詳解ビットコイン

ショウカイ ビットコイン

ゼロから設計する過程で学ぶデジタル通貨システム

詳解ビットコインの表紙
その他
著者:
Kalle Rosenbaum / 斉藤 賢爾 / 長尾 高弘(カッレ ローゼンバウム / サイトウ ケンジ / ナガオ タカヒロ)
価格:
¥4,180
出版社:
オライリー・ジャパン
出版日:
2020年03月25日頃
ISBN:
9784873119083
在庫:
1
判型:
単行本
5.0(3 件 / 楽天ブックス)
中級者向け
IT・e コマースネットワークブロックチェーン

なぜ注目されているか

総合154位 言及 2 件

書籍紹介

ビットコインをゼロから概念的に組み立てていきながら理解する本!
ビットコインの仕組みを、技術的にじっくり理解するための本。架空の会社内におけるトークンシステム構築に携わる過程を通じて、ビットコインブロックチェーンの仕組みと概念を、豊富な図解を交えて丁寧に解説していきます。順にたどることで、ビットコインがなぜ現在の形になっていったのか、なぜ信頼できるシステムなのかを、深いレベルで理解できます。ある程度のコンピューターネットワークの知識があれば、プログラミング経験や数学の知識は不要です。

技書の森解説

『詳解ビットコイン』 (Kalle Rosenbaum 著、斉藤賢爾 監訳、長尾高弘 訳、オライリー・ジャパン 発行 / オーム社 発売、2020 年 3 月刊) は、ビットコインと ブロックチェーン の仕組みを、架空の会社のトークンシステムをゼロから段階的に改造していくストーリーで理解する技術解説書です。副題は「ゼロから設計する過程で学ぶデジタル通貨システム」で、版元が公開する監訳者あとがきによれば、原著は 2019 年に Manning Publications 社から刊行された "Grokking Bitcoin" の全訳です。判型は B5 変型判で、版元は対象読者について、ある程度のコンピューターネットワークの知識があれば、プログラミング経験や数学の知識は不要だと案内しています。

全 11 章の構成、カフェのクッキートークンからビットコインへ

構成は全 11 章に付録 A「bitcoin-cli の使い方」と付録 B「演習問題の解答」、監訳者あとがき、索引が続きます。1 章「ビットコイン入門」で全体像と従来のお金が抱えている問題を示した後、2 章「暗号学的ハッシュ関数とデジタル署名」ではクッキートークンをスプレッドシートで管理する仕組みから出発し、3 章「アドレス」、4 章「ウォレット」、5 章「トランザクション」、6 章「ブロックチェーン」、7 章「プルーフオブワーク」、8 章「ピアツーピアネットワーク」と、章ごとに新しい課題を解決する機能を一つずつ足していきます。8 章には「クッキートークンシステムからの卒業」と「独自のフルノードの実行」の節があり、架空のシステムの物語がここで実際のビットコインへつながります。9 章「再びトランザクションについて」ではタイムロックされたトランザクションやさまざまな署名タイプ、10 章「セグウィット」ではセグウィットによって解決される問題とブロックの限界、11 章「ビットコインのアップグレード」ではビットコインのフォークやアップグレードメカニズムと、運用されているビットコインが抱えてきた課題と解決策を扱います。2 章から 11 章の各章には基本問題と発展問題からなる演習問題があり、解答は付録 B にまとまっています。

ハッシュ関数と署名から積み上げる、ビットコインを支える技術背景

ビットコインの理解が難しいのは、ハッシュ関数、デジタル署名、鎖状につないだブロック、マークル木、プルーフオブワーク、ピアツーピアネットワークという個別には既知の要素が、一つの系として組み合わさっているからです。要素ごとの説明を読んでも「なぜそれが必要なのか」が見えにくく、逆に全体像だけを聞いても各部品の役割が曖昧なまま残ります。本書の目次は、その難所を「信頼された管理者を一人ずつ不要にしていく」順序で解いていきます。5 章の終わりに「リサに対する信頼」という節があり、6 章は「リサがトランザクションを削除できることについて」から始まり、7 章は「リサのクローン」から始まります。台帳を管理する一人の担当者への信頼が抱える問題を示し、それをブロックチェーンによる改ざん耐性、プルーフオブワークによる中央管理者のいない 分散システムの合意、ピアツーピアネットワークによる単一障害点の排除で順に解消していく構成です。監訳者あとがきは、ゼロからインクリメンタルに機能を積み上げる説明では、それぞれの段階で追加される機能の意味がはっきりすると述べており、技術者がソフトウェアを設計する順序で仕組みを追える点がこの本の設計思想です。

ネットワークの基礎知識で読める前提と、正誤表の活用

前提知識として版元が求めるのは、ある程度のコンピューターネットワークの知識だけで、プログラミング経験や数学の知識は不要とされています。版元は豊富な図解を交えて丁寧に解説する本だと案内しており、数学の知識を前提にしない方針とあわせて、暗号技術の専門書に挫折した人でも入りやすい水準です。一方で、コードを書きながら実装を学ぶ形式の本ではなく、付録 A の bitcoin-cli も、ウォレットの作成やバックアップ、送金といった操作を実際に試すための補助です。版元ページには正誤表が公開されており、2026 年 9 月時点で 2025 年 1 月更新の「第 1 刷までの修正」が掲載されているので、手元の刷を確かめて突き合わせながら読むと、用語の読み替えで迷う場面を減らせます。

向かない読者もいます。ビットコイン以外の暗号通貨やスマートコントラクトの開発を主題に学びたい人、プログラミング言語でウォレットやノードを自作するコードを求める人には、本書の主題であるビットコインの仕組みの理解とは目的が合いません。

ブロックチェーンという言葉を仕組みとして人に説明できるようになりたいエンジニア、業務でビットコインや暗号資産に関わる案件を担当し、ウォレットの鍵管理からトランザクション、ブロック、マイニング、フォークまでを一本の線でつなげて理解したい人、ニュースで目にするセグウィットやフォークといった用語を原理から押さえたい人にとって、この一冊で得られる理解の深さは投じた時間に十分見合います。図と物語で腑に落ちる形にまとめられたビットコインの解説書を探しているなら、有力な選択です。

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