NETFLIX コンテンツ帝国の野望

ネットフリックスコンテンツテイコクノヤボウ

GAFA を超える最強 IT 企業

NETFLIX コンテンツ帝国の野望の表紙
データサイエンス
著者:
ジーナ・キーティング / 牧野 洋(ジーナ キーティング / マキノ ヨウ)
出版社:
新潮社
出版日:
2019年06月26日頃
ISBN:
9784105071219
在庫:
在庫あり
4.16(47 件 / 楽天ブックス)
初級者向け
ビッグデータ動画配信テック企業スタートアップビジネス戦略コンテンツ産業データ分析競争戦略デジタル変革企業文化

なぜ注目されているか

総合2343位

書籍紹介

動画配信で世界一位! アマゾン、グーグルら巨大 IT 勢を脅かす最強王者の全貌。世界中のコンテンツを買い漁り、巨額を投じたオリジナル作品で大ヒットを放ち続けるネットフリックス。彼らはなぜ世界の覇者になりえたのか。テクノロジーとビッグデータを信じ、過酷な競争文化で急成長を続けるテック企業。その知られざる創業秘話から、大胆な業態転換をへて頂点に上り詰めるまでの壮大な物語を初めて描く。

技書の森解説

DVD の宅配レンタルから出発した一企業が、動画配信へ業態を転換して頂点に上り詰めるまでを描いた企業ノンフィクションが『NETFLIX コンテンツ帝国の野望』 (ジーナ・キーティング 著、牧野洋 訳、新潮社、2019 年 6 月刊) です。副題は「GAFA を超える最強 IT 企業」、原題は NETFLIXED で、版元公式の参考文献欄には原著が Portfolio/Penguin から 2012 年に刊行されたことが記されています。版元は 2019 年の刊行時点の文言として「動画配信で世界一位」と紹介し、テクノロジーとビッグデータを信じ、過酷な競争文化で急成長を続けるテック企業の、知られざる創業秘話から大胆な業態転換までを初めて描く物語だと位置づけています。

全 15 章の構成、日本語版特別寄稿から訳者あとがきまで

目次は、日本語版特別寄稿の「史上初のグローバルインターネットテレビ」と「本書の成り立ち」、プロローグに続いて、第 1 章「暗闇でドッキリ」から第 15 章「ニュー・シネマ・パラダイス」までの全 15 章が並び、エピローグ、謝辞、訳者あとがきで閉じます。途中には「続・夕陽のガンマン」「帝国の逆襲」「大脱走」など映画の題名を思わせる章題が続きますが、章題から中身を推し量るより、時系列の物語として通して読む本です。版元サイトに掲載された入山章栄氏の書評は、本書がライバルであったアメリカのビデオレンタルチェーン、ブロックバスターとの競争を中心に据えた「闘い」の本であり、勝者だけでなく敗者を描いている点を評価しています。同じ書評は、創業者で書評掲載時点の CEO であるリード・ヘイスティングス、事業アイデアと創業を担ったマーク・ランドルフ、ブロックバスター CEO のジョン・アンティオコの三人を主人公と見立てており、読み進める際の見取り図として役立ちます。

データを信じる経営という技術背景と、エンジニアにとっての読みどころ

版元が紹介文で強調する「テクノロジーとビッグデータを信じ」る姿勢は、テック企業の経営を語るときに繰り返し出てくる型です。利用の記録を データ分析 にかけ、施策の効果を A/B テスト のような実験で測り、直感や慣習ではなく数値で判断する。言葉にすれば単純ですが、データが示す方向が自社の既存事業を否定するとき、この姿勢を貫くことは容易ではありません。宅配レンタルで成功した会社が配信へ舵を切り、世界中のコンテンツを買い集めて巨額のオリジナル作品に投じるという版元の描く筋道は、まさにその判断の連続です。エンジニアや企画職にとっての読みどころは、システムの仕組みではなく、技術を信じる組織が競争の中で何を捨て、何に賭けたかの記録として読めるところにあります。

経済ジャーナリストの著者と日経出身の訳者

著者のジーナ・キーティングは、版元プロフィールによればフリーランスの経済ジャーナリストで、UPI 通信とロイター通信に記者として在籍し、10 年以上にわたってメディア業界、法曹界、政界を担当しました。独立後はバラエティやフォーブスなどへ寄稿しており、本書は処女作に当たります。訳者の牧野洋はジャーナリスト兼翻訳家で、日本経済新聞社でニューヨーク特派員や編集委員を歴任して 2007 年に独立し、早稲田大学大学院ジャーナリズムスクールの非常勤講師を務め、著書に『官報複合体』などがあります。企業の内側を取材で描く筆と、経済報道の経験を持つ訳者の組み合わせが、成功譚を一方向からなぞる企業本とは異なる読み味を支えています。

前提知識と、期待しないほうがよいこと

技術的な前提知識は要りません。版元のジャンル区分もビジネス / 経済で、配信の仕組みやシステム構築の手順を学ぶための本ではなく、企業と人物の物語として読む一冊です。原著は 2012 年刊なので、描かれる出来事はその時点までが中心で、日本語版には特別寄稿が加えられています。2019 年以降の展開を追う目的には別の資料が必要ですが、業態転換の判断がどんな競争と人間関係の中で下されたかを知りたい人、サービスの裏側にある賭けの積み重ねを知りたい人にとって、投じた時間が惜しくない一冊です。日々の開発や企画で「データに従う」と口にする人ほど、その言葉の重さを確かめる読書になるはずです。

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