ネットワーク化制御
ネットワークカセイギョ
- 著者:
- 永原 正章 / 岡野 訓尚 / 小蔵 正輝 / 若生 将史(ナガハラ マサアキ / オカノ クニヒサ / オグラ マサキ / ワカイキ マサシ)
- 出版社:
- コロナ社
- 出版日:
- 2019年07月13日頃
- ISBN:
- 9784339032277
- 在庫:
- 在庫あり
なぜ注目されているか
書籍紹介
制御対象と制御器を通信ネットワークが結ぶネットワーク制御は, サイバーフィジカルシステムや IoT の基幹をなす技術である。本書では, その制御理論について, 初歩から最先端の話題までを, 初学者にもわかりやすく解説している。
★主要目次★
1. はじめに
 1.1 IoT の時代に必要な制御理論
 1.2 ネットワーク化制御とは
 1.3 マルチエージェントシステム
 1.4 ネットワーク化制御の実応用
2. 量子化信号を用いた制御
 2.1 通信ネットワークを含む制御システムにおける量子化
 2.2 量子化器を含むフィードバックシステム
 2.3 有限データレート制御
 2.4 静的量子化器を用いた制御
 2.5 DoS 攻撃のもとでの有限データレート制御
3. イベントトリガ制御
 3.1 状態フィードバックイベントトリガ制御
 3.2 出力フィードバックイベントトリガ制御
 3.3 セルフトリガ制御
4. 複雑ネットワークの制御
 4.1 複雑ネットワークの例
 4.2 合意制御
 4.3 中心性の制御
 4.4 伝播の制御 (1):最適資源配置
 4.5 伝播の制御 (2):適応ネットワーク
1. はじめに
1.1 IoT の時代に必要な制御理論
1.2 ネットワーク化制御とは
1.3 マルチエージェントシステム
1.4 ネットワーク化制御の実応用
1.4.1 インダストリー 4.
1.4.2 スマートグリッド
1.4.3 超スマート社会 (Society5.0)
2. 量子化信号を用いた制御
2.1 通信ネットワークを含む制御システムにおける量子化
2.2 量子化器を含むフィードバックシステム
2.3 有限データレート制御
2.3.1 有限データレート信号を用いた安定化の考え方
2.3.2 漸近安定化可能性
2.3.3 漸近安定化に最低限必要なデータレート
2.3.4 漸近安定化を達成するコントローラ
2.4 静的量子化器を用いた制御
2.4.1 量子化器の粗さ
2.4.2 最も粗い安定化量子化器
2.4.3 粗さの最大値
2.5 DoS 攻撃のもとでの有限データレート制御
2.5.1 ズーミングアウト, ズーミングイン機構をもつ一様量子化器
2.5.2 DoS 攻撃によるパケットロスのモデル化
章末問題
3. イベントトリガ制御
3.1 状態フィードバックイベントトリガ制御
3.1.1 イベントトリガ制御の基本的な考え方
3.1.2 一般的なイベントトリガ条件と安定性解析
3.1.3 種々のイベントトリガ条件
3.2 出力フィードバックイベントトリガ制御
3.2.1 出力のイベントトリガ則
3.2.2 入出力のイベントトリガ則
3.3 セルフトリガ制御
章末問題
4. 複雑ネットワークの制御
4.1 複雑ネットワークの例
4.1.1 グラフ理論
4.2 合意制御
4.2.1 マルチエージェントシステムの合意
4.2.2 平均合意
4.2.3 最速合意
4.3 中心性の制御
4.3.1 さまざまな中心性
4.3.2 幾何計画問題
4.3.3 中心性の最適化
4.4 伝播の制御 (1):最適資源配置
4.4.1 抑え込み問題
4.4.2 線形システムによる上界
4.4.3 幾何計画問題への帰着
4.4.4 数値例
4.5 伝播の制御 (2):適応ネットワーク
4.5.1 適応的な SIS モデル
4.5.2 正多項式制約
4.5.3 数値例
章末問題
引用・参考文献
章末問題解答
索引
技書の森解説
『ネットワーク化制御』 (永原 正章 編著、岡野 訓尚、小蔵 正輝、若生 将史 著、コロナ社、2019 年 8 月刊) は、制御対象と制御器を通信ネットワークが結ぶシステムの制御理論を、版元の言葉では「初歩から最先端の話題まで」解説した教科書です。まえがきでは、本書を読むための前提知識を大学教養課程の線形代数と微積分、状態空間モデルに基づく現代制御理論の基礎とし、卒業研究や大学院での研究に取り掛かる学生と、理論を概観したい研究者や技術者に向けて書いたと説明しています。版元のページには、2021 年に計測自動制御学会賞著述賞を受賞したことも記されています。
量子化、イベントトリガー、複雑ネットワークの 4 章構成
本文は 4 章で、まえがきによれば各章は独立に書かれており、どの章から読み始めてもよい作りです。1 章「はじめに」は永原 正章の執筆で、IoT の時代に必要な制御理論とネットワーク化制御の定義、マルチエージェントシステムを導入し、実応用としてインダストリー 4.0、スマートグリッド、超スマート社会 (Society5.0) を挙げます。2 章「量子化信号を用いた制御」は岡野 訓尚と若生 将史が担当し、有限データレート制御の節で漸近安定化に最低限必要なデータレートを、静的量子化器の節で最も粗い安定化量子化器を扱ったうえで、DoS 攻撃によるパケットロスのモデル化まで進みます。3 章「イベントトリガ制御」は若生 将史の担当で、状態フィードバックと出力フィードバックのイベントトリガー制御、セルフトリガー制御を扱います。4 章「複雑ネットワークの制御」は小蔵 正輝の担当で、グラフ理論を足場に、マルチエージェントシステムの平均合意と最速合意、中心性の制御、幾何計画問題に帰着させる伝播の抑え込み、適応的な SIS モデルへと進みます。2 章から 4 章の末尾には章末問題があり、巻末に解答が付きます。
通信の制約が安定性の条件に入り込む理由
古典的なフィードバック制御の設計では、センサーの測定値は誤差も遅れもなく制御器に届き、制御入力も同じように制御対象へ届くと仮定するのが普通です。ところが IoT の機器のように測定値を無線やインターネット回線で送る場合、値は有限のビット数に量子化され、使える帯域には上限があり、パケットが失われることもあります。有限データレート制御は、不安定な系を安定化するのに 1 秒あたり何ビットの情報が最低限必要かという問いを立て、通信の容量そのものを安定化の条件として扱う分野です。イベントトリガー制御は逆の方向から、一定周期で送り続けるのをやめ、状態のずれが条件を満たした時だけ送ることで、安定性を保ちながら 通信ネットワーク の負荷や電力を抑える考え方です。多数の機器が近くの相手の情報だけで足並みをそろえる合意制御では、つながり方を表すグラフの性質が収束の速さを決めます。通信工学と制御工学のどちらか一方の知識だけでは扱えないこの境界領域を、定理と証明の形で整理しているのが本書の位置です。
前提知識の線引きと、合わない目的
まえがきが挙げる前提は大学教養課程の数学と現代制御の基礎なので、状態方程式や可制御性、安定性の議論に一度触れておくと読み進めやすくなります。まえがきは定理の証明も省略せずに追うよう勧めており、数式を読み飛ばして概要だけをつかむ読み方には向きません。また、目次には特定の通信規格の設定や、制御器を機器に組み込む実装の手順を扱う節はありません。現場の装置の通信設計を直接の目的にする人や、制御工学そのものの入門から始めたい人は、先に現代制御の教科書で状態空間モデルに慣れておくと、本書の議論に入りやすくなります。
まえがきには、最後まで勉強すれば 2000 年代以降のネットワーク化制御に関する学術論文を読む基礎は十分身につくと書かれています。通信を介した制御を卒業研究や修士の研究テーマに選んだ学生、あるいはスマートグリッドや多数の機器の協調制御に関わり、理論の全体像をつかみたい研究者や技術者にとって、4 人の研究者が分担して書いた本書は最初に押さえておく一冊になります。
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