図解即戦力 通信業界のしくみとビジネスがこれ 1 冊でしっかりわかる教科書

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図解即戦力 通信業界のしくみとビジネスがこれ 1 冊でしっかりわかる教科書の表紙
ネットワーク
著者:
実積 寿也 / 藤木 俊明(ジツヅミ トシヤ / フジキ トシアキ)
出版社:
技術評論社
出版日:
2022年02月17日頃
ISBN:
9784297126377
在庫:
在庫あり
3(4 件 / 楽天ブックス)
初級者向け
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なぜ注目されているか

総合2149位

書籍紹介

通信業界はインターネットの普及や IoT の成長、またテレワークの浸透とともにその存在感をさらに増しています。本書では、通信業界の内部や現況を説明文と図をセットにしてわかりやすく解説しています。業界の最新動向から主な通信会社の市場規模やグループ関係、企業の組織・業務、内部で働く人の仕事内容などの現場の実情など、就活生はもちろん、新たなビジネスチャンスを探している人にも、気になる業界の最新動向がわかります。

技書の森解説

通信業界を志望する就活生や転職者が、携帯料金の値下げ競争より奥にある業界の構造を知ろうとしたときに最初に読める教科書です。『図解即戦力 通信業界のしくみとビジネスがこれ 1 冊でしっかりわかる教科書』 (実積寿也 / 藤木俊明 著、技術評論社、2022 年 2 月刊) は、版元の概要が「説明文と図をセットにしてわかりやすく解説」と述べるとおり、通信業界の構造、主要キャリアの特徴、企業の組織と仕事内容、政策と法規制、グローバル動向を、一項目ずつ図と文章の組み合わせで整理した業界研究書です。版元は対象読者を「通信業界への就職・転職を目指す人」と明示しています。執筆は分担制で、第 1 章から第 4 章と第 8 章から第 10 章を通信政策 / 通信経済が専門の実積寿也氏 (中央大学総合政策学部教授、郵政省を経て 2017 年より現職) が、第 5 章から第 7 章をビジネスコンテンツの企画制作を手がけ IT 企業やスタートアップの取材が多い藤木俊明氏が担当しています。

全 10 章の構成、業界の経済学から法規制と将来展望まで

構成は Chapter 1 から Chapter 10 までの全 10 章です。Chapter 1 は基礎知識の章で、情報通信産業の規模に加え、規模の経済 / 範囲の経済、自然独占、ネットワーク効果、両面市場と無料サービスという業界の特徴を四つに分けて説明し、料金体系、トラヒック増大への対応、ベストエフォート品質の表示、電波資源まで扱います。Chapter 2「通信業界の構造」と Chapter 3「主要キャリアの特徴」では、3 大グループ+α化への動き、固定通信事業者、モバイル事業者、ケーブルテレビ / 衛星通信事業者、ISP、通信端末 / 通信機器メーカーといったプレイヤーの分類に続き、NTT グループ各社、KDDI (au)、ソフトバンク、楽天モバイル、電力系事業者、MVNO と MVNE を個別に取り上げます。Chapter 4「インターネット関連事業者の特徴」はピアリングとトランジット、IX、クラウド とデータセンター、CDN、検索エンジン、SNS、電子商取引、電子決済までを一続きの構造として描き、Chapter 5 から 7 はキャリアの組織体制と、技術部門 / 事業部門それぞれの仕事内容を職種ごとに紹介します。Chapter 8「政策と法規制」は電気通信事業法、NTT 法、電波法、競争政策、ユニバーサルサービス、周波数割当て、ネット中立性、帯域制御とゼロレーティングのガイドライン、プラットフォーム規制、プロバイダ責任制限法を並べ、Chapter 9 は米中対立の影響や官製値下げ、ウィズコロナ社会の通信事業、Chapter 10 は QoS と QoE、ローカル 5G、衛星コンステレーション、情報銀行、Beyond 5G 戦略、IOWN 構想を将来の展望として置いています。

規模の経済と自然独占から法規制を読み解く技術背景

通信業界の理解が難しいのは、企業名と料金プランを覚えても、なぜこの業界にだけ NTT 法のような特別な法律があり、なぜ電波の割り当てを政府が握り、なぜ MVNO という借り物の ネットワーク で商売する事業者が成立するのかがつながらないからです。鍵は Chapter 1 で説明される経済の性質にあります。通信は基地局や光ファイバー網に巨額の固定費を要する設備産業で、利用者が増えるほど一人あたりの費用が下がる規模の経済が働くため、放っておけば巨大な事業者による自然独占に向かいます。だからこそ独占の弊害を抑える電気通信事業法や競争政策が必要になり、設備を持たない MVNE や MVNO に回線を貸し出させる制度が競争を生み、電波という共有資源は周波数割当てという形で配分されます。さらに利用者が増えるほど価値が上がるネットワーク効果と、広告主と利用者の両側から成り立つ両面市場の性質を押さえると、無料サービスで成長した検索エンジンや SNS がなぜプラットフォーム規制の対象として通信業界の本に登場するのかも見えてきます。本書は物理回線を持つ事業者から ISP、IX、クラウドや CDN、その上のサービス事業者へと層をたどる構成なので、読み終えると個々の企業を業界の層構造と制度の中に位置づけて語れるようになります。

就活 / 転職での使い方と、技術書として向かない点

第 5 章から第 7 章は、ネットワークの構築 / 工事 / 運用、研究開発、サービス企画、法人営業のコンサルティング、モバイルショップでの販売、カスタマーサポートといった職種ごとに仕事の中身を説明する章で、志望動機を「どの部門で何をしたいか」まで具体化する材料になります。一方で本書は業界と制度を扱う本であり、TCP/IP のプロトコルや無線通信方式の技術的な仕組みを解説する技術書ではありません。ネットワーク技術そのものを学びたい場合は、ネットワーク本の選び方 で扱う教科書類と役割を分けて使うのが適切です。また 2022 年 2 月刊のため、楽天モバイルを第 4 のキャリアとして位置づける記述や官製値下げ、ウィズコロナ社会の通信事業といった動向は、その時点の描写として読む必要があります。事業者のグループ関係、料金、法制度は変わりやすいので、本書で「なぜそうなっているか」の構造を押さえ、個別の事実は刊行後のニュースや官庁資料で確かめる二段構えが前提です。

元が取れるのは、通信業界を第一志望群に入れている就活生と、通信キャリアや ISP、MVNO への転職を考えている社会人です。加えて、通信事業者を顧客にする法人営業や企画職、あるいは自社サービスが乗っているインターネットの下の層がどんな事業者と制度で成り立っているかを知りたい IT エンジニアにとっても、業界の全体像を一冊で俯瞰できる本は貴重です。経済の原理と法規制の対応関係まで押さえた業界研究書を求めるなら、この本を選ぶ理由は十分にあります。

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