IT の仕事に就いたら「最低限」知っておきたい最新の常識

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IT の仕事に就いたら「最低限」知っておきたい最新の常識の表紙
その他
著者:
イノウ(イノウ)
出版社:
ソシム
出版日:
2020年02月03日頃
ISBN:
9784802612234
在庫:
在庫あり
3.85(14 件 / 楽天ブックス)
初級者向け
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書籍紹介

わかる→素朴な疑問に、図解でわかりやすく回答。使える→常識とともに、関連するキーワード解説。育てる→Web 連動で、最新情報も追加。業界、業務、最新の常識が知識ゼロからスッキリわかります。

技書の森解説

IT の仕事が分かりにくいのは、横文字や略語が多いからだけではありません。版元公式の紹介文は、企業向け IT (いわゆるエンタープライズ IT) は業界や IT の歴史、IT ベンダーやユーザー企業の事情が分からないと「なぜ、このような技術が誕生したのか」「なぜ、このようなビジネスが受け入れられているのか」が理解できないと説明しています。本書 (イノウ 著、ソシム、2020 年 2 月刊) は、この分かりにくさを業界、業務、刊行時点のトレンドという 3 部に分け、身近な疑問で始まる項目ごとに図解で答え、関連するキーワードを添えて整理した一冊です。副題は「IT のトレンドに、きちんとキャッチアップできてますか?」で、判型は A5 判です。

3 部構成、業界の常識と業務の常識を土台にトレンドを読む

構成は 3 部です。I 部「業界の常識」は IT 業界の地図、IT 業界の歴史、コンピュータの歴史という俯瞰から入り、IT 業界のビジネスの種類、受託開発系と自社開発系のサービス、IT ベンダーとユーザー企業の関係、IT 業界のピラミッド構造、IT ベンダーの売上構成と収益構造、職種とキャリア、採用と転職、国家資格とベンダー資格、IT 人材育成の取り組みまでを 1 項目ずつ扱います。II 部「業務の常識」は情報システムの構成、受託開発系の仕事、自社開発系の仕事を導入に置き、情報システムの構造と 3 階層モデル、ネットワークとデータベース、ソフトウェアエンジニアリング、V 字モデルと W 字モデル、プロジェクトマネジメント、IT 戦略、システム化企画と超上流、提案依頼書、見積り、契約、要件定義、基本設計と詳細設計、プログラミング言語の選定、テスト、納品、運用管理、構成管理、障害対応、SLA や ITIL、システムのリプレイスまで、開発から運用の流れを工程順にたどります。III 部は IT 業界の再編、IT 技術のトレンド、5G が実現する未来を導入とし、デジタルトランスフォーメーション、アジャイル開発や DevOps、ペアプロやモブプロ、テストファーストやテスト駆動開発、リーン・スタートアップ、オープンソースのライセンス、X-Tech、ビッグデータやデータ分析、デジタルマーケティング、プラットフォーマー、Fintech、仮想化技術とコンテナ仮想化、クラウドサービス、サーバレスや FaaS、人工知能と機械学習 / 深層学習、ブロックチェーン、IoT システム、Web アプリケーションと MVC モデル、マイクロサービス、NoSQL データベース、組込みソフトウェア、RPA やノンプログラミング、ロボット、ウェアラブル端末、AI スピーカー、5G と、2020 年の刊行時点で注目されていた話題を幅広く並べます。I 部と II 部の末尾には読んでおきたい書籍を挙げるコラムもあります。

IT ベンダーとユーザー企業の構造から、技術と商流をつなげて理解する

企業向け IT の技術は、業界の構造と切り離して理解できません。システムを使う側のユーザー企業と、作る側の IT ベンダーが分かれているため、提案依頼書、見積り、契約、要件定義といった工程が重くなり、費用を 2 段階で見積る理由や、協力会社と客先常駐という働き方、人月単価という値付けの慣習も、この分業構造から生まれています。本書が I 部で IT ゼネコンと IT 土方、ベンダーロックインとオープンアーキテクチャ、メーカー系、ユーザー系、独立系、外資系といったキーワードを扱い、II 部で工程を順に追うのは、技術の話をこの商流の上に載せて読めるようにするためです。III 部のトレンドも同じ視点で読めます。クラウドサービス の利用が IT ベンダーにどのような影響を与えるかという項目があるように、クラウドはサーバーの調達方法の変化であると同時に、ベンダーの売上構成を変える出来事でもあります。アジャイル開発や DevOps が注目される背景には、要件を固めてから作る受託開発の進め方と、自社サービスを継続的に改善する自社開発系の進め方の違いがあり、サーバレス や FaaS、コンテナ仮想化、マイクロサービスも、運用管理や構成管理の負担をどこに寄せるかという業務側の変化として位置づけられます。用語を単体で覚えるより、誰が何のために採用するのかを商流と結びつけて理解するほうが定着しやすく、本書の構成はその読み方に沿っています。

一定の経験を積んだ層向けという版元の設定と、向かない読み方

対象読者については、書店向けの紹介文では業界と業務の常識が知識ゼロからわかるとしていますが、版元公式ページの説明はもう少し具体的です。IT 業界に入ったばかりの人に向けて執筆した『IT 業界のしくみとながれ』が累計 10 万部超を売り上げた一方、読者の反響では第 2 新卒や初めて部下を持った課長レベルの方により受け入れられたと振り返り、本書は読者のレベルを一定の経験を積んだ層に設定し、より高度で広範囲な内容を扱うとしています。書名は IT の仕事に就いた直後を想定した表現ですが、現場で用語を耳にしてはいるものの、業界の構造や商流とつなげて理解できていない人が最も得るものが多い設計と読めます。逆に、プログラミングや個々の技術の実装手順を学びたい人には向きません。書店向けの紹介文が示すとおり各項目は図解での回答が中心で、目次にもコードや設定手順を扱う項目はないためです。また III 部は 2020 年の刊行時点で注目されていた話題の切り取りであり、刊行後に広まった技術やサービスは当然含まれないため、トレンドの部分は当時の見取り図として読む必要があります。書店向けの紹介文にある Web 連動での情報追加も、刊行時の案内として受け取るのが妥当です。

IT ベンダーで数年働き、目の前の案件の外側にある商流や契約の全体像を一度整理したい人、ユーザー企業の情報システム部門に配属されて発注側の言葉を身につけたい人、部下や後輩に業界の仕組みを説明する立場になった人にとって、本書は会議で飛び交う言葉の背景を一冊で押さえられる実用的な地図です。基礎知識の I 部と II 部を土台に III 部のトレンドを読むという版元の意図どおりに使えば、投じた時間は最初の打ち合わせから回収できます。

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