Unix 考古学 Truth of the Legend

ユニックスコウコガク トゥルース オブ ザ レジェンド

Unix 考古学 Truth of the Legend の表紙
OS
著者:
藤田 昭人(フジタ アキト)
出版社:
ドワンゴ
出版日:
2016年04月
ISBN:
9784048930505
在庫:
在庫あり
5(2 件 / 楽天ブックス)
中級者向け
UNIXOS歴史コンピュータアーキテクチャシステムプログラミング技術者伝記コンピュータサイエンスオペレーティングシステム技術進化レガシーシステム

なぜ注目されているか

総合363位 ↑ 4 ランクアップ 言及 8 件・うち記事 6 件を掲載
言及数
426位
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書籍紹介

情報化社会の成立とともに進化を続けてきた Unix。その歴史は数々の伝説に彩られている。Unix を支えた多くの天才的技術者は何を目指し、今日の技術基盤はどのように確立したのか。その真実が明かされる。

技書の森解説

Unix がどこから来て、どのように広がったのかを、版ごとの節目と周辺の研究や社会の動きを重ねながらたどる歴史の本です。『Unix 考古学 Truth of the Legend』 (藤田 昭人 著) は、ドワンゴが発行し KADOKAWA が発売した本で、NDL の書誌では 2016 年 4 月刊、KADOKAWA の商品ページでは紙書籍の発売日が 2016 年 4 月 28 日、電子版が 2017 年 1 月 10 日です。商品ページによると、ソフトバンク クリエイティブの雑誌『UNIX USER』の連載「Truth of the Legend - UNIX 考古学」を再編し、大幅に加筆と修正を加えたものです。

全 18 章と付録、Multics から Unix Wars まで

KADOKAWA の商品ページの目次は全 18 章と付録 A で、6 章までは節題も示されています。1 章のプロローグは Multics を扱い、Multics の開発に加えて Project Whirlwind と ARPA の節を置きます。2 章は PDP-7 上の Unix で、Ken Thompson と Dennis Ritchie、Multics Project 撤退直後の混乱、開発用コンピューターの調達、Space Travel、TMG、Programming Language B と続きます。3 章「First Edition Unix (Version 1 Unix)」では PDP-11、QED、roff が、4 章「Third Edition Unix (Version 3 Unix)」では Small is Beautiful と C 言語の開発が節になっています。5 章「デビュー」は学会発表のあと、BBN の LISP 研究、PDP-10 の登場、デマンドページングによる仮想記憶、TENEX へ話が広がり、6 章は Programmer's Workbench です。7 章以降は Seventh Edition Unix、Unix at Berkeley、Berkeley Software Distribution、UNIX 32/V、3BSD、ARPANET、4BSD、4.2BSD/4.3BSD、ワークステーションのコンセプト、AT&T と Unix ライセンス、Unix Wars と進み、18 章のエピローグと付録 A「Unix 関連のトピック」で閉じます。

版の名前で歴史をたどる意味と、周辺の研究を挟む並び

章題の多くが Unix の版や配布版の名前になっているのは、Bell Labs の研究版の UNIX がプログラマーズマニュアルの版数で呼ばれ、版を重ねるごとに機能が加わっていったためです。First Edition から Third Edition にかけては、アセンブリで書かれていたシステムを高水準の言語で書き直すための C 言語 が形になる時期にあたり、4 章の節立てはその流れに対応しています。Seventh Edition はさまざまな計算機へ移植された版として知られ、その VAX 向けの移植である UNIX 32/V をもとに、カリフォルニア大学バークレー校で仮想記憶を加えた 3BSD が生まれ、4.2BSD では TCP/IP を組み込んだネットワーク機能が加わりました。目次が 5 章で TENEX とデマンドページングを、12 章で ARPANET を、それぞれ Unix の版の章の間に置いているのは、Unix の外で進んだ研究がのちに Unix へ取り込まれていく前提を先に示すためと読めます。商品ページの紹介文も、仮想記憶に代表される OS 研究の成果の反映や、TCP/IP の確立で果たした役割を本書の主題に挙げています。

OS の成り立ちを背景から知りたい読者へ

商品ページの紹介文は、Unix 開発の中心にいた Ken Thompson と Dennis Ritchie、Sun Microsystems の創始者の 1 人である Bill Joy をはじめとする多くのハッカーの存在に触れ、Small is Beautiful という Unix の基本的な哲学にも言及しています。紹介文が関連技術の概要とともに解説すると案内しているとおり技術の説明も含みますが、目次から見るとコマンドやシステムコールの使い方を学ぶ本ではなく、ある機能がどの版で、どの研究や組織の事情を背景に入ったのかを知るための本なので、手順書を求める人には向きません。一方で、Linux や macOS、BSD 系の OS を日々使いながら、その設計の由来や、AT&T のライセンスをめぐる事情、Unix Wars と呼ばれた分裂の経緯を一続きの流れとして押さえたいエンジニアにとっては、断片的に聞いてきた逸話を年代と技術の順に並べ直せる 1 冊です。とくに BSD の各版を追う章の並びは、ネットワークとワークステーションの時代へ Unix がどう移っていったかを確かめる手がかりになります。

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