Docker 実践ガイド 第 3 版
ドッカージッセンガイドダイサンパン
- 著者:
- 古賀 政純(コガ マサズミ)
- 出版社:
- インプレス
- 出版日:
- 2023年02月21日
- ISBN:
- 9784295015895
- シリーズ:
- impress top gear
- 在庫:
- 在庫あり
なぜ注目されているか
書籍紹介
Docker の基本概念から Kubernetes の導入・活用に至るまで企業におけるコンテナ環境の実践的な活用手法を網羅。
技書の森解説
『Docker 実践ガイド 第 3 版』 (古賀 政純 著、インプレス、impress top gear シリーズ、2023 年 2 月刊) は、Docker の基本概念から Kubernetes の導入と活用までを、企業のシステム基盤にコンテナを持ち込む立場から解説した書籍です。副題はコンテナ環境の構築 / 運用 / 活用で、版元の紹介では、技術者だけでなく、IT 基盤の方向性の検討や意思決定を行う立場の読者も導入前の検討を実践できるよう、コンテナの特徴や導入時の検討項目、注意点をチェックリストと構成図で整理したと説明されています。手元の開発環境で Docker を使うだけでなく、社内の基盤としてコンテナを設計し運用する道筋を一冊で確かめたい人に向いた本です。
全 9 章の構成と、第 3 版の加筆点の位置
構成は、想定する読者や本書の構成、表記と実行環境を述べるはじめにに続いて、全 9 章と付録 A〜D です。第 1 章で Docker の誕生、向くシステムと向かないシステム、Docker の課題、コンテナのアーキテクチャを、第 2 章で導入前の検討項目、Docker を稼働させる OS の選択要件、Docker のエディションを整理します。第 3 章 Docker Community Edition は、物理サーバーの CPU やメモリ、ディスクの留意点、ホスト OS のインストールとパーティショニングの例から、Rootful と Rootless の 2 つのモードでのインストール、基本操作、イメージとコンテナ、systemd に対応したコンテナ、イメージのセーブとロードまでを扱います。第 4 章は Dockerfile で、プロキシサーバーの情報を入れない方法や CMD 命令と ENTRYPOINT 命令の関係、社員食堂の Web サイトの構築例を、第 5 章はネットワーキングで、ホスト内と複数の物理ホストにまたがるコンテナ間の通信、非 Swarm 環境と Swarm 環境での Macvlan、IPvlan ネットワークを、第 6 章は資源管理で、CPU、メモリ、I/O 帯域幅の制限に加えて、GUI アプリケーションや DVD、サウンドプレイヤー、Web カメラをコンテナで使う例を取り上げます。第 7 章は管理ツールとして Docker Compose、Docker イメージの社内配信と集中管理、セキュリティ管理ツール、GUI 管理ツール、仮想端末で稼働する管理ツールを、第 8 章は Kubernetes によるコンテナオーケストレーションとして Pod、冗長システム、永続的ストレージを使うブログサイトの構築、Kubernetes 対応の管理ツール、軽量 Kubernetes を、第 9 章はコンテナ管理プラットフォームとして、コンテナ管理ソフトウェアの位置づけと Kubernetes アプリケーションの配備を扱います。付録には docker コマンドと使用例、Dockerfile の命令一覧、Swarm モードと Docker Compose のコマンド一覧が収められ、各章は最後の節がまとめになっています。
版元の内容紹介によれば、大規模なデータセンター向けのコンテナ基盤を構築した経験がない技術者でも基礎を理解できるよう、Docker (v20.10 系) のインストール手順や使い方を具体的に記載し、Docker Compose によるコンテナの連携、Swarm モードによるクラスター化、GUI 管理ツールによる管理、仮想ネットワークの構築、DVD や音源といった周辺機器の使用例、インターネットに接続しない社内コンテナ環境の構築、Kubernetes までを扱います。第 3 版では Rootless Docker、Ipvlan によるネットワーキング、認証付きプライベートレジストリ、K3s についての加筆に加えて、商用のコンテナ管理基盤である Ezmeral Runtime Enterprise の構築手順と使い方を新たに取り上げており、版元はこれらを 2022 年時点のトピックと説明しています。目次と照らすと、Rootless Docker は第 3 章の Rootless モードでのインストール、Ipvlan は第 5 章の IPvlan ネットワークの節として現れます。残りの 3 つは節題に名前が出ません。
企業のコンテナ基盤で問われる閉じた環境と権限
コンテナを社内の基盤として扱うときに難しくなるのは、コンテナを動かすこと自体よりも、その周りの前提を企業の事情に合わせることです。外部のレジストリへ自由に出られない環境では、イメージを社内で配信し、誰がどのイメージを置けるのかを認証付きのプライベートレジストリで管理する必要があります。また Docker デーモンを root 権限で動かす従来の形では、コンテナから抜け出された場合の影響がホスト全体に及ぶため、一般ユーザーの権限でデーモンとコンテナを動かす Rootless 実行が選択肢になります。これは Linux の 名前空間と cgroup による隔離の上に、権限の面でもう一段の壁を設ける考え方です。さらに、複数のホストにまたがってコンテナを配置し、障害時に自動で立て直すには オーケストレーションの仕組み が要り、本書では Swarm モード、Kubernetes、軽量な K3s を並べて扱っています。大規模な Kubernetes を運用するほどの規模や人員がない組織にとって、こうした選択肢を同じ本の中で比べられる点は判断材料になります。
Linux の前提知識と 2022 年時点の手順の注意
ホスト OS のインストールやパーティショニング、systemd に対応したコンテナの節があることから、Linux のサーバー上での操作が軸になると読めるため、シェルの操作やパッケージの管理、ネットワークの基本設定に慣れていることが前提になります。また本書は Docker の v20.10 系を前提にしており、Docker Engine や Kubernetes、各イメージはその後も版を重ねています。版元の訂正情報には、2024 年 2 月時点で MariaDB を使う Compose の構成例でイメージに mariadb:latest を指定すると、docker compose の実行時にエラーになるため、MariaDB のイメージをバージョン 10 系に明示して指定する回避策が掲載されています。これは latest のタグが指す中身は時間とともに変わるという、コンテナ運用の基本的な注意そのものでもあり、手順を再現するときはイメージのタグを固定し、ダウンロードと訂正のページを先に確認しておくと詰まりにくくなります。
一方で、アプリケーション開発者がローカルの開発環境を整える目的だけで Docker を学びたい場合や、マネージドな Kubernetes サービスの使い方を中心に知りたい場合には、本書の重心である社内基盤の構築と運用は遠回りになります。目的に合わせてクラウドやコンテナの本を選び分けたいなら、インフラとクラウドの技術書の選び方 を眺めておくと比べやすくなります。逆に、オンプレミスや閉じたネットワークでコンテナ基盤の導入を検討する立場にあり、検討項目の洗い出しから Kubernetes と K3s の構築、管理ツールの選定までを一続きで確認したい人にとって、本書は手元に置いて参照する価値の高い一冊です。
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この本は技書デッキのカードです (備え 4 / 流儀: 回復は備えにも) 図鑑でこの本を見る
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