図解ネットワーク仕事で使える基本の知識改訂新版

ズカイ ネットワーク シゴト デ ツカエル キホン ノ チシキ

図解ネットワーク仕事で使える基本の知識改訂新版の表紙
ネットワーク
著者:
増田若奈 / 根本佳子(マスダ, ワカナ / ネモト, カコ)
出版社:
技術評論社
出版日:
2018年06月
ISBN:
9784774197777
在庫:
在庫あり
4(1 件 / 楽天ブックス)
ネットワーク

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技書の森解説

社内のネットワーク担当を任された、あるいはベンダーとの打ち合わせで IP アドレスやルーティングの話が出るとついていけない。そうした場面で必要なのは機器の設定手順書ではなく、通信がどのような層の積み重ねで成り立っているかの見取り図です。『図解 ネットワーク 仕事で使える基本の知識 改訂新版』 (増田若奈 / 根本佳子 著、技術評論社、2018 年 5 月 25 日発売) は、その見取り図を豊富な図で示すネットワーク入門書で、版元は本書を同名書の改訂新版と位置づけ、会社のネットワーク関連の仕事に就くことになった社会人と、これからネットワークに関わる仕事に就きたい学生を読者として挙げています。国立国会図書館の書誌では武藤健志が監修として記載されており、判型は A5 判です。

全 7 章の構成、プロトコルの層構造から構築と管理まで

構成は全 7 章です。第 1 章はプロトコルがフォーマットとプロシージャで構成されレイヤ構造をとること、LAN とインターネットの違い、ISP と回線事業者の役割、FTTH の仕組みといった土台を扱います。第 2 章は OSI 参照モデルと TCP/IP の各層の役割、回線交換とパケット交換の違い、TCP の通信手順を押さえ、第 3 章はポート番号、IP アドレスのクラスとグローバル / プライベートの区別、サブネットマスク、VLSM と CIDR、ドメイン名、MAC アドレスと ARP、IPv6 という、機器やアプリケーションを識別する仕組みを層ごとに整理します。第 4 章は LAN の技術としてゲートウェイ、ルーティング、DHCP、ディレクトリサービス、NAT と NAPT、VPN、無線 LAN、CSMA/CD を、第 5 章はネットワークサービスとして Web、メール送受信、FTP、DNS、プロキシ、NTP に加えて Web アプリケーション、CMS、検索サイト、動画配信、ブログ、クラウドの種類までを取り上げます。第 6 章はファイアウォールと DMZ、IDS と IPS、ウイルス対策、コンテンツフィルタリング、情報漏洩対策、SSL/TLS を含むセキュリティ、第 7 章は構成図の描き方、サーバー用のハードウェアとソフトウェアの用意、さまざまなネットワーク機器、ネットワークの分割、LAN ケーブル、冗長化、監視、障害の切り分け、アウトソーシングの活用という構築と管理の実務です。第 1 章から第 6 章の末尾には ADSL、パケットの呼び分け、IPv6、トポロジー、固定電話の IP 化、HTTPS を扱うコラムが付きます。

層で考えると、なぜネットワークの話が急に分かるようになるのか

ネットワークが難しく感じられる理由は、ケーブルや電波の物理的なやり取りから、ブラウザに表示される Web ページまでが 1 本の会話に見えてしまうことにあります。TCP/IP の層構造は、MAC アドレスで隣接する機器を識別する層、IP アドレスで宛先のネットワークまで届ける層、ポート番号 でアプリケーションを識別し TCP が到達を確認する層、HTTP や SMTP といったアプリケーションの層へと責務を分けます。障害の切り分けもこの層に沿って進みます。ケーブルとリンクの状態、IP アドレスの設定と疎通、名前解決、その上のサービスという順に疑えば、闇雲に再起動するより早く原因に近づけます。本書が第 2 章と第 3 章で層と識別子を先に固め、第 7 章で切り分けを扱う順序は、この思考法をそのまま身につけさせる並びです。一方で発売は 2018 年なので、無線 LAN の規格、クラウドコンピューティング のサービス品目、暗号化プロトコルのバージョンのように刊行後に更新が進んだ領域は、2018 年時点の説明として読む必要があります。層構造と識別子の考え方そのものは変わっていないため、その部分の価値は落ちていません。

ネットワーク未経験でも読める前提と、ライター 2 人の背景

前提知識は特に求められません。版元の概要が、ネットワークの仕組みは初心者には理解が難しく身近な技術でもイメージがつきづらいと述べたうえで図を豊富に掲載する方針を説明しているとおり、専門用語を初めて見る読者を想定した本です。著者について版元のプロフィールは、増田若奈を 1970 年生まれ、上智大学文学部新聞学科卒、編集プロダクション勤務を経てフリーライターとなりインターネットのサービスやネットセキュリティを中心に執筆する書き手として紹介し、著書に『図解ネットワークのしくみ』『パッとわかるネットワークの教科書』 (ディー・アート)、同じ技術評論社の『図解 サーバー 仕事で使える基本の知識 改訂新版』を挙げています。根本佳子は総合電機メーカーで研究職やシステムインテグレーションを担当した後にフリーライター・エディターへ転身し、1987 年にインターネットに出会い、ネットワーク管理者の経験もあると紹介されています。技術者ではなくライターが書いた入門書であることは、専門家の省略した前提を補って説明する方向に働きます。逆に、CCNA やネットワークスペシャリスト試験の範囲を網羅したい人、ルーターやスイッチのコマンド設定やパケットキャプチャで手を動かしたい人には、本書は目的が違います。そうした次の段階の本は ネットワーク本ガイド で整理しています。

この図解ネットワーク本を選ぶと元が取れる人

本書を読み終えると、障害報告を聞いたときにどの層の話かを特定して質問を返せるようになり、提案書に描かれたネットワーク構成図の要素 (ファイアウォール、DMZ、VPN、プライベート IP と NAT) を読めるようになります。情報システムを兼務することになった総務や経理の担当者、ネットワーク案件を扱う営業や企画、プロジェクト管理者、そしてインフラ職の新人が最初に読む 1 冊として、投じた時間の回収が早い本です。同じ著者の『図解 サーバー 仕事で使える基本の知識 改訂新版』と並べて読めば、通信の道筋とその先で応答するサーバーの両側から社内システムの全体像がつかめます。ネットワークの会話で相槌しか打てない状態を短時間で抜け出したい人にとって、図で層構造を追える本書は堅実な出発点です。

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