ユニコーン企業のひみつ

ユニコーンキギョウノヒミツ

Spotify で学んだソフトウェアづくりと働き方

ユニコーン企業のひみつの表紙
その他
著者:
Jonathan Rasmusson / 島田浩二 / 角谷 信太郎(ジョナサン ラスマセン / シマダ コウジ / カクタニ シンタロウ)
出版社:
オライリー・ジャパン
出版日:
2021年04月26日頃
ISBN:
9784873119465
在庫:
在庫あり
4(40 件 / 楽天ブックス)
中級者向け
プログラミングアジャイルソフトウェア開発スタートアップチーム管理リーダーシップ組織文化プロダクトマネジメントスクラムイノベーション働き方改革

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書籍紹介

Spotify の事例から、成功する IT スタートアップ企業の働き方を徹底解説!
成功している IT スタートアップ企業 (ユニコーン) が大企業とどう異なった働き方をし、ソフトウェア開発とリリースをしているのかについて『アジャイルサムライ』の著者 Jonathan Rasmusson が執筆。チームにミッションを通じて目的を与える方法、チームに権限を与えて信頼する方法、大規模な取り組みを連携させる方法を学び、それらを実現するために必要な文化を解説。

技書の森解説

何万人もの従業員を抱える規模になってもスタートアップのように素早くプロダクトを出し続けるテック企業は、何が違うのでしょうか。その問いに Spotify の働き方を通して答えようとする本です。『ユニコーン企業のひみつ』 (Jonathan Rasmusson 著、島田浩二、角谷信太郎 訳、オライリー・ジャパン、2021 年 4 月刊) の副題は Spotify で学んだソフトウェアづくりと働き方、原書は Competing with Unicorns です。著者は『アジャイルサムライ』の著者でもあり、版元の紹介では、Spotify でアジャイルコーチやエンジニアを経験した立場から、ミッションでチームに目的を持たせ、スクワッドに権限を与えて信頼し、カンパニーベットで大規模な取り組みを調整する働き方と、それを支える文化を説明する本とされています。

全 10 章の構成、スタートアップとの違いからカンパニーベットまで

1 章でスタートアップとエンタープライズ企業の違いを「学習する機械」と「期待に応じる機械」という対比で示し、2 章から 5 章で組織の仕組みを順に組み立てます。2 章はミッションで目的を与える方法、3 章は自律したチームであるスクワッドに権限を与える方法で、プロダクトマネージャーやデータサイエンティストの役割、分離されたアーキテクチャにも触れます。4 章はトライブ、チャプター、ギルドによるスケールのさせ方、5 章は会社として賭ける大きな取り組みの方向を揃えるカンパニーベットです。6 章以降はテック企業で働くことの実際、生産性向上への投資 (プロダクティビティスクワッド、ハックウィーク、フィーチャーフラグ、リリーストレインなど)、データから学ぶ方法と A/B テスト、Spotify の文化を扱い、10 章でエンタープライズ企業に持ち帰るための要点にまとめます。

スクワッドとトライブを組織図だけで真似しないために

スクワッドやトライブという呼び名は Spotify の組織の形として知られ、呼び名だけが一人歩きしやすい言葉でもあります。本書の構成を見ると、チームに権限を渡す前提としてミッションによる目的の共有があり、チーム同士が待ち合わせずに出荷できる分離されたアーキテクチャがあり、さらに生産性への投資と、情報を基本的にオープンにする文化が組み合わされています。組織のコミュニケーションの形がそのままシステムの形に映るという コンウェイの法則 が示すように、チームの自律は設計の独立と表裏一体で、どちらか一方だけを変えても効き目は出にくいものです。本書が文化に 1 章を割き、最終章に「コンテキストもあわせて取り入れる」という節を置いているのは、仕組みの名前より前提条件のほうが重要だという立場の表れと読めます。

エンジニアとマネージャーで変わる組織論の読みどころ

現場のエンジニアにとっては、プロジェクト単位で人を集めて解散する働き方と、長く続くチームにプロダクトの責任を持たせる働き方の違いを言葉にできる点が収穫です。マネージャーや経営リーダーにとっては、「何をすべきかを指示するつもりはないよ」という 6 章の節題が象徴するように、指示ではなく目的と信頼で人を動かすとはどういうことかを、具体的な場面とともに考える材料になります。チームの型と連携の仕方を体系化した チームトポロジー の考え方と合わせて読むと、自社でどこから手を付けるかを整理しやすくなります。

一方で、スクラムの進め方やタスク管理の手順といった実務の手引きを求める人には向きません。本書が扱うのは組織と文化の考え方で、Spotify という 1 社の事例が中心のため、規模や業種が違う会社にそのまま当てはまるとは限らない点も意識して読む必要があります。チーム開発やマネジメントの本を段階別に選びたい場合は チーム開発とマネジメントの本の選び方 も参考になります。

大きな組織の中でリリースのたびに承認と調整に追われ、チームの手応えが薄れていると感じているエンジニアやマネージャーにとって、目的、権限、信頼をどう組み合わせれば小さなチームが速く動けるのかを 1 社の具体例で一通り見渡せる本書は、自分の現場を変える議論の出発点になる 1 冊です。

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