不便益(フベンエキ)
手間をかけるシステムのデザイン
デザイン・グラフィックス- 著者:
- 川上浩司/平岡 敏洋/小北 麻記子/半田 久志/谷口 忠大/塩瀬 隆之(カワカミ ヒロシ/ヒラオカ トシヒロ/オキタ マキコ/ハンダ ヒサシ/タニグチ タダヒロ/シオセ タカユキ)
- 出版社:
- 近代科学社
- 出版日:
- 2017年11月01日頃
- ISBN:
- 9784764905504
- 在庫:
- 在庫あり
なぜ注目されているか
書籍紹介
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現代のビジネスや社会は,何事につけても便利・速さ・効率を中心としている.こういう現代社会に対して,不便であるがゆえに生み出される創造力や注意力,思いやりといったことの重要性をもう一度見直すために「不便益」という考え方を、著者らは提案している.
不便だからこその効用を不便益と呼び,不便益という発想を取り入れることでこれまでになかった新しいモノやサービスを追及する.
本書はこれまでに取り組まれた「不便益」の事例を紹介しながら,不便益とはなにか,不便益をもたらすシステムのデザイン方法とは,を探求する.テクノロジーを否定し昔の生活に戻ろうという内容でなく、 IT や AI などの最新テクノロジーと不便を組み合わせることで新たな知財・サービスを生み出そうというものである.IT 技術者や、システムデザインの研究者、技術者必読の書である。
1.不便益システムデザイン
2.自動車の運転支援ー不便益的な運転支援システム
3.義手のデザインー人に関わるモノのあり方を考えるために
4.不便益システムの発想支援
5.コミュニケーション場のメカニズムデザインー書評ゲーム「ビブリオバトル」のデザインプロセスを読み解く
6.博物館の学びを支える手がかりのデザイン
7.〈弱いロボット〉と⼈とのインタラクションにおける不便益
8.観光と不便益
9.妨害による支援ー人の行為を妨害することによって得られる益とそのデザイン指針
10.「結びの科学」に向けてー人間同士の間で起こるできごとや,それを媒介するシステム
11.生命システム論から不便益を捉えなおすー不便益の実在証明
12.エピローグ
技書の森解説
システムは便利で速く、手間がないほど良い。その常識を正面から疑ってみせるのが本書です。不便だからこそ得られる効用、たとえば創造力や注意力、思いやりが引き出されることを「不便益」と呼び、あえて手間をかけさせるシステムをどうデザインするかを探究します。川上浩司氏をはじめとする 6 人の研究者による共著で、 2017 年 11 月に近代科学社から刊行されました。テクノロジーの否定でも懐古趣味でもなく、 IT や AI と不便を組み合わせて新しいモノやサービスを生み出すという建設的な立場が貫かれています。
読みどころは事例の幅広さです。運転者から仕事を奪いすぎない自動車の運転支援、義手のデザイン、書評ゲーム「ビブリオバトル」の設計プロセスの読み解き、博物館での学びを支える手がかり、人の行為をあえて妨害することで得られる益など、各章が異なる分野の研究に根ざしています。しかも事例紹介にとどまらず、不便益をもたらすシステムの発想支援やデザイン指針という工学的な一般化まで踏み込むため、自分の題材に転用する足がかりが得られます。
学術寄りの文体ですが、数式の素養は要らず、設計やデザインの実務経験があれば読み通せます。使いやすさの改善合戦が頭打ちになった製品やサービスを抱える人、そして「ユーザーの手間を減らすこと」を無条件の目標としてきた設計者ほど、得るものは大きいはずです。自動化を突き詰めた先に、人の関わりしろをどれだけ残すべきか。その問いを考え始めるための土台になります。
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