AI リテラシーの教科書
エーアイリテラシーノキョウカショ
- 著者:
- 浅岡 伴夫 / 松田 雄馬 / 中松 正樹(アサオカ トモオ / マツダ ユウマ / ナカマツ マサキ)
- 出版社:
- 東京電機大学出版局
- 出版日:
- 2020年10月21日頃
- ISBN:
- 9784501557508
- 在庫:
- 在庫あり
なぜ注目されているか
書籍紹介
政府が掲げる「AI 戦略 2019」における具体目標に向け、AI (人工知能) の知識を正しく理解し、適切に使いこなす能力を伸ばすことを目的とした教科書。「AI の全体像の把握」「基本原理の理解」「活用方法の習得」の 3 ステップで構成。大学の半期で学べる全 14 章構成。文・理を問わず学習できるよう「AI 関連用語集」も収録。
技書の森解説
AI を作る側ではなく、正しく理解して適切に使う側の基礎を、大学の半期の授業で身につけるための教科書です。『AI リテラシーの教科書』は浅岡 伴夫、松田 雄馬、中松 正樹の 3 名による共著で、東京電機大学出版局から 2020 年 10 月に刊行されました。版元の紹介文は、政府が掲げた AI 戦略 2019 の具体目標に向けて、AI の知識を正しく理解し、適切に使いこなす能力を伸ばすことを目的とした本だと説明しています。構成は AI の全体像の把握、基本原理の理解、活用方法の習得の 3 段階で、全 14 章が大学の半期に収まるように組まれ、文系と理系を問わず学べるよう巻末に AI 関連用語解説集が付いています。
全 14 章の構成、AI ブームの歴史から機械学習の原理へ
序盤の 4 章は全体像をつかむ部分です。チャプター 1 で AI と AI リテラシーの定義を考え、チャプター 2 で AI の起源と 3 回のブームがそれぞれ何をきっかけに起こり、なぜ衰退したのかをたどります。チャプター 3 は強い AI と弱い AI、汎用 AI と特化型 AI の区別、シンギュラリティの議論を扱い、チャプター 4 は AI やロボットによる仕事の代替を、労働人口の代替に関するレポートを手がかりに検討します。中盤のチャプター 5 から 8 が基本原理の部分で、AI、機械学習、ディープラーニング の相互関係を整理したうえで、機械学習のタイプとメリット、デメリット、パーセプトロンから多層の ニューラルネットワーク への積み上げ、CNN、RNN、LSTM、GANs という 4 つのモデルの概要へ進みます。
技術論の前に全体像をつかむ、という本書の立場
版元公式に掲載された「はじめに」は、プログラミングや数理統計などの技術論に入る前に AI の全体像を把握し、AI をどう活用するかを考えておかないと迷路に迷い込む恐れがある、という考えを示しています。理工学部の講義で、機械学習を学んでいるのに AI の定義や分類を把握していない学生が多いこと、文系の学生には AI を過大評価した誤解が見られることにも触れています。AI という言葉は、ルールを人が書く古典的な手法から、データから規則を学ぶ機械学習、さらに多層の構造で特徴そのものを学ぶ深層学習まで、性格の違う技術をまとめて指しがちです。この区別がないまま個別の手法を学ぶと、どの問題にどの技術が向くのかを判断できません。本書がチャプター 6 で機械学習ではない古典的な手法にも節を割いているのは、この地図を先に描くための並びと読めます。
プロジェクト、Python 体験、データサイエンス、社会的課題
後半は活用の部分です。チャプター 9 で AI プロジェクトが失敗する理由と成功に導くコツを扱い、チャプター 10 で AI 開発に使われる言語として Python、R、Julia の特徴とごく簡単なサンプル、開発に役立つライブラリを紹介します。チャプター 11 では Anaconda で開発環境をつくり、Python のプログラミングとライブラリを使った簡単な機械学習を体験します。実装を習得する章ではありませんが、教養の教科書でありながら手を動かす入口まで含んでいる点は特徴です。チャプター 12 は データサイエンス の定義、データサイエンティストの役割、ビッグデータ、PDCA サイクルと PPDAC サイクルを扱い、チャプター 13 はベーシックインカム、トロッコ問題と自動運転車、トラブルの責任の所在、プライバシー、AI が生む作品の著作権、倫理規程といった社会的課題を取り上げます。最後のチャプター 14 は AI 関係のキャリア形成プランを就職活動や仕事に活かす内容です。
2020 年刊の教養テキストとして向く読者
刊行は 2020 年 10 月で、目次に並ぶモデルは CNN、RNN、LSTM、GANs までです。大規模言語モデルや対話型の生成 AI を前提にした記述は目次には見当たらないため、そうした道具の使い方を知りたい場合は、刊行年の新しい別の本で補う必要があります。また、機械学習を数式やコードで本格的に学びたい人には、この本の後に進む専門書が要ります。進み方は 機械学習の技術書の選び方 にまとめています。一方、情報系以外の学部で AI の基礎科目を受ける学生、授業の教科書を探している教員、AI の導入に関わるが技術の全体像を体系的に押さえたことのない社会人にとっては、歴史、原理、活用、社会的課題、キャリアまでを 1 冊で一巡できる構成が役に立ちます。AI について断片的な情報しか持っていないと感じているなら、判断の足場をつくる最初の一冊として選ぶ価値があります。
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