SRE の探求

エスアールイーノタンキュウ

様々な企業におけるサイトリライアビリティエンジニアリングの導入と実践

SRE の探求の表紙
クラウド / インフラ / DevOps
著者:
David N. Blank-Edelman / 山口 能迪 / 渡邉 了介(デイビッド エヌ ブランクエデルマン / ヤマグチ ヨシフミ / ワタナベ リョウスケ)
出版社:
オライリー・ジャパン
出版日:
2021年09月03日頃
ISBN:
9784873119618
在庫:
在庫あり
4(1 件 / 楽天ブックス)
中級者向け
SREサイト信頼性エンジニアリング事例研究ベストプラクティスクラウドコンピューティングマイクロサービスオペレーションパフォーマンスチューニング障害対応技術リーダーシップ

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言及数
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書籍紹介

Google 以外で SRE を実践する各社の取り組みや課題をまとめた事例集!
Microsoft、Dropbox、Google、SoundCloud、Spotify、Amazon、Facebook、Fastly、LinkedIn、Netflix、Lyft などで SRE を実践しているエンジニア、ディレクタ、SRE が、SRE の取り組みや課題について、「SRE の実装」、「SRE 最前線」、「SRE のベストプラクティスとテクノロジ」、「SRE の人間的側面」というテーマで詳述した書籍です。

技書の森解説

Google が体系化した SRE (サイトリライアビリティエンジニアリング) を、Google ではない組織がどう取り入れ、どこでつまずいたのかを実践者自身の言葉で集めた事例集が『SRE の探求』 (David N. Blank-Edelman 編、山口 能迪 監訳、渡邉 了介 訳、オライリー・ジャパン発行、オーム社発売、2021 年 9 月刊) です。原書は Seeking SRE で、副題は「様々な企業におけるサイトリライアビリティエンジニアリングの導入と実践」です。Microsoft、Dropbox、Google、SoundCloud、Spotify、Amazon、Facebook、LinkedIn、Netflix、Lyft など、規模も業種も異なる企業で SRE に携わるエンジニアやディレクタ約 40 名が執筆しており、単一の方法論を説く教科書ではなく、対談やケーススタディ、アンチパターンを交えて現場の声を並べる構成です。

全 33 章 / 4 部構成、SRE の導入から人間的側面まで

全 33 章は 4 部に分かれます。第 I 部「SRE の導入」 (1〜13 章) は、サイトリライアビリティエンジニアの面接、SRE チームの立ち上げ、専任 SRE チームなしで SRE の原則を適用する方法、Spotify のケーススタディ、大企業への導入、DevOps と SRE の関係、Facebook におけるプロダクションエンジニアリングなど、組織に SRE を根付かせる局面を扱います。第 II 部「SRE の周辺領域」 (14〜18 章) はカオス、信頼性とプライバシーの交点、データベースリライアビリティエンジニアリング、データ耐久性、SRE のための機械学習入門と、隣接分野へ視野を広げます。第 III 部「SRE のベストプラクティスと技術」 (19〜26 章) にはドキュメント作成業務の改善、サービスレベル目標の技法と科学、SRE のアンチパターン、イミュータブルなインフラストラクチャ、スクリプタブルロードバランサー、サービスメッシュの章が並びます。第 IV 部「SRE の人間的側面」 (27〜33 章) は心理的安全性、SRE の認知的作業、燃え尽き、オンコール反対論、複雑なシステムのためのエレジー、運用と社会運動の交点まで踏み込み、33 章のまとめで閉じます。

Google 流をそのまま真似できない理由と、事例集という形式の効き目

SRE の原典である『SRE サイトリライアビリティエンジニアリング』 (オライリー・ジャパン、2017 年刊) は、専任の SRE チーム、サービスレベル目標 と エラーバジェット による開発速度と信頼性の調停、トイルの削減といった考え方を、Google のプロダクション環境を前提に示しました。難しいのは、この前提が多くの組織には当てはまらないことです。大規模な専任チームを採用し維持できる企業は限られ、たいていは既存の運用チームや DevOps の文化が先にあって、信頼性の責任をどの職種が持つのかという組織設計の問いから始めなければなりません。一つの正解を示す教科書ではこの多様性を扱いきれないため、本書は各社の解釈と試行、失敗の顛末を並べる形式を採っています。専任チームを持たないまま原則を適用した組織の話、システム管理者から SRE へ移行した経緯、大企業の中で導入の道を開いた手順が別々の章として読めるので、自社の状況に近い章を起点にして他社の判断と比較しながら、自分たちの設計を組み立てられます。第 II 部の カオスエンジニアリング や第 III 部のサービスメッシュのように、SRE の実務と接する周辺技術を信頼性の観点から読み直せる点も、単一著者の本には出しにくい厚みです。

SLO やトイルの前提知識と、向かない読み方

前提として、SLO、エラーバジェット、トイルといった SRE の基本概念をひととおり知っていることが望ましく、原典を読んでいるか、実務で運用や信頼性の課題に向き合っている読者が想定されます。用語を一から定義する入門書ではありません。また、約 40 名がそれぞれの立場から書いているため、主張の粒度や文体は章ごとに異なり、一本の筋道で SRE を体系的に学びたい人には向きません。SRE を初めて学ぶなら原典から入り、本書は二冊目以降に位置づけるのが順当です。特定のツールの操作手順を期待する人にも合いません。

原典を読み終えた SRE 実践者とマネージャーが元を取れる本

元が取れるのは、SRE の導入を任されたものの自社は Google ではないと感じている人、運用チームの再編や信頼性目標の設定で合意形成に苦労しているマネージャー、そして DevOps の延長で SRE を名乗り始めたチームが自分たちのやり方を点検したい場合です。DevOps と SRE の関係を扱う章は両者を対立させずに整理する材料になり、DevOps 全般の技術書については DevOps 本の選び方 で別途まとめています。信頼性を工学として扱う思想を自分たちの規模と文化に翻訳する作業に着手する人にとって、他社の試行と失敗を一冊で見渡せる本書は、その作業の見通しを良くする参照点になります。

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