はじめての上流工程をやり抜くための本

ハジメテ ノ ジョウリュウ コウテイ オ ヤリヌク タメノ ホン

システム化企画から要件定義、基本設計まで

はじめての上流工程をやり抜くための本の表紙
ソフトウェア工学 / 設計
著者:
三輪一郎(ミワ, イチロウ)
出版社:
翔泳社
出版日:
2008年03月
ISBN:
9784798114378
シリーズ:
エンジニア道場
在庫:
在庫あり
3.88(18 件 / 楽天ブックス)
中級者向け
上流工程システム設計要件定義プロジェクトマネジメント関係者調整ビジネス分析要件管理設計ドキュメントエンジニアリング思考チームワーク

なぜ注目されているか

言及数
707位
総合718位 ↑ 2 ランクアップ 言及 4 件・うち記事 3 件を掲載

書籍紹介

システム化企画や要件定義、基本設計といったいわゆる上流工程は、実装のスキルが高いだけでは務まりません。エンジニアリング的に正しい結論を導き出すことはもちろん、その結論に至るように「議論をリードし」「関係者の合意を得て」「周囲の人間を巻き込んでプロジェクトをドライブする」スキルなどが求められます。加えて、業務と IT (コンピュータ) を含むシステム全体を見通せる視点の高さも必要です。求められるスキルの多い上流工程を「はじめてやり抜く」には、いったいどのような心構えで望めばよいのか、どのような準備が必要なのか、どのようなスキルアップの方法があるのかーその答えが、本書にあります。

技書の森解説

『はじめての上流工程をやり抜くための本』 (三輪 一郎 著、翔泳社、2008 年 3 月刊) は、システム化企画、要件定義、基本設計といった上流工程を初めて担当する人に向けて、どのような心構えで臨み、どのような準備をし、どのようにスキルを伸ばせばよいかを示す書籍です。副題は「システム化企画から要件定義、基本設計まで」で、翔泳社のエンジニア道場シリーズの 1 冊にあたります。版元の紹介文は、上流工程は実装のスキルが高いだけでは務まらないと書き起こし、「議論をリードし」「関係者の合意を得て」「周囲の人間を巻き込んでプロジェクトをドライブする」スキルと、業務と IT を含むシステム全体を見通す視点の高さが求められると説明しています。

上流工程の全体像から要件定義と基本設計へ進む 3 章の構成

版元ドットコムに載る目次は第 1 章から第 3 章までの 3 章です。第 1 章「上流工程とは」は、情報システムとは何かを確かめ、BPR と情報システム化の関係や、IT の知識が力の源になることを扱う節から始まり、工程の位置づけを固めます。第 2 章「新業務を示せ-システム化の方向性検討と計画立案」には、顧客への挨拶の前の事前準備や、「設計事務所の建築士としてお客様に接する」という節が並びます。第 3 章「IT を位置づけろ-要件定義 & 基本設計」では、要件定義を業務を示す工程として扱い、基本設計の節には、いきなりユースケースから入ることの是非を問う題が付いています。全体では、第 1 章で上流工程の全体像、第 2 章でシステム化の方向性検討と計画立案、第 3 章で要件定義と基本設計を扱います。

業務と IT の両方を見通す視点が上流工程の難しさになる理由

上流工程で決めた内容は、その後の設計、実装、テストのすべての前提になります。要件を定義する 段階の取り違えは、後の工程で見つかるほど手戻りの範囲が広がるため、ここでの判断の重さは下流の作業とは性質が違います。しかも要件は顧客の頭の中に完成した形で存在しているわけではなく、業務の現状と、システム化によって業務をどう変えるかを関係者と話し合いながら形にしていくものです。業務の流れを変える BPR の観点と、それを実現する情報システムの観点を同時に持たなければならない点が、実装の腕だけでは務まらないと言われる理由です。基本設計も同じで、画面や機能の単位で 設計 を書き始める前に、新しい業務の姿が関係者の間で一致しているかを確かめておかないと、ユースケースを丁寧に書いても前提の食い違いが後から表に出ます。版元の紹介文が正しい結論を導く力に加えて議論や合意形成のスキルを挙げている背景には、こうした工程の性質があります。

2008 年刊行の時点と、初めて上流を任される SE に向く読み方

本書は 2008 年 3 月の刊行で、システム化企画、要件定義、基本設計という工程を順に区切る進め方を前提にしています。反復しながら要求を固めていく開発手法を主題にした本ではないため、その進め方を学びたい場合は別の本を選ぶほうが近道です。また紹介文が中心に据えているのは、特定の記法や文書の書式ではなく、上流工程に臨む心構えと準備、身につけるべきスキルです。

一方で、受託開発や社内システムの案件で、実装の担当から顧客と向き合う役割へ移ろうとしている人にとっては、議論の進め方や関係者の巻き込み方まで含めて上流工程の仕事を一通り見渡せる本書は、最初の案件に入る前に読んでおく価値のある一冊です。顧客との打ち合わせの前に何を準備し、どこまでを要件として固めるのかを自分の言葉で説明できるようになりたい人は、手に取って確かめてみてください。

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