組込みエンジニアのための状態遷移設計手法の表紙

組込みエンジニアのための状態遷移設計手法(クミコミ エンジニア ノ タメノ ジョウタイ センイ セッケイ シュホウ)

現場で使える状態遷移図・状態遷移表の記述テクニック

ソフトウェア工学・設計
著者:
久保孝行(クボ,タカユキ)
出版社:
TechShare
出版日:
2012年11月
ISBN:
9784906864034
シリーズ:
MBD Lab Series
在庫:
在庫あり
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中級者向け
組込みシステム状態遷移設計ソフトウェア設計実務向け設計手法状態遷移図状態遷移表設計資産再利用可読性向上組込みソフトウェア開発

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書籍紹介

本書は、実際の開発現場の必要性から生まれた実践的な状態遷移設計の指南書です。学術的な状態遷移の理論書とは一線を画し、実際の組込みソフトウェア開発の現場で使われている状態遷移設計のプロセスから、詳細な記述テクニックまで、実務で状態遷移を使うために必要なノウハウが詰まった内容になっています。実際の企業の状態遷移図や状態遷移表の設計現場では、設計資産がどうしても再利用できない、可読性が確保できないなど様々の課題を抱えています。本書はこれらの課題の解決に一つのヒントを与えてくれる実践設計手法の解説書です。

技書の森解説

組込みソフトウェアの不具合は、しばしば「想定外の状態」で起きます。ある入力が来たとき、システムがどの状態にいて、どこへ移るべきかを設計段階で決め切れていなければ、遷移漏れはテストで偶然見つかるか、出荷後に発覚するかの賭けになります。『組込みエンジニアのための状態遷移設計手法 現場で使える状態遷移図・状態遷移表の記述テクニック』は、この問題に正面から取り組む実践書です。著者は久保孝行氏、 TechShare の「 MBD Lab Series 」の一冊として 2012 年 11 月に刊行されました。全 189 ページ。版元は、学術的な理論書と一線を画し、開発現場の必要性から生まれた状態遷移設計の指南書と位置づけています。

状態遷移設計が組込み開発の要になる理由

組込みソフトの多くは、センサー入力やボタン操作といったイベントに応じて振る舞いを切り替える制御プログラムです。この振る舞いを 有限状態機械 として整理し、状態遷移図で流れを可視化し、状態遷移表で全状態と全イベントの組み合わせを升目として洗い出すのが、状態遷移設計の基本です。図は流れの理解に強く、表は「この状態でこのイベントが来たら」という未定義の升目、つまり考慮漏れの発見に強いという相補関係があります。この漏れつぶしの威力こそ、レビューやテストの手前で不具合の芽を摘みたい組込み開発で状態遷移設計が重視される理由です。

全 7 章の構成、作図の基本から Stateflow ・演習まで

版元公式の目次によれば、構成は全 7 章です。状態遷移についての導入から始まり、状態遷移図の作り方、 Stateflow の意味論と操作、状態遷移図応用編、可読性を考慮した記述スタイル、ミーリ・ムーアタイプの状態遷移図と進み、最終章の状態遷移の演習で手を動かして締めくくります。 Stateflow は MathWorks 社の Simulink 上で状態遷移を記述するツールで、シリーズ名にある MBD (モデルベース開発) の代表的な環境です。出力が状態と入力の両方で決まるミーリ型と、状態だけで決まるムーア型という古典的な分類まで扱うため、記法の手癖ではなく意味論から書き方を説明できるようになります。

可読性と設計資産の再利用という現場課題への焦点

版元の紹介文は、企業の設計現場が抱える「設計資産がどうしても再利用できない」「可読性が確保できない」という課題を挙げ、本書をその解決へのヒントと位置づけています。記述スタイルに 1 章を割く構成はこの問題意識の表れで、自分だけが読める図ではなく、レビューで議論でき、次の製品へ引き継げる図と表をどう書くかに焦点があります。設計をコードへ落とす段階では、状態ごとに振る舞いを切り替える State パターン のような実装手法と地続きになるため、図・表・実装の対応を意識しながら読むと効果が高まります。

制御系ソフトの設計者に向く一冊、読むときの注意

制御システムやファームウェアの開発者、状態遷移図のレビューで指摘を受けがちな若手、 Simulink 環境で設計の質を上げたい MBD 実務者に向いています。読み終えると、仕様のあいまいさを図と表の升目に変換して洗い出し、他人が読める形で残せるようになります。一方で 2012 年刊のため、 Stateflow の画面や操作の説明は当時の環境が前提です。もっとも、状態遷移図・状態遷移表の記法と設計の考え方そのものは寿命の長い知識で、この部分が本書の中核です。 Web フロントエンド状態管理を学びたい人には対象が違いますが、状態遷移設計を主題に据えた日本語の書籍は選択肢が限られており、この手法を体系的に押さえたい組込みエンジニアにとっては貴重な一冊です。

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