新人工知能の基礎知識

シン ジンコウ チノウ ノ キソ チシキ

新人工知能の基礎知識の表紙
AI / 機械学習
著者:
太原育夫(タハラ, イクオ)
出版社:
近代科学社
出版日:
2008年06月
ISBN:
9784764903562
在庫:
在庫あり
0

なぜ注目されているか

総合276位 ↓ 2 ランクダウン 言及 8 件
言及数
329位
01220222023202420252026

技書の森解説

『新人工知能の基礎知識』 (太原 育夫 著、近代科学社、2008 年 6 月 25 日発売) は、人工知能という分野で行われている議論や研究を理解するための基礎知識を、探索と論理による推論、知識表現を軸に解説した教科書です。版元の紹介によると、1988 年の初版発行以来 27 刷を重ねた本を時代に合わせて更新したもので、「述語理論を詳説」とうたい、新たに演習問題とその解答を掲載しています。単に「こういうことがある」という知識ではなく、「なぜこのように考えるのか」という疑問に答えられる理解を身につけられるように構成した、と版元は説明しており、講義資料も版元のサポートページから入手できます。

全 10 章の構成、問題解決と探索から不完全な知識まで

本書は全 10 章と、演習問題、演習問題の解答で構成されます。第 1 章「人工知能概説」で人工知能研究の流れを概観し、第 2 章「問題解決」で問題の表現と問題解決プロセスの表現を、第 3 章「探索」で基本的な探索法と評価関数を利用した探索法を扱います。第 4 章「論理と推論」から第 6 章「導出原理」までは、命題論理、決定問題、公理系と形式的証明、述語論理式と限量記号、スコーレム標準形、エルブランの定理、導出の制御戦略と、論理に基づく推論の理論を順に積み上げる部分で、版元が詳説とうたう内容にあたる本書の中心と読めます。続く第 7 章「論理による問題解決」は解の抽出とフレーム問題、第 8 章「論理プログラミング」はホーン節と導出戦略、第 9 章「知識表現」はプロダクション・システム、フレーム、意味ネットワーク、第 10 章「不完全な知識」は非単調推論、極小限定、デフォルト推論、仮説を用いた推論を取り上げます。

述語論理と導出原理を軸にした人工知能の考え方

この目次が示しているのは、知識を記号と論理式で書き表し、そこから機械的な手続きで結論を導くという人工知能の考え方です。問題解決を状態と操作の組で表すと、解を見つけることは状態を節点、操作を辺とみなした グラフアルゴリズム の探索に帰着し、評価関数はその探索をどの方向へ進めるかの手がかりになります。導出原理は、論理式を節の形に変換し、否定した結論と組み合わせて矛盾を導くことで証明を機械化する方法で、ホーン節に制限すると効率よく実行できることが、Prolog に代表される論理プログラミングの土台になっています。フレーム問題は、ある行動で変わらない事柄をすべて書き尽くすことの難しさを指し、不完全な知識の下で結論を後から撤回できる非単調推論やデフォルト推論は、常識的な推論を論理で扱おうとする試みの延長にあります。

記号処理の基礎を学ぶ前提知識と、機械学習の本との使い分け

述語論理の記法や形式的証明を章を追って扱うため、記号や数式による記述を読み慣れていると進めやすくなります。一方で、2008 年に刊行された本で、目次には機械学習やニューラルネットワーク、深層学習を扱う章はありません。データから学習するモデルの仕組みや実装を学びたいなら、機械学習 を正面から扱う別の本を選ぶほうが目的に合い、機械学習とディープラーニングの技術書の選び方 で候補を絞るのが近道です。

逆に、大学の講義で人工知能のうち探索と論理と知識表現の部分を学ぶ学生、ルールに基づく推論や知識の表現形式を理論から理解したい人、論理と推論の古典的な枠組みを押さえたうえで新しい手法との違いを自分で説明したい人にとって、演習問題と解答まで備えた本書は、推論の理論を一つずつ確かめながら身につけられる教科書です。

言及した記事 (8 件)

この本に興味がある方におすすめ

関連する本

関連記事

関連用語

共有: