NTT 2030 年世界戦略
エヌティーティー ニセンサンジュウネンセカイセンリャク
「IOWN」で挑むゲームチェンジ
- 著者:
- 関口 和一 / MM 総研(セキグチ ワイチ / エムエムソウケン)
- 注目:
- 総合 1166 位
- 出版社:
- 日経 BP 日本経済新聞出版本部
- 出版日:
- 2021年12月15日頃
- ISBN:
- 9784532324452
- 在庫:
- 在庫あり
なぜ注目されているか
書籍紹介
GAFA や BATH に対抗する日本の軸は、NTT 以外にない。技術力・資金力・人材力で圧倒的な NTT。2022 年 1 月に発足する新生 NTT ドコモなど、グループ再結集の動きが加速している。光電融合技術「IOWN」をカギとした、ゲームチェンジに向けた経営大改革を徹底検証する。
第 1 部 再び「世界ナンバーワン」目指す
第 1 章 「ahamo」の衝撃
第 2 章 ナンバーワン目指すシナリオ
第 3 章 グローバル戦略目指す新布陣
第 4 章 宇宙にデータセンターを
【インタビュー】井伊基之 NTT ドコモ社長
第 2 部 進むグループ再結集
第 1 章 「ドコモ・コム・コム連合」の誕生
第 2 章 世界の研究所を再編
第 3 章 NEC、富士通と世界市場を攻略
第 4 章 次世代モビリティで三菱商事、トヨタと提携
【インタビュー】アビジット・ダビー NTT リミテッド最高経営責任者 (CEO)
【インタビュー】本間洋 NTT データ社長
第 3 部 新事業でチャレンジ精神鍛える
第 1 章 ローカル 5G に活路見出す
第 2 章 再生可能エネルギーでカーボンニュートラル実現
第 3 章 ドローン市場でトップを目指す
第 4 章 グループ挙げ農業 DX の仕掛け人目指す
第 5 章 スポーツを地域活性化の起爆剤に
第 6 章 姿現した眠れる不動産大手
【インタビュー】井上福造 NTT 東日本社長
【インタビュー】小林充佳 NTT 西日本社長
第 4 部 デジタル技術で経営改革
第 1 章 リモート型社会の働き方目指す
第 2 章 新たな人事制度でグローバル化に対応
第 3 章 セキュリティを新たな企業戦略の要に
【インタビュー】丸岡亨 NTT コミュニケーションズ社長
第 5 部 NTT の未来占う情報通信政策
第 1 章 今問われる NTT 分割民営化の是非
第 2 章 デジタル庁発足に伴う NTT の憂い
第 3 章 5G 成功を左右する電波行政
第 4 章 GAFA 先行許した情報通信政策
第 5 章 デジタル化で変化する代理店施策
【インタビュー】澤田純 NTT 社長
第 6 部 2030 年のグローバル情報通信市場
第 1 章 日本市場に攻勢かける米 IT 大手
第 2 章 世界規模で広がる「GAFA 包囲網」
第 3 章 情報通信市場を揺るがす米中対立
第 4 章 6G・IOWN で実現する新サービス
第 5 章 2030 年 NTT グループの未来像
技書の森解説
日本の通信を担ってきた NTT グループが 2030 年に向けてどこへ進もうとしているのかを、事業、組織、政策、市場という複数の側面から追った一冊です。『NTT 2030 年世界戦略』 (関口和一 / MM 総研 編著、日経 BP 日本経済新聞出版本部 発行、日経 BP マーケティング 発売、2021 年 12 月刊) は、副題に「IOWN」で挑むゲームチェンジを掲げ、版元紹介文の言葉を借りれば、技術力 / 資金力 / 人材力で圧倒的な NTT の、光電融合技術「IOWN」をカギとしたゲームチェンジに向けた経営大改革を徹底検証するビジネス書です。GAFA や BATH に対抗する日本の軸は NTT 以外にない、という強い立場から書かれていることも紹介文に明記されています。四六判で、刊行は紹介文が 2022 年 1 月に発足すると述べる新生 NTT ドコモを目前にした時期に当たり、国立国会図書館の書誌には文献と年譜の収録が記録されています。
全 6 部 27 章の構成、ahamo から 2030 年の市場まで
構成は全 6 部 27 章で、部ごとに NTT グループ各社トップへのインタビューが挟まれます。第 1 部「再び「世界ナンバーワン」目指す」は「ahamo」の衝撃から始まり、「ナンバーワン目指すシナリオ」「グローバル戦略目指す新布陣」「宇宙にデータセンターを」と続きます。第 2 部「進むグループ再結集」は「ドコモ・コム・コム連合」の誕生、「世界の研究所を再編」「NEC、富士通と世界市場を攻略」「次世代モビリティで三菱商事、トヨタと提携」の 4 章、第 3 部「新事業でチャレンジ精神鍛える」は「ローカル 5G に活路見出す」「再生可能エネルギーでカーボンニュートラル実現」「ドローン市場でトップを目指す」「グループ挙げ農業 DX の仕掛け人目指す」「スポーツを地域活性化の起爆剤に」「姿現した眠れる不動産大手」の 6 章で、通信の外側へ広がる事業領域を章ごとに追います。第 4 部「デジタル技術で経営改革」は「リモート型社会の働き方目指す」「新たな人事制度でグローバル化に対応」「セキュリティを新たな企業戦略の要に」という NTT 自身の内側の改革、第 5 部「NTT の未来占う情報通信政策」は「今問われる NTT 分割民営化の是非」「デジタル庁発足に伴う NTT の憂い」「5G 成功を左右する電波行政」「GAFA 先行許した情報通信政策」「デジタル化で変化する代理店施策」と政策 / 規制の側面です。締めの第 6 部「2030 年のグローバル情報通信市場」は「日本市場に攻勢かける米 IT 大手」「世界規模で広がる「GAFA 包囲網」」「情報通信市場を揺るがす米中対立」「6G・IOWN で実現する新サービス」を経て「2030 年 NTT グループの未来像」へ到達します。
光電融合技術「IOWN」を鍵とする経営改革という見立て
書名と副題が示すとおり本書の軸は光電融合技術「IOWN」を鍵とする経営改革の検証にありますが、目次で IOWN を章題に含むのは第 6 部の「6G・IOWN で実現する新サービス」で、技術そのものの解説書ではなく、技術を賭けた経営判断を追う構成です。技術背景として押さえておきたいのは、光電融合が、これまで電気信号で処理していた部分に光の技術を持ち込み、光と電子の回路を一体化しようとする方向の技術の総称であることです。通信の幹線ではすでに光ファイバーが使われていますが、機器の内部や半導体の近くでは電気信号への変換が繰り返され、そこで消費電力と遅延が生じます。光の領域を機器の内側へ広げてこの変換を減らそうという発想は、データ量の増大と電力の制約が同時に進む情報通信産業にとって、通信事業者が回線の提供だけに役割を限定されず、基盤技術で主導権を取り返す道筋の一つです。本書がこの技術を、ahamo のような料金競争や GAFA との競争と同じ土俵に置いて論じる組み立てになっているのは、IOWN を研究開発の話題ではなく、2030 年の市場でどこに立つかという経営の選択として捉えているからだと目次から読み取れます。
NTT グループ経営陣 7 人のインタビューと刊行時点の役職
目次に並ぶインタビューは 7 本で、井伊基之 (NTT ドコモ社長)、アビジット・ダビー (NTT リミテッド最高経営責任者 (CEO))、本間洋 (NTT データ社長)、井上福造 (NTT 東日本社長)、小林充佳 (NTT 西日本社長)、丸岡亨 (NTT コミュニケーションズ社長)、澤田純 (NTT 社長) と、NTT 本体と主要グループ会社のトップが揃っています。役職はいずれも目次に記された刊行時点 (2021 年 12 月) のものです。編著者の関口和一氏は、版元プロフィールによれば 1982 年に一橋大学法学部を卒業して日本経済新聞社に入社し、88 年にフルブライト研究員としてハーバード大学に留学、90〜94 年までワシントン支局特派員、96〜2019 年まで編集委員を務め、2000 年から 15 年間は論説委員として主に情報通信分野の社説を執筆し、2019 年に株式会社 MM 総研代表取締役所長に就任しています。2008 年より国際大学グローコム客員教授を兼務し、2015〜19 年は東京大学大学院客員教授、「世界デジタルサミット」の企画 / 運営 / 司会なども担うと版元は記しています。共同編著の MM 総研は 1996 年設立の ICT 市場専門のリサーチ・コンサルティング会社で、マーケティング・リサーチ業務、コンサルティング業務、月刊 ICT 専門情報誌「MM Report」の発行などを行っています (いずれも刊行時点の版元プロフィール)。情報通信分野の社説を長く書いてきた記者と市場調査会社という編著者の組み合わせは、経営トップへのインタビューと産業 / 政策の分析を一冊に収める本書の組み立てに対応しています。
情報通信の産業構造を知りたい人向け、技術仕様を求める人には向かない
向いているのは、通信業界や IT 業界で働いていて NTT グループの再編や新事業の全体像を短時間で把握したい人、就職 / 転職や取引の相手として NTT グループを理解したい人、そして情報通信政策と企業戦略の関係を具体例で学びたい人です。目次には料金プラン、提携、人事制度、電波行政、米中対立と、経営書と政策論の要素が並ぶ一方、光電融合や 6G の技術仕様、ネットワーク構成、標準化の技術的な中身を扱う章題は見当たりません。IOWN の技術そのものを学びたい技術者にとって、本書は動機と経営上の位置づけを与えてくれる本であって、仕様書の代わりにはなりません。また 2021 年 12 月刊の時点で書かれた戦略の検証なので、その後の実現状況は読者が別途確認する前提で、刊行時点の NTT の構想と論点を記録した本として読むのが適切です。
元が取れるのは、NTT グループと仕事で関わる人、通信 / IT 業界の構造変化を経営と政策の両面から押さえたいビジネスパーソン、そして技術者でありながら自社や顧客の経営判断の背景を知りたい人です。セキュリティ を企業戦略の要と位置づける章や、通信ネットワーク の基盤技術を経営の賭けとして描く視点は、日々の技術業務を産業全体の地図の中に置き直す助けになります。日本の情報通信産業がどこへ向かうのかを、NTT という一社を通して 2030 年まで見通したい人にとって、本書は刊行時点の全体像を得るための確かな一冊です。
この本に興味がある方におすすめ
関連する本
関連記事
Amazon レビュー星 5 でも合わない本がある - 技術書選びの落とし穴
Amazon で星 5 の技術書でも、自分には合わないことがあります。レビュー評価だけで本を選ぶリスクと、自分のレベルに合った技術書を見つける 4 つの判断基準を紹介します。
技術書のレビュアーになる方法 - 出版前の本を読む特権
技術書のレビュアー (査読者) になるための 3 つのルートと、良いレビューの書き方、レビュアーとしての心構えを紹介します。
セキュリティ本ガイド - Web 開発者が読むべき技術書の選び方
Web セキュリティの基礎から実践まで学べる技術書の選び方マトリクスと、読了後にやるべき 3 つのアクションを紹介します。
関連用語
コードレビュー
他の開発者がコードを検査し、品質向上と知識共有を行うプラクティス
マテリアライズドビュー
クエリ結果を事前に計算 / 保存し、読み取り性能を向上させるデータベースの仕組み
Ubuntu
扱いやすさで人気の Linux ディストリビューション。サーバーから個人利用まで幅広い
バス係数 (バスファクター) とは - 属人化リスクの目安と上げ方
バス係数 (Bus Factor) とは、チームの何人が突然離脱したらプロジェクトが停止するかを示す指標。バスファクターやトラックナンバーとも呼ばれる。数値ごとのリスクの目安、属人化の兆候、ペアプログラミングやドキュメント化で係数を上げる方法を解説。
Linux
オープンソースで開発される OS。サーバーや組み込み機器で広く使われる
チーム開発
複数人で 1 つのソフトウェアを協力して作る進め方。連携と規律が成果を左右する