プロのための図解ネットワーク機器入門

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スイッチ、ルータからファイアウォールまで徹底解説

プロのための図解ネットワーク機器入門の表紙
ネットワーク
著者:
三輪賢一(ミワ, ケンイチ)
出版社:
技術評論社
出版日:
2012年12月
ISBN:
9784774153742
在庫:
在庫あり
4.3(10 件 / 楽天ブックス)
中級者向け
LANネットワークスイッチルーターファイアウォールVPNQoSハードウェアアーキテクチャ無線 LANプロトコル

なぜ注目されているか

総合2462位

書籍紹介

L2 スイッチとフレーム転送、ルータと IP ルーティング、L3 スイッチと VLAN…それぞれの重要機能がわかる。ファイアウォール、無線 LAN までしっかりフォロー。VPN、QoS、RIP…プロトコルや付加機能を機器別に整理。ハードウェアアーキテクチャに踏みこんで理解。評価、提案、調達、保守の基本的な流れも習得できる。

技書の森解説

OSI 参照モデルや TCP/IP の教科書を読み終えたエンジニアが次にぶつかるのは、製品カタログに並ぶスイッチやルータの仕様と機能が読み解けないという壁です。『プロのための図解ネットワーク機器入門』 (三輪賢一 著、技術評論社、2012 年 11 月刊) は、その壁に向けて書かれた一冊で、副題は「スイッチ、ルータからファイアウォールまで徹底解説」、版元の書名表記では「図解」が角括弧で囲まれています。版元は、ネットワーク の基礎を学習したエンジニアがより実践的な製品知識をつけるための本と位置づけ、機器が進化して多くの機能を備えるようになった結果、入門書レベルの知識では製品の仕様や機能をつかむことが困難になったという問題意識を掲げています。版元が特徴として挙げるのは明快な構成と豊富な図解で、現場のプロとして必要な知識をすばやく吸収できる本だと案内しています。

全 7 章の構成、機器共通の基礎から選定のポイントまで

構成は全 7 章です。第 1 章「ネットワーク機器に共通する基礎知識」では OSI 参照モデルとイーサネットの復習、10BASE-T、100BASE-TX、1000BASE-T/1000BASE-TX、1000BASE-SX/LX の各 LAN 規格に加えて、汎用サーバと専用アプライアンスの違い、CPU / メモリ / ハードウェアチップ / 電源 / ファンといったアプライアンスの構成要素、ツイストペアケーブルや光ファイバケーブル、ラックまでを押さえます。第 2 章は L2 スイッチで、リピータとブリッジの違い、MAC アドレスの学習、フレーム転送方式、SFP/SFP+ や PoE を含むポートの種類と数、スパニングツリー機能やリンクアグリゲーション、VLAN、ポートミラーリングなどの搭載機能、PHY モジュールと MAC モジュールから成るアーキテクチャへと進みます。第 3 章から第 5 章はルータ、L3 スイッチ、ファイアウォールを、いずれも「どのような機器か」「どのようにして誕生したか」「どのように分類されるか」を順に問い、そのうえで搭載される機能へ進む同じ構造で、ルータの章ではロンゲストマッチとデフォルトゲートウェイ、スタティックルーティングとダイナミックルーティング、冗長化や QoS などの付加機能、CLI による設定を、ファイアウォールの章ではセッション管理、NAT、VPN、DoS 防御などの機能と、同時セッション数や新規セッション毎秒値といった性能を決める要素を扱います。

第 6 章「急速に普及する無線 LAN の基礎知識」は CSMA/CA、IEEE 802.11 から 802.11a/b/g/n/ac/ad までの規格、アクセスポイントにおける認証と無線 LAN 通信の暗号化、チャネルと干渉、製品仕様の見方を扱います。第 7 章「ネットワーク機器を選択するポイント」は本書の題名にある「プロのための」を体現する章で、製品カテゴリを選択し、機能要件を基に候補モデルを絞る手順、RFI / RFP / RFQ を含む購入の流れ、アプライアンス製品のパフォーマンス計測手法、MTBF と MTTR に基づく高可用性の考え方、ポート単価やビット単価、ランニングコスト、サポート費用という価格の見方、グリーン調達や RoHS 対応などの調達条件、保守とメーカー保証まで、版元の紹介文にある評価、提案、調達、保守の基本的な流れを一通り追えます。

プロトコル知識と製品仕様の間にある溝を図解で埋める

ネットワークの教科書はプロトコルの振る舞いを層ごとに説明しますが、実際の製品は「MAC アドレステーブル数」「ジャンボフレーム」「同時セッション数」「スタック接続」といった、プロトコルの教科書には出てこない語彙で自らを説明します。この溝が埋まらないと、L2 スイッチと L3 スイッチのどちらを選ぶべきか、ファイアウォールの性能表のどの数値が自社の通信量に効くのかを判断できません。本書のアプローチは、ハードウェアアーキテクチャに踏みこんで、スイッチの PHY モジュールと MAC モジュール、ルータの構成要素と起動の流れといった部品の水準で処理を説明し、カタログの数値が何を測ったものなのかを図解で理解させる点にあります。TCP/IP の知識が機器の中でどう実装されているかを知ると、仕様の読み方だけでなく、障害時に「どの機器のどの処理で詰まっているか」を切り分ける勘所も育ちます。

前提として、2012 年時点の機器環境が土台である点は押さえておく必要があります。無線 LAN の規格は IEEE 802.11ac と 802.11ad まで、光インタフェースは SFP/SFP+ までが目次に登場し、公開されている目次に SDN やクラウド上の仮想ネットワークサービスは含まれません。一方で、スイッチがフレームを学習して転送する原理、ルータがロンゲストマッチで経路を選ぶ原理、ファイアウォールがセッションを管理する原理、そして RFP や MTBF に基づく機器選定の考え方は、その後の製品にも同じ形で受け継がれている土台です。年代を意識して読めば、後から登場した機能を「土台の上に何が加わったか」として整理できます。

ネットワークの基礎を終えた初級エンジニア向け、設定手順の演習書ではない

版元が対象として挙げるのは、初級のネットワークエンジニア、ネットワーク管理者、ネットワークエンジニアを目指しているひとの 3 者で、OSI 参照モデルや IP アドレスの基礎を一度学んでいることが読み進める前提になります。著者の三輪賢一氏は、版元プロフィールによれば 1997 年に岐阜高専電子制御工学科を卒業し、ATM 交換機上の TCP/IP モジュール開発を経験したのち、シリコンバレーのネットワーク機器ベンダ日本法人のシステムズエンジニアとして通信事業者や企業向けにネットワーク機器の提案、構築、運用サポート業務に従事してきた人物で (刊行時点の記載)、著書に『かんたんネットワーク入門』 (技術評論社) があります。提案、構築、運用サポートという経歴と、第 7 章が調達と保守まで扱う構成は重なります。逆に、特定ベンダーのコマンドを打ちながら設定を覚えたい人には向きません。CLI による設定はルータの章の一節にとどまり、本書の主眼は「どの機器が何をどう処理するか」を理解することにあります。ネットワーク本の選び方 の段階で言えば、全体像の教科書を終えて実務書へ移る手前で、製品の見方を身につける位置に置く本です。

社内ネットワークの機器更改で提案書や RFP を読み書きする立場になった人、保守契約や MTBF の意味を理解したうえで機器を選びたい管理者、資格学習で用語は知っていても実機の像が結ばない初級エンジニアにとっては、機器ごとの機能一覧と選定の流れが一冊にまとまっている分だけ投じた時間の回収が早い本です。プロトコルの知識を製品の仕様書が読める力へ変えたい人には、2012 年刊という年代を織り込んでも手元に置く価値のある一冊です。

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