読みやすいコードのガイドライン -持続可能なソフトウェア開発のために

ヨミヤスイコードノガイドライン ジゾクカノウナソフトウェアカイハツノタメニ

読みやすいコードのガイドライン -持続可能なソフトウェア開発のためにの表紙
ソフトウェア工学 / 設計
著者:
石川 宗寿(イシカワ ムネトシ)
出版社:
技術評論社
出版日:
2022年10月22日頃
ISBN:
9784297130367
在庫:
在庫あり
4.5(9 件 / 楽天ブックス)

なぜ注目されているか

言及数
443位
総合608位 ↑ 2 ランクアップ 言及 11 件・うち記事 6 件を掲載
出版前出版日02420222023202420252026

書籍紹介

開発が大規模化・長期化するほど、コードを「読む」コストは増大していきます。そのため「読みやすさ」の向上は、生産性を改善し、プロダクトの成長限界を引き上げる重要な手段と言えるでしょう。
本書は、読みやすさの本質を学び、実践するための考え方をマスターできる一冊です。体系的な理解を実現するため、あらゆる角度から、豊富な例を交えて解説しています。表面的なテクニックではなく、いま目の前にあるコードに最適な改良方法を選び取る力が身に付きます。

技書の森解説

開発が大規模になり長く続くほど、コードを読むための時間は膨らんでいきます。その読む費用を下げるための考え方を、可読性の基本から命名、依存関係、コードレビューまで順に解説するのが『読みやすいコードのガイドライン』 (石川宗寿 著、技術評論社、2022 年 10 月 22 日発売、電子版は 10 月 20 日) です。副題は「持続可能なソフトウェア開発のために」です。版元は、読みやすさの本質を学び実践するための考え方を身に付ける本と位置づけ、表面的なテクニックではなく「いま目の前にあるコードに最適な改良方法を選び取る力が身に付きます」と紹介しています。

全 7 章の構成、命名とコメントから状態、依存関係、レビューまで

本文は「はじめに」と全 7 章、付録で構成されています。第 1 章「可読性の高いコードを書くために」は生産性への恩恵と可読性を高めるための要件を整理し、代表的なプログラミング原則としてボーイスカウトルール、YAGNI、KISS、単一責任の原則、早計な最適化は諸悪の根源を取り上げます。第 2 章「命名」は命名に使う文法、名前の示す内容、単語の選択、言語、プラットフォーム、プロダクトの規約を、第 3 章「コメント」はドキュメンテーションと非形式的なコメントを扱います。第 4 章「状態」は複数の変数間の直交性と状態遷移の設計、第 5 章「関数」は関数の責任と流れ、第 6 章「依存関係」は結合度、依存の方向、依存の重複、依存の明示性を論じます。第 7 章「コードレビュー」はレビューイとレビューアのそれぞれの注意点を、プルリクエストの作り方やコメントの内容に沿って説明します。7 つの章はいずれもまとめの節で締めくくられます。

読みやすさを好みでなく費用の問題として扱う理由

コードは書かれる回数より読まれる回数の方がはるかに多く、変更のたびに誰かが既存の処理を理解し直します。読みにくい箇所は変更のたびに理解の手間と誤解による不具合を生み、技術的負債 として積み上がっていきます。読みやすさが個人の好みの問題に見えるのは、何が読みにくさを生むのかが言葉になっていないからです。同時に意識しなければならない変数の組み合わせが多い、ある部品を直すと離れた別の部品の振る舞いまで変わる、といった性質は、構造として指摘できる読みにくさです。この本では状態と依存関係にもそれぞれ 1 章が置かれており、命名やコメントの整え方だけにとどまらない範囲を扱います。

チームで可読性を上げるうえで難しいのは、基準を共有することです。外部の振る舞いを変えずに構造を整える リファクタリング も、何を良しとするかがメンバーの間でそろっていなければ、書き手の好みの押し付け合いになりがちです。第 7 章がレビューを受ける側と行う側の両方の注意点を扱っているのも、この基準の共有にかかわる話題です。

Kotlin の例を読む前提と、向いている読者

付録は「本書を読む上で必要となる Kotlin の文法」です。Kotlin は JVM 上で動き、Android アプリの開発で広く使われる言語です。他の言語を主に使う読者も、付録で必要な文法を補ってから本文の例を読み進める形になります。版元が挙げる読者は、プログラミングの基本を学び終えさらにステップアップしたい方、1 か月以上かかる長期の開発に携わる方、コーディングのルールをどう適用するか知りたい方の三者です。著者については、2026 年 10 月に閲覧した版元のプロフィールで、LINE ヤフー株式会社所属のシニアソフトウェアエンジニアとしてコミュニケーションアプリ LINE の Android 版の開発に従事し、リファクタリングやコードレビュー、可読性にかかわる開発文化や基盤の構築に取り組んでいると紹介されています。逆に、プログラミングの文法をこれから学ぶ段階の人や、使い捨ての短いスクリプトだけを書く人には、得られるものが少ないでしょう。

レビューで「何となく読みにくい」としか言えなかった違和感の理由を説明できるようになりたい人、長く続くプロダクトのコードを後から来た仲間にも読める形で残したい人にとって、命名から依存関係、レビューの進め方までを一つの筋で通したこの本は、日々の改良の判断に根拠を与える一冊になります。

言及した記事 (6 件)

この本に興味がある方におすすめ

関連する本

関連記事

関連用語

共有: