マイクロサービスアーキテクチャ 第 2 版

マイクロサービスアーキテクシャダイニハン

マイクロサービスアーキテクチャ 第 2 版の表紙
プログラミング
著者:
Sam Newman / 佐藤 直生 / 木下 哲也(サム ニューマン / サトウ ナオキ / キノシタ テツヤ)
出版社:
オライリー・ジャパン
出版日:
2022年12月02日
ISBN:
9784814400010
在庫:
在庫あり
4.2(5 件 / 楽天ブックス)
中級者向け
プログラミングマイクロサービスソフトウェアアーキテクチャチーム管理システム設計ソフトウェア開発DevOpsコンテナクラウドコンピューティング組織設計

なぜ注目されているか

言及数
47位
総合76位 ↓ 8 ランクダウン 言及 52 件・うち記事 41 件を掲載
出版前出版日051020222023202420252026

書籍紹介

マイクロサービスの原典とも言える書籍の待望の改訂版!
2016 年に第 1 版が発刊された当時とは異なり、いまではマイクロサービスはすっかり市民権を得、さまざまな技法やツールが開発されています。この改訂版では、マイクロサービスの発展に伴い、重要となっている面を掘り下げ、また事例を豊富に盛り込むなど、時代に沿った改訂を行っています。第 2 版では「第 1 部 基礎」「第 2 部 実装」「第 3 部 人」の 3 部構成を取り、チームの構造、組織、UI といった異なる視点から考察していることも特徴です。この一冊でマイクロサービスを構築、管理、運用、拡張する内容をカバーしています。

技書の森解説

マイクロサービスを採用するかどうか、採用するならどこでサービスを切るのか。その判断を、場合によるという一言で終わらせず、考えるための骨格を与えるのが『マイクロサービスアーキテクチャ 第 2 版』 (Sam Newman 著、佐藤直生 監訳、木下哲也 訳、オライリー・ジャパン発行、オーム社発売、2022 年 12 月刊) です。原書は Building Microservices, 2nd Edition で、版元が「マイクロサービスの原典とも言える書籍」と紹介する 2016 年刊の第 1 版を改訂したものです。版元の紹介によれば、著者は Thoughtworks 在籍中から数多くのマイクロサービスプロジェクトに携わってきた人物で、マイクロサービスに「賛成」でも「反対」でもないという中立的な立場から、仕組み、特徴、長所、短所、課題を説明し、その知見はシステム設計、開発、デプロイ、テストといった技術面だけでなく、人材の活かし方や生産性といった組織面にも及びます。

基礎 / 実装 / 人の 3 部 16 章で何を扱うか

構成は 3 部 16 章に「あとがき: すべてをまとめる」が付く形です。第 1 部「基礎」 (1 章から 4 章) は、マイクロサービスとは何かに始まり、独立デプロイ可能性やビジネスドメインに基づくモデル化といった重要な概念、単一プロセスモノリス / モジュラーモノリス / 分散モノリスの区別とモノリスの利点、適切なマイクロサービス境界と結合の種類、ドメイン駆動設計 (DDD) の使い方、モノリスの分割、通信スタイルを扱います。第 2 部「実装」 (5 章から 13 章) は通信の実装、ワークフロー、ビルド、デプロイ、テスト、監視から可観測性へ、セキュリティ、レジリエンス、スケーリングと、動かして運用する側の主題が並びます。第 3 部「人」 (14 章から 16 章) は UI、組織構造、進化的アーキテクトの 3 章で、目次にはコンウェイの法則、チームサイズ、ストリームアラインドチーム、ガバナンスと舗装道路、技術的負債といった項目が見えます。版元は、この 3 部構成によってチームの構造、組織、UI といった異なる視点から考察している点を第 2 版の特徴として挙げています。

サービス境界と結合、分散システムの難しさをどう考えるか

マイクロサービス の難しさは、個々の実装技術よりも境界の引き方にあります。サービスを細かく分けるほど独立してデプロイできる自由は増えますが、分けた先で互いを呼び合う通信が増えれば、ネットワーク越しの障害や遅延、データの整合性という分散システム固有の問題を抱え込みます。境界を誤ると、見かけはサービスに分かれていても一緒にリリースしなければ動かない分散モノリスになり、モノリスが持っていた単純さまで失います。本書の目次が、結合の種類と ドメイン駆動設計 による境界の検討、そして通信スタイルの選択を、通信の実装やデプロイより前の第 1 部に置いているのはこの順序に対応しており、境界を決めずに実装へ進んだ場合の後戻りが高くつくことを考えると、読む側もこの順で追う価値があります。第 3 部が コンウェイの法則 や組織構造に踏み込むのも同じ文脈で、サービスの境界とチームの境界がずれたままでは、アーキテクチャだけを整えても独立して動ける単位にはなりません。

第 2 版で読む理由と、向かない読者

版元は第 2 版を、第 1 版刊行後のマイクロサービスの発展に伴って重要となった面を掘り下げ、事例を豊富に盛り込んだ「時代に沿った改訂」と説明しています。目次にも、ログ集約と分散トレーシング、コンテナと Kubernetes、ストリーミング、パブリッククラウドとサーバレスといった実現技術の項目や、監視から 可観測性 へと題した章が含まれます。A5 判の厚い専門書ですが、目次に個別言語の文法やフレームワークの操作手順は無く、議論は設計 / 運用 / 組織の判断に置かれています。そのため、少なくとも 1 つのシステムを開発 / 運用した経験があり、デプロイや障害対応の痛みを知っている読者ほど得るものが大きい本です。特定のツールを手順どおりに構築するチュートリアルや、コードを写して動かす入門書を求める人には向きません。なお版元サイトには第 1 刷と第 2 刷の正誤表が公開されており (2026 年 9 月時点)、購入後に照らし合わせることができます。

元が取れるのは、モノリスからの移行を検討していて分割の是非と切り方を説明する責任があるテックリード、設計判断の根拠を言語化する必要があるアーキテクト、そしてマイクロサービスを導入したものの運用や組織との噛み合わせに苦しんでいるチームです。技術の選択肢が増えた 2020 年代に、賛成でも反対でもない立場から判断の軸を組み立て直したい人にとって、日本語で読める第 2 版は手元に置く価値のある一冊です。

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この本は技書デッキのカードです (備え 4 / 流儀: 薄いデッキ) 図鑑でこの本を見る

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