エンジニアリングマネージャーのしごと
エンジニアリングマネージャーノシゴト
チームが必要とするマネージャーになる方法
- 著者:
- James Stanier / 吉羽 龍太郎 / 永瀬 美穂 / 原田 騎郎 / 竹葉 美沙(ジェイムズ スタニア / ヨシバ リュウタロウ / ナガセ ミホ / ハラダ キロウ / タケバ ミサ)
- 出版社:
- オライリー・ジャパン
- 出版日:
- 2022年08月26日頃
- ISBN:
- 9784873119946
- 在庫:
- 在庫あり
なぜ注目されているか
書籍紹介
エンジニアからエンジニアリングマネージャになるためのノウハウをまとめた書籍!
エンジニアがエンジニアリングチームを率いるマネージャになるための考え方や方法まとめた書籍です。エンジニアにとってエンジニアリングマネージャになるのは未知の領域であり、技術チームが必要とするマネージャになるための考え方と方法を幅広いトピックで解説します。
技書の森解説
コードを書く仕事からチームを率いる仕事へ移った直後は、何をすれば成果を出したことになるのかが見えにくくなります。『エンジニアリングマネージャーのしごと』 (James Stanier 著、吉羽龍太郎 / 永瀬美穂 / 原田騎郎 / 竹葉美沙 訳、オライリー・ジャパン 発行、2022 年 8 月刊) は、エンジニアリングチームのマネジメントの仕事全般を紹介し、エンジニアリングマネージャーに必要な考え方やスキルを解説する本です。原書は Become an Effective Software Engineering Manager で、副題は「チームが必要とするマネージャーになる方法」。版元はエンジニアにとってエンジニアリングマネージャになるのは未知の領域だと紹介し、技術チームが必要とするマネージャになるための考え方と方法を幅広いトピックで解説する本と位置づけています。発売はオーム社です。
全 18 章 3 部構成、着任最初の週から 10 年後のキャリア計画まで
構成は 3 部 / 全 18 章で、第 I 部「オリエンテーション」 (1〜2 章) は着任直後の動き方から始まります。1 章「新たな冒険」は、最初の週にチームへ自己紹介し、チーム全員と週次 1on1 を予約し、上司と初顔合わせミーティングをして自分のスナップショットを作成し、アクションリストを作るところから出発します。2 章「まず自分を管理しよう」は、カレンダー / ToDo リスト / メール受信箱 / 情報を記録する場所という 4 つのツールで整理整頓し、自分の活動を情報収集 / 意思決定 / ナッジング / ロールモデルに分類して、マネージャーとしてのアウトプットを測る方法へ進みます。第 II 部「個人と働く」 (3〜9 章) はメンバー個人との仕事で、コミュニケーションと委譲と上司との連携 (3 章)、1on1 (4 章)、その人に合った仕事 (5 章)、評価面談 (6 章)、採用 (7 章)、退職と解雇 (8 章)、チームを超えたネットワーク構築とメンタリング・コーチング (9 章) を扱います。第 III 部「全体像」 (10〜18 章) は人間とプロジェクトの難しさ、情報共有と社内政治、コントロールを手放すこと、良いハウスキーピング、デュアルラダー、ダイバーシティとリモートワーク、スタートアップと広がり、18 章「クリスタルボール」で自分の次の 10 年のビジョンと計画を書き、スタッフとも同じエクササイズをやってみるところで締めくくります。
委譲の物差しと 1on1 のコントラクティング、評価面談の迷信退治が読みどころ
マネジメントに移った人がつまずきやすいのは、成果がコードとして直接見える立場から、成果がメンバーの仕事を通じて間接的にしか現れない立場へ変わる点です。2 章がアウトプットの測り方を最初に置いているのはこのためで、3 章の委譲は、悪い委譲の両極端、説明責任は委譲できないこと、委譲の物差し、委譲でやるべきこと / やってはいけないこと、実装方法は相手に委譲することと順に進みます。4 章の 1on1 は毎週の実施を前提に、最初の 1on1 で行うコントラクティング、あなたではなく相手のためのミーティングという原則、退屈なところと位置づけられた状況報告、会話の話題のアイデア、メモを取りアクションをアサインする方法、セラピストでないことへの留意まで具体化されています。6 章の評価面談は、面談はマネージャーがトップダウンでフィードバックをするためのものである、面談は当日のサプライズであるべきだ、といった 7 つの迷信を退治する形で始まり、ピアフィードバックの受け取り方、面談フォーム、お金の話の仕方へ進みます。7 章の採用は職務記述書のテンプレートとジェンダーニュートラルなスタイルから、応募書類のレビュー、電話でのスクリーニング、1 次面接、オプションの技術課題、最終面接、条件提示までの面接プロセス設定を、8 章は PIP の準備 / 作成 / 受け渡しと実施、解雇までを扱います。
社内政治からデュアルラダーまで、第 III 部が描く全体像
第 III 部は個人対応を離れ、組織の中でのマネージャーの位置を扱います。10 章はダニング=クルーガー効果とインポスター症候群との折り合いのつけ方、11 章はサウロンの目と題した節で視線を浴びているときと視線がそれたときの振る舞い、そしてスコープ / リソース / 時間の 3 つを プロジェクトマネジメント のレバーとして扱い、その透明性を保つことを説きます。12 章「情報の証券取引所」は必要十分な情報を共有することと、政治がどう起こり、うまく使われ、ネガティブに使われるかを扱い、13 章はストア派の考え方やコントロールの三分法を借りてタスクを超越し、偽りの生産性の罠から脱出する方法、睡眠や体を動かすことといった仕事以外の要素にも触れます。14 章はギルドでサイロを壊すこと、ライトニングトークによるトークの文化、5Why とマネジメントバグで問題を学習の機会に変えること、15 章はインディビジュアルコントリビューター (IC) トラックとマネジメントトラックのデュアルラダーとキャリアアップフレームワークの作り方、16 章はダイバーシティとインクルージョン、リモートワークへの移行、ワーク・ライフ・バランス、17 章はスタートアップでマネージャー第 1 号になる機会を扱います。
初めてチームを率いるエンジニアに向く前提と、向かない読み方
前提となるのはソフトウェア開発の現場経験で、1 章が最初の週を始めるところから書かれているとおり、マネジメント経験は前提にされていません。一方で、スクラムやかんばんといった開発手法の運用手順、見積もりや進行管理ツールの使い方を学ぶ本ではなく、エンジニアとしての技術力を伸ばすプログラミングの本でもありません。技術的な設計判断の方法論だけを求める人や、複数チームを統括する上位職の課題だけを知りたい人は、各章を自分の状況に置き換えて読む必要があります。マネジメント本を段階別にどう読み進めるかは チーム開発 / マネジメント本ガイド が整理しています。
元が取れるのは、来月から 1on1 と評価面談を任されることになったエンジニア、初めて採用面接の設計を担う人、スタートアップでマネージャー第 1 号を引き受ける人です。着任最初の週のアクションリストから 10 年後のキャリア計画まで、マネジメントのさまざまな段階に沿って日々の仕事に取り入れられる実践的なアドバイスが章ごとに並んでいるため、必要な章から読み始めてすぐに使えます。メンバーの成長支援を読書と結びつけたいなら、技術書を使った 1on1 とメンタリング の進め方と組み合わせると効果的です。版元サイトには第 2 刷の正誤表 (2023 年 3 月更新) が掲載されています。エンジニアリングチームを率いる最初の一年の伴走者として、手元に置いて章ごとに参照する価値のある一冊です。
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