3 分間ルーティング基礎講座改訂新版
サンプンカン ルーティング キソ コウザ
世界一わかりやすいネットワークの授業
- 著者:
- 網野衛二 / 日下学(アミノ, エイジ / クサカ, マナブ)
- 出版社:
- 技術評論社
- 出版日:
- 2013年07月
- ISBN:
- 9784774157375
- 在庫:
- 在庫あり
なぜ注目されているか
書籍紹介
おなじみ博士とネット君の掛け合いにより、ルーティングのしくみを楽しく解説! 難解なルーティングプロトコルのしくみを、やさしく理解することができます。
技書の森解説
ルーターはなぜ、見たこともない宛先へパケットを正しく送り出せるのか。この問いに答えられるようになるのが、『3 分間ルーティング基礎講座』改訂新版 (網野衛二 著、技術評論社、2013 年 6 月刊。版元の表記は[改訂新版]3 分間ルーティング 基礎講座) を読む目的です。版元の概要は「おなじみ博士とネット君の掛け合いにより、ルーティングのしくみを楽しく解説!」と説明し、対象読者を「これからルーティングについて学ぶ方」と置いています。シリーズ「世界一わかりやすいネットワークの授業」の 1 冊で、版元ドットコムの書誌では日下学と小倉香子が監修として登録されています。著者の網野衛二は、刊行時点の版元プロフィールによれば、コンピュータ系の専門学校の講師としてネットワークの構築 / 管理 / 授業を行い、Web サイト「Roads to Node」の管理人として「3 分間 Networking」というネットワーク講座を公開している人物で、近著として『自分のペースでゆったり学ぶ TCP/IP』が挙げられています。
全 6 章 43 回の構成、IP アドレッシングから VLAN と STP まで
構成は全 6 章、第 1 回から第 43 回までの連載形式です。1 章「ルーティングの前に〜IP アドレッシング」 (第 1〜5 回) で IP アドレスの構造、クラス、サブネッティング、クラスレスアドレッシング、CIDR とプレフィックス長を固め、2 章「ルーティングの基礎と RIP」 (第 6〜16 回) でホップバイホップ、ルーターとルーティングテーブル、ロンゲストマッチ、デフォルトゲートウェイ、スタティックルーティング、デフォルトルートと経路集約、ダイナミックルーティングとメトリック、コンバージェンス、そして RIP のディスタンスベクター型の仕組みからルーティングループの防止、RIP2 までを追います。3 章「IGP OSPF と EIGRP」 (第 17〜24 回) はリンクステート型の OSPF を隣接関係と DR、ネットワークタイプ、マルチエリアと LSA タイプ、仮想リンクまで掘り下げ、ハイブリッド型の EIGRP と DUAL、SIA を扱います。4 章「EGP〜BGP と再配布」 (第 25〜31 回) が AS 間ルーティングとしての BGP、eBGP と iBGP、パス属性、経路選択の順序、再配布と管理距離、再配布で起きる問題です。ここまでがルーティングで、5 章「スイッチングの基礎」 (第 32〜34 回) と 6 章「スイッチングの技術〜VLAN と STP」 (第 35〜43 回) は CSMA/CD、全二重とフロー制御、スイッチの転送方式、VLAN とトランクリンク、VLAN 間ルーティングとレイヤー 3 スイッチ、STP とポートロール、RSTP、そして最終回のルーティングとスイッチングの関係へと進みます。
ルーティングの難所と、博士とネット君の会話形式が効く理由
ルーティングが初学者にとって難しいのは、1 台のルーターが見ている世界が部分的でしかないためです。ルーターは宛先までの全経路を知っているわけではなく、次にどこへ渡すかだけをルーティングテーブルで決め、その繰り返しでパケットが届きます。この考え方を押さえないと、ロンゲストマッチもデフォルトルートも、なぜそう振る舞うのかが見えません。さらに、経路情報を機械同士が交換するダイナミックルーティングでは、情報が行き渡るまでの時間差 (コンバージェンス) と、その間に起きるループが本質的な問題になり、RIP のスプリットホライズンやホールドダウン、OSPF のリンクステートによる全体像の共有、BGP のパス属性による選択は、いずれもこの問題への異なる答えです。本書が第 1 回から順に、アドレスの読み方、テーブルの見方、経路情報の交換、選択の規則という順序で積み上げるのは、この依存関係に沿っています。博士とネット君の掛け合いという形式は、教科書が定義から入るところを、なぜそうなるのかという問いから入る点に効き目があり、1 回ごとに区切られた連載形式のため、通勤時間のような細切れの時間でも 1 回ずつ読み進められます。TCP/IP の階層 の中でネットワーク層が担う役割を、ルーターの動きとして具体的に理解したい人には、この形式が向いています。
2008 年版からの全面改訂と、2013 年時点の前提
版元の概要によれば、本書は 2008 年 10 月に発売された『3 分間ルーティング基礎講座』を全面的に見直した改訂新版です。どの項目が改められたかは公開情報に無いため、ここでは断定しません。刊行は 2013 年 6 月で、目次にあるプロトコルは RIP / RIP2 / OSPF / EIGRP / BGP、スイッチング側は VLAN / STP / RSTP / リンクアグリゲーションであり、扱う範囲はこの目次に実在するものと考えるのが安全です。ルーティングプロトコルの原理を学ぶ目的では刊行年の古さが効く場面は限られますが、特定ベンダーの機器設定や、それ以降に広まった技術を知りたい場合は別の本が必要です。ネットワーク分野の本の選び方は ネットワーク本の選び方 でも整理しており、原理を扱う教科書は投資の回収期間が長い部類に入ります。
元が取れるのは、ネットワークの入門書で IP アドレスや TCP/IP の概要は読んだものの、ルーターが実際に何をしているかを人に説明できない人、そしてネットワーク機器を触り始めたばかりで、設定コマンドの前に動作原理を腹落ちさせたい人です。版元が対象として置くとおり、これからルーティングについて学ぶ人が最初に読む本として無理のない難易度で、会話形式のため独学でも詰まりにくい構成です。一方、資格試験の出題範囲に沿った網羅性や、実機での設定手順、大規模ネットワークの設計判断を求める人には、本書は目的が合いません。ルーティングという言葉を、テーブルとプロトコルの動きとして自分の言葉で説明できるようになりたい人にとって、43 回を 1 回ずつ読み進めるこの改訂新版は、着実に効く 1 冊です。
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