エクストリームプログラミング

エクストリーム プログラミング

エクストリームプログラミングの表紙
プログラミング
著者:
ケント・ベック / シンシア・アンドレス(ベック, ケント / アンドレス, シンシア)
出版社:
オーム社
出版日:
2015年06月
ISBN:
9784274217623
在庫:
在庫あり
4(11 件 / 楽天ブックス)

なぜ注目されているか

言及数
62位
総合154位 ↑ 29 ランクアップ 言及 43 件・うち記事 34 件を掲載
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技書の森解説

アジャイル開発の手法の 1 つであるエクストリームプログラミング (XP) を、提唱者 Kent Beck 自身が価値、原則、プラクティスの 3 つの層で説明した本の日本語訳です。『エクストリームプログラミング』は Kent Beck と Cynthia Andres の共著 Extreme Programming Explained: Embrace Change の原著第 2 版を、角征典氏が訳し直した新訳で、オーム社から 2015 年 6 月に刊行されました。NDL の書誌では、ピアソン・エデュケーションから 2005 年に出た『XP エクストリーム・プログラミング入門』第 2 版を改題した日本語新訳版と記録されており、版元も想定読者にピアソン版の読者を挙げています。

価値、原則、プラクティスの 3 層、2 部 25 章の構成

本書は第 1 章「XP とは何か」に続き、第 I 部「XP の探求」と第 II 部「XP の哲学」の 2 部で全 25 章です。第 I 部の中心は第 4 章から第 9 章で、コミュニケーション、シンプリシティ、フィードバック、勇気、リスペクトの 5 つの価値、人間性や経済性、相互利益、自己相似性、ベイビーステップなど 14 の原則、そして全員同席、ペアプログラミング、週次サイクル、10 分ビルド、継続的インテグレーション、テストファーストプログラミング、インクリメンタルな設計などの主要プラクティスと、本物の顧客参加やデイリーデプロイ、交渉によるスコープ契約などの導出プラクティスが順に説明されます。続く章でチームの役割、制約理論、計画、テスト、設計、スケーリングを扱い、第 II 部ではテイラー主義やトヨタ生産方式との関係、XP の適用とコーチの選び方、オフショア開発、コミュニティーとの関わりへと視野を広げます。巻末には注釈付き参考文献と訳者あとがき、索引が付きます。

プラクティスより先に価値と原則を置く理由

XP というとペアプログラミングやテストファーストのような具体的なやり方が注目されがちですが、本書の構成が示しているのは、やり方だけを持ち込んでも定着しないという考え方です。価値はチームが何を大切にするかの基準、プラクティスは日々の具体的な行動で、両者は抽象度が大きく離れているため、第 3 章で 3 つの層の関係を示したうえで、間をつなぐ原則の章を挟む構成になっています。たとえば週次サイクルという行動は、フィードバックという価値と、小さな歩幅で進むというベイビーステップの原則に支えられて初めて意味を持ちます。この対応が分かっていれば、自分たちの状況でプラクティスが合わないときに、形だけ守るのでも捨てるのでもなく、同じ原則を満たす別のやり方を考えられます。また主要プラクティスと導出プラクティスは章を分けて置かれ、その間に第 8 章「始めてみよう」が挟まっているため、どこから手を付けてどこへ広げるかという導入の順序を考える手がかりになります。

読む前に知っておきたい前提と、向かない読者

本書は手順書ではなく、考え方と態度を語る本です。テストの書き方や アジャイル開発 の会議の進め方を具体的なコード例やテンプレートで学びたい人には、記述が抽象的に感じられるはずで、テストを先に書く開発を手を動かして身につけたいなら、テスト本の選び方 から実践書を選ぶほうが目的に合います。また原著第 2 版の訳である以上、ツールや開発環境についての記述はその前提で読む必要があります。一方で、第 20 章には XP を使うべきではないときという節があり、手法を万能とせず適用の限界まで論じている点は、導入を判断する立場の人にとって有用です。

スプリントやデイリースクラムを回しているのに手応えがない、あるいはペアプログラミングや継続的インテグレーションを導入したいがチームに理由をうまく説明できない、そんなリーダーやプログラマにとって、プラクティスの背後にある価値と原則を提唱者の言葉で確かめられる本書は、手元に置いて繰り返し開く価値のある 1 冊です。ピアソン版を読んだことがある人にとっても、訳し直された言葉で読み返す機会になります。

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