スクラム実践者が知るべき 97 のこと

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スクラム実践者が知るべき 97 のことの表紙
その他
著者:
Gunther Verheyen / 吉羽龍太郎 / 原田騎郎 / 永瀬美穂(ギュンター ヴァーヘイエン / ヨシバ リュウタロウ / ハラダ キロウ / ナガセ ミホ)
価格:
¥2,640
出版社:
オライリー・ジャパン
出版日:
2021年03月23日頃
ISBN:
9784873119397
在庫:
1
判型:
単行本
3.7(10 件 / 楽天ブックス)
中級者向け
プログラミングアジャイルスクラムソフトウェア開発チーム管理プロジェクトマネジメントソフトウェアエンジニアリング開発プロセスエッセイ実践知識組織変革

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書籍紹介

スクラムを実践してきた著名人が寄せたエッセイ集!
スクラムはアジャイル開発のフレームワークですが、その実装は組織やチームのレベルに応じて様々です。本書はスクラムの実践において、様々な課題に対処してきた実践者が自らの経験や考え方を語るエッセイ集です。フレームワークのルールや役割、戦略、またスクラムで使うべきパターン、現場での体験談など紹介し、またスクラムを仕事に適用したり、調整する方法について学べます。

技書の森解説

スクラムガイドや入門書で枠組みは理解したのに、自分たちの現場でどう振る舞えばよいかが見えてこない。そうした段階のチームに向けて、世界中の実践者が経験と知見を短いエッセイに凝縮した本が『スクラム実践者が知るべき 97 のこと』 (Gunther Verheyen 編、吉羽龍太郎 / 原田騎郎 / 永瀬美穂 訳、オライリー・ジャパン発行、オーム社発売、2021 年 3 月刊) です。原書は "97 Things Every Scrum Practitioner Should Know" で、日本語版には日本を中心に活動する実践者による 10 本の書下ろしが加わっています。版元はこの本を、「スクラム適用の戦略、スクラムで進める上での戦術やパターン、さまざまな職種のコラボレーション、組織への影響」などを幅広い視点で紹介するエッセイ集と説明しています。

全 11 部の構成、97 本のエッセイと日本語版 10 本の書下ろし

構成は全 11 部です。第 Ⅰ 部「始め、適応、繰り返し」から第 Ⅹ 部「スクラム番外編」までに原書の 97 本が番号順に収められ、第 Ⅱ 部「価値を届けるプロダクト」、第 Ⅲ 部「コラボレーションこそがカギ」、第 Ⅴ 部「ミーティングではなくイベント」、第 Ⅵ 部「マスタリーは重要」、第 Ⅸ 部「組織設計」といった部題が示すとおり、プロダクト、協働、イベント、熟達、組織という論点ごとに束ねられています。1 本目「スクラムについて誰も教えてくれない 5 つのこと」、2 本目「プラクティスよりマインドセットが重要」、4 本目「スクラムはシンプルだ。変えずにそのまま使え」と、序盤から、形だけ整えても機能しないという問題意識がはっきり出ています。第 Ⅹ 部には「警察の仕事にスクラムを適用する」「eduScrum を使った教育現場でのアジャイル」のように、ソフトウェア開発の外へ適用を広げた事例が並びます。第 Ⅺ 部「日本を中心に活動する実践者による 10 のこと」は日本語版独自の書下ろしで、平鍋健児氏の「野中郁次郎のスクラム」、和田卓人氏の「F.I.R.S.T にあえて順位をつけるなら」、訳者でもある吉羽龍太郎氏の「完成とは何か?」などを収録し、巻末には寄稿者紹介とスクラム用語集、索引が付きます。なお 97 本の寄稿者は 97 人ではなく、複数本を寄せた寄稿者が含まれます。

シンプルなフレームワークほど実践が難しい、スクラムの背景

アジャイル開発 の枠組みの中でスクラムが広く使われる理由は、ルールが少なく、覚えることが少ない点にあります。ところがルールが少ないということは、「何をするか」は決まっていても「どうやるか」の大半が現場の判断に委ねられているということでもあります。スプリントを固定の長さで回し、検査と適応を繰り返すという経験主義の骨格だけでは、プロダクトバックログをどの粒度で切るか、ステークホルダーとの衝突をどう扱うか、レトロスペクティブ で出た改善案が翌スプリントで消えていくのをどう止めるか、といった問いには答えが出ません。この空白を埋めるのは、規則ではなく実践者の経験知です。本書が 1 人の著者による体系的な教科書ではなく、多数の実践者による短いエッセイの束という形をとっているのは、この空白の性質に合わせた選択と読めます。編者の Verheyen 氏は、書店掲載の書誌 (出版社提供 / 刊行当時) によれば 2003 年以来スクラムを実践し、Scrum.org でプロフェッショナルスクラムの各種コースのディレクターを務め (2013 年から 2016 年)、大規模スクラム用のフレームワーク Nexus の作成者の 1 人でもあります。訳者の 3 名は同じ書誌によれば株式会社アトラクタの Founder 兼 CTO / CEO / CBO を務めるアジャイルコーチで、スクラム用語の訳語に一貫性を期待できる布陣です。

スクラムガイドの次に読む本としての前提知識と使い方

前提として、スプリント、プロダクトオーナー、スクラムマスター、インクリメントといった基本用語を知っていること、できれば実際にスプリントを何度か回した経験があることが望ましいです。エッセイの多くは「スクラムとは何か」を説明し直さず、実践の中で起きる具体的な場面から書き始めるため、スクラムの枠組み そのものをこれから学ぶ人は、先に入門書かスクラムガイドで土台を作ってから手に取るほうが効率的です。読み方としては、通読を義務にせず、目次の部題から自分たちの困りごとに近い部を選んで拾い読みし、チームの朝会やレトロスペクティブで 1 本ずつ話題にする使い方が合います。1 本が短いので、忙しいスクラムマスターやプロダクトオーナーが隙間時間で 1 本読み、翌日のスプリントで試すというサイクルが成り立ちます。

一方で、手順やテンプレートを順番に示してくれるマニュアルを求める人、あるいはスクラムを体系的に一から学びたい人には、この本は散漫に映ります。逆に、スクラムを数か月以上運用して「形は整ったのに成果が伸びない」「イベントが儀式化してきた」という壁に当たっているチームなら、自分たちと同じ壁を越えた実践者の言葉を短時間で大量に浴びられるこの一冊は、コンサルタントを招くより手前で試せる安価な処方箋になります。スクラムマスターとしてチームに新しい視点を持ち込みたい人、プロダクトオーナーとして開発チームとの関係を見直したい人にとって、読んだ翌日から使える言葉が見つかる本です。

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