私たちはAIを信頼できるかの表紙

私たちは AI を信頼できるか(ワタシタチハエーアイヲシンライデキルカ)

AI・機械学習
著者:
大澤 真幸/川添 愛/三宅 陽一郎/山本 貴光/吉川 浩満(オオサワ マサチ/カワゾエ アイ/ミヤケ ヨウイチロウ/ヤマモト タカミツ/ヨシカワ ヒロミツ)
出版社:
文藝春秋
出版日:
2022年09月13日頃
ISBN:
9784163915944
在庫:
在庫あり
4(4 件 / 楽天ブックス)
中級者向け
メタバース人工知能AI倫理認知科学哲学人間とテクノロジー無意識AI信頼性スマートシティAIと社会

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言及数
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書籍紹介

ゲーム、言語、哲学の最新知見から、最先端の 5 人が集まりました。「信頼」をテーマに、 2022 年の「 AI と人類」の現在地に迫ります。 AI は世界を再構築できるか。「意味がわかる」とは何か。人間の無意識は、 AI に奪われているのか。もっともわかりやすく、もっとも刺激的な、 2022 年の AI 論です。

目次
はじめに 生活と社会のなかの人工知能 山本貴光

TALK1

三宅陽一郎「世界と知能を再構築する」

エッセイ 人と人工知能の拡張ーーメタバースとスマートシティ、リアルと仮想を越えて

TALK2

川添愛「意味がわかるとは何か」

エッセイ “信頼できる AI ”に向けての課題

TALK3

大澤真幸「無意識が奪われている」

エッセイ 〈無為〉という能力

TALK4

座談会「私たちは AI を信頼できるか」

大澤真幸、川添愛、三宅陽一郎、山本貴光、吉川浩満

BOOKS

AI と人類の 36 冊 山本貴光&吉川浩満

おわりに 吉川浩満

技書の森解説

AI の性能を語る言葉は溢れているのに、 AI を「信頼する」とはどういうことかを掘り下げる言葉は多くありません。『私たちは AI を信頼できるか』 (文藝春秋、 2022 年 9 月刊) は、その問いに社会学者の大澤真幸、言語学者で作家の川添愛、ゲーム AI 開発者の三宅陽一郎、文筆家の山本貴光・吉川浩満という 5 人が挑んだノンフィクションの AI 論です。プログラムの書き方や手法の解説は一切なく、人工知能と人間の関係そのものを主題に据えた一般書です。技術書の合間に読む思考の補助線として、エンジニアにも得るものが多くあります。

TALK 3 本と座談会で進む構成、巻末にブックガイド

構成は版元の目次で確認できます。山本貴光による「はじめに 生活と社会のなかの人工知能」で口火を切り、 TALK1 は三宅陽一郎「世界と知能を再構築する」、 TALK2 は川添愛「意味がわかるとは何か」、 TALK3 は大澤真幸「無意識が奪われている」と、それぞれの持ち場からの議論にエッセイが 1 本ずつ添えられます。 TALK4 は 5 人全員による座談会「私たちは AI を信頼できるか」で書名の問いに正面から向き合い、巻末には山本と吉川の選書によるブックガイド「 AI と人類の 36 冊」が付きます。読み終えた後にどの本へ進むかの地図まで用意されているのは、教養書として親切な作りです。

ゲーム AI ・言語・社会学、三者三様の問いの立て方

読みどころは、同じ「 AI への信頼」という主題が語り手の持ち場ごとに違う問いへ変換されていくところにあります。ゲームの中で自律的に振る舞うキャラクターの知能を作ってきた三宅は、知能を環境や世界との関係から捉え直す立場で語ります。川添の「意味がわかるとは何か」は、言葉を統計的に処理することと意味を理解することの間にある溝という、大規模言語モデルの評価を巡って繰り返し争点になってきた問題の核心そのものです。大澤は無意識が奪われているという表現で、 AI が個人の選択や欲望の手前に入り込む構図を社会学の視点から論じます。機械学習の内部動作ではなく、それを受け止める人間と社会の側を掘るのがこの本の一貫した姿勢です。

生成 AI ブーム前夜、 2022 年 9 月刊という時点の意味

本書の刊行は 2022 年 9 月で、 ChatGPT の公開 (2022 年 11 月) より前にあたります。つまり生成 AIが社会現象になる直前の議論であり、その後の具体的な製品名やサービス動向は登場しません。ただしこれは弱点というより読み方の指定に近いといえます。「意味がわかるとは何か」「信頼とは性能の問題か関係の問題か」という本書の中心的な問いは、対話型 AI が日常に入り込んだ後にこそ切実さを増した種類のもので、ブーム以前の落ち着いた地点から書かれていることが、かえって流行に依存しない足場を与えています。 2022 年時点の議論という前提だけ押さえて読めば、古びて困る類いの本ではありません。

技術は学べないが、 AI を作る側にこそ効く一冊

機械学習の仕組みや実装を学びたい人には向きません。その目的なら機械学習・ディープラーニング本ガイドで扱っているような技術書が正解で、本書は 1 行もコードを与えてくれません。元が取れるのは、 AI を組み込んだ機能を企画・設計する立場で「ユーザーに信頼される」という掴みどころのない要件を言語化する必要がある人、そして AI を巡る報道の消費から一歩踏み込んで自分の考えを持ちたい人です。語り口は平易で前提知識はほぼ要らない一方、問いは深いところまで届きます。技術の外側から AI を考える最初の 1 冊として、そして巻末の 36 冊へ続く入口として、手元に置く価値があります。

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