人間のトリセツ
ニンゲンノトリセツ
人工知能への手紙
- 著者:
- 黒川 伊保子(クロカワ イホコ)
- 出版社:
- 筑摩書房
- 出版日:
- 2019年12月05日頃
- ISBN:
- 9784480072726
- シリーズ:
- ちくま新書 1453
- 在庫:
- 在庫あり
なぜ注目されているか
書籍紹介
命は守ってほしい。暮らしを楽にしてほしい。でも、人工知能がしてはいけないことがある。黎明期からの AI 開発研究者が贈る、全 AI、全人類へ向けての手引書。
技書の森解説
『人間のトリセツ』 (黒川伊保子 著、筑摩書房 (ちくま新書 1453)、2019 年 12 月刊) は、副題に人工知能への手紙とあるとおり、いずれ本を読むようになるかもしれない AI に宛てた手紙の形で、人工知能にさせてはいけないことと、AI がどう進んでも揺るがない人間の価値を論じた新書です。版元の内容紹介は、著者を黎明期から 37 年にわたり AI の研究開発に携わってきた人物として紹介し、本書を「AI との共存が大前提の未来を生きる私たちへの、AI のトリセツ・自身の脳のトリセツの最終回答」と位置づけています。技術の解説書ではなく、AI と人間の境目を考えるための読み物です。
全 4 章の構成、人工知能に何をさせないかという問い
目次は全 4 章です。第 1 章「人生は完璧である必要がない」には「千本目のバラ」「ドラマ以前のドラマがあるはず」などの節が、第 2 章「人工知能がけっして手に入れられないもの」には「世界初の日本語対話型 AI」「好奇心が抑えきれない」などの節が並びます。第 3 章「人工知能にもジェンダー問題がある」は「男女の対話は目的が違う」「違うのは脳のチューニング」などの節を収め、第 4 章「人工知能への 4 つの質問」は「時代の亀裂」「人間に残される、最後の仕事」などの節を収めます。版元の目次はどの章も節の一部だけを示して「ほか」と結んでいるため、ここに挙げた節がその章のすべてではありません。
AI の研究開発に携わった著者の経歴と技術背景
版元の著者紹介によれば、著者は奈良女子大学理学部物理学科を卒業し、富士通ソーシアルサイエンスラボラトリで人工知能の研究開発に従事した後、コンサルタント会社と民間の研究所を経て、2003 年に感性リサーチを設立しました。脳機能論と AI の知見を合わせた語感分析法の開発や、性別や年代で異なる脳の性質を扱う男女脳論の展開も紹介されています。人工知能 は、人が規則を書き込む方式からデータで規則を学ばせる方式へと重心を移してきましたが、どの方式でも、機械がもっともらしく応答できることと、人間と同じ理由で判断していることは別の問題です。本書は、作る側を経験した著者の立場から、どこまでを AI に任せ、何を人間の側に残すかという線引きを問いかけます。
AI と働くエンジニアに向く読み方と、向かない目的
本書は 2019 年 12 月刊で、それ以降の 生成 AI の広がりは含まれていません。また、モデルの仕組みや実装を学ぶための本でもないため、機械学習の手法そのものを身につけたい場合は、機械学習と AI の技術書の選び方 から目的に合う一冊を探すほうが近道です。一方で、AI を組み込んだ製品を作る立場や、AI と並んで働く立場から、技術的にできるかどうかとは別に、させるべきかどうかを考える材料が欲しい人には、本書の問いがそのまま手がかりになります。AI の研究開発の現場を知る著者が人間の側の価値を言葉にした一冊として、技術書の合間に手に取ってみてください。
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