弱いつながり

ヨワイ ツナガリ

検索ワードを探す旅

弱いつながりの表紙
その他
著者:
東浩紀(アズマ, ヒロキ)
出版社:
幻冬舎
出版日:
2016年08月05日頃
ISBN:
9784344425019
シリーズ:
幻冬舎文庫
在庫:
在庫あり
4.21(33 件 / 楽天ブックス)
初級者向け
SNS人生論弱いつながりネット文化自己啓発人間関係デジタル社会情報社会ソーシャルメディア文化批評

なぜ注目されているか

その他
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書籍紹介

「かけがえのない個人」など存在しない。私たちは考え方も欲望も今いる環境に規定され、ネットの検索ワードさえグーグルに予測されている。それでも、たった一度の人生をかけがえのないものにしたいならば、新しい検索ワードを探すしかない。それを可能にするのが身体の移動であり、旅であり、弱いつながりだー。SNS 時代の挑発的人生論。

技書の森解説

旅に出て新しい検索ワードを探すことを勧める本が『弱いつながり 検索ワードを探す旅』です。著者は東浩紀で、幻冬舎文庫の 1 冊 (あ-59-1) として刊行されました。刊行年月は NDL の書誌で 2016 年 8 月、版元の幻冬舎は 2016 年 8 月 4 日発売と案内しています。版元の作品一覧には同じ書名で 2014 年 7 月 24 日発売の本も載っており、ここで取り上げるのは 2016 年刊の文庫判の版です。

「かけがえのない個人」を疑う出発点と、検索ワードの話

版元の紹介文は、「かけがえのない個人」など存在しないという言い切りから始まります。私たちは考え方も欲望も今いる環境に規定されており、ネットの検索ワードさえグーグルに予測されている。それでも、たった一度の人生をかけがえのないものにしたいなら、新しい検索ワードを探すしかない。そしてそれを可能にするのが、身体の移動であり、旅であり、弱いつながりである。版元はこの本を「SNS 時代の挑発的人生論」と呼んでいます。紹介文の筋をたどると、環境を変えない限り検索で出会う情報も変わらない、だから検索の外側にある身体の側から環境を動かす、という順序で論が組まれていると読めます。

検索ワードが予測される仕組み、技術の側から見た前提

紹介文の「ネットの検索ワードさえグーグルに予測されている」という一文は、技術の側から見ても的を射た描写です。検索エンジンの入力補完は、膨大な検索の記録から、ある語の次に打たれやすい語を統計的に推定して候補を出します。こうした推定には 機械学習 や自然言語処理の技術が使われ、ニュースや動画の推薦も、利用者の過去の閲覧や反応に近いものを優先して並べる仕組みが基本です。その結果、画面に出てくる候補は利用者がすでに知っている範囲の近くに集まりやすく、自分の関心から遠い語ほど目に入りにくくなります。本書は検索技術そのものを解説する本ではありませんが、こうした仕組みの中で暮らす人に向けて、仕組みの外へ出る手段を問う本として読むことができます。

技術書ではなく随筆、2016 年の文庫として読む

NDL は本書を NDC 914.6 に分類しており、技術書ではなく日本の随筆として整理されています。版元の書籍ページ、版元ドットコム、NDL の書誌のいずれにも目次は載っておらず、どの話題をどの順番で扱うかは確認できませんでした。版元ドットコムには、2016 年 9 月 18 日の朝日新聞朝刊 (評者は辻山良雄) と 2023 年 8 月 13 日の読売新聞朝刊に書評が載った記録があり、刊行の後も紙面で取り上げられてきた本です。

検索や推薦の仕組みを作る側のエンジニアにとっても、使う側の 1 人としても、自分の情報環境がどこまで過去の行動に形づくられているかを一歩引いて見直す材料になります。反対に、検索技術の解説や学術的な論証を求める場合は、紹介文が掲げる人生論という性格とは方向が違うため、目的に合う専門書を選ぶほうが確実です。毎日同じ検索窓とタイムラインの前にいて、考えることの幅が狭まっていると感じている人にとって、文庫で手に取りやすい 1 冊です。

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