ソフトウェア品質会計

ソフトウェア ヒンシツ カイケイ

NEC の高品質ソフトウェア開発を支える品質保証技術

ソフトウェア品質会計の表紙
ソフトウェア工学 / 設計
著者:
誉田直美(ホンダ, ナオミ)
出版社:
日科技連出版社
出版日:
2010年06月
ISBN:
9784817193483
在庫:
在庫あり
4.5(4 件 / 楽天ブックス)
上級者向け
ソフトウェア品質管理品質会計ソフトウェア開発品質保証ソフトウェアエンジニアリング実務向け企業ノウハウ品質改善ソフトウェアメトリクスプロフェッショナル開発

なぜ注目されているか

総合147位 ↓ 10 ランクダウン 言及 4 件
言及数
555位

書籍紹介

現場・現物・現実を重視する NEC のソフトウェア品質管理手法「品質会計」。20 年以上にわたる経験とノウハウの蓄積が凝縮されたソフトウェア品質管理の手法を公開。

技書の森解説

ソフトウェアの品質を出荷の判断に使える数字で語るには、何を数え、どの時点で何を基準に決めればよいのでしょうか。『ソフトウェア品質会計』 (誉田 直美 著、日科技連出版社、2010 年 6 月刊) は、その問いに対する NEC の答えである品質管理手法「品質会計」を解説した本です。副題は「NEC の高品質ソフトウェア開発を支える品質保証技術」で、版元は品質会計を、NEC で 20 年以上にわたって培われてきた手法であり、作り込んだバグを負債と見なし、バグの摘出によってこの負債を返済し、負債がゼロになった時点で出荷する考え方だと説明しています。著者は当初から品質会計に携わってきた立場で、そのノウハウを公開する一冊と位置づけられています。

枠組みからケーススタディ、組織の仕組みまで全 6 章の構成

目次は全 6 章に演習問題が続く構成です。第 1 章「ソフトウェアの品質と品質会計」で品質の捉え方と手法の位置づけを示し、第 2 章「品質会計のフレームワーク」で枠組みを、第 3 章「品質会計によるマネジメントの進め方」で日々の管理への落とし込みを扱います。第 4 章「品質会計のケーススタディ」で具体的な適用の姿を見せたあと、第 5 章「品質会計の効果をあげる組織的な仕組み」と第 6 章「品質会計の効果を引き出す方法」で、手法を個人の技量でなく組織の仕組みとして根づかせる側へ話を進めます。手法の説明だけで終わらず、運用と組織づくりに章を割いている点が、この本の性格をよく表しています。

バグを負債と見なす考え方が品質管理に効く理由

品質会計の発想が実務で効くのは、バグを見つけた数そのものではなく、作り込んだはずのバグがどれだけ残っているかという残高に目を向けさせる点です。設計や実装の各工程では、どれほど注意してもある程度のバグが入り込みます。それを負債として見積もっておけば、設計書の点検や コードレビュー、各段階の テスト での摘出は返済にあたり、返済が見積もりより極端に少なければ見落としを疑い、多すぎれば作り込みそのものが多い工程を疑う、という判断の手がかりが得られます。出荷の可否を担当者の感覚ではなく残高で議論できることも大きな利点です。また、後の工程ほど修正の手戻りが大きくなるため、早い工程で摘出を進めようという動機も自然に生まれます。品質の確認を開発の早い段階へ寄せる考え方は、一般に シフトレフト とも呼ばれます。版元が、昼夜を分かたぬバグとの苦しい戦いの中で、初めから品質の良いものを作らないと割に合わないという現場の実感から考案された手法と紹介しているのも、この点と重なります。

品質保証担当や開発リーダーに向く、定量管理の実務書

本書が合うのは、品質保証部門の担当者や開発プロジェクトのリーダーで、レビューやテストの結果を集計してはいるものの、それを出荷判定や工程の改善にどう結びつけるかで悩んでいる人です。品質の指標を組織として運用する仕組みづくりまで扱うため、部門の品質管理の方法を見直す立場の人にとっても参考になります。一方で、テストケースの設計技法や自動テストの書き方といった個々の技法を学びたい人には、本書は主題が異なります。その場合は テスト技術書の選び方 を手がかりに、目的に合う本を先に選ぶほうが近道です。また 2010 年刊のため、事例はその時点の開発環境を前提に読む必要があります。

それでも、バグを残高として管理するという考え方は、開発の進め方が変わっても色あせにくいものです。レビューとテストの数字は集まっているのに品質を説明しきれない、出荷判定がいつも経験と勢いに頼っている、という課題を抱えるチームにとって、20 年以上にわたって運用されてきた手法の枠組みと組織的な仕組みを一冊で確かめられる本書は、自分たちの品質管理を数字で組み立て直すための確かな下敷きになります。

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