっても残る概念の側から情報技術をとらえる入口で、版元が紹介文で情報セキュリティやモラル、法律についても解説すると述べている部分に当たります。

大学初学年と指導教員に向く前提、独習者が確認したい点

版元が対象として挙げるのは大学初学年の学生と、情報リテラシーを指導する教員です。前提知識は求められず、キーボードでの入力やマウスの扱い方などの初歩的な PC 操作から始まるため、スマートフォンには慣れていてもパソコンに触れる機会が少なかった学生が、苦手意識のある状態から入れる設計です。一方で、Office を業務で日常的に使っている社会人には第 3 章以降の大半が既知の内容になりますし、Excel の関数や VLOOKUP を深く掘り下げたい人、PowerPoint のデザイン技法を専門的に学びたい人には、それぞれの専用書のほうが密度の点で合います。Windows 11 と Office 2024 の画面を前提にしているので、Mac や別の版の Office を使う環境では画面や操作の名称が一部異なる点も、教科書として採用する前に確認しておきたいところです。版元公式ページには 2026 年 9 月時点でダウンロードデータと正誤表の掲載がなく、演習用のファイル配布を前提にした授業設計なら教員側で用意する必要があります。

講義で使うなら、章の順に読み進めるだけで基本操作、ネットワークとセキュリティの基礎、三つの Office アプリを一巡できる構成で、教員側にとっても章立てがそのまま授業計画の骨格になります。入学直後の学生が最初の一年で身につけるべき情報の扱い方を、操作と考え方の両面から一冊で押さえたい人にとって、投じた時間の回収が早い教科書です。

この本に興味がある方におすすめ

関連する本

関連記事

関連用語

共有: