エンジニアのための時間管理術

エンジニア ノ タメノ ジカン カンリジュツ

エンジニアのための時間管理術の表紙
エンジニアのキャリア / 思考
著者:
トーマス・A.リモンチェリ / クイープ(リモンチェリ, トーマス・A. / クイープ)
出版社:
オーム社
出版日:
2006年10月
ISBN:
9784873113074
在庫:
在庫あり
4.02(46 件 / 楽天ブックス)

なぜ注目されているか

総合560位 ↑ 8 ランクアップ 言及 4 件・うち記事 3 件を掲載
言及数
680位

技書の森解説

障害対応や問い合わせで作業が細切れになりがちなシステム管理者に向けて、時間の使い方を仕組みとして整える方法を説いた本が『エンジニアのための時間管理術』 (Thomas A. Limoncelli 著、株式会社クイープ 訳、オライリー・ジャパン、2006 年 10 月 18 日発行) です。原書は Time Management for System Administrators で、版元の紹介文は、システム管理者とネットワーク管理者を中心にしたエンジニアのための実践的な時間管理術を紹介する書籍と説明しています。中心に置かれるのは著者が考案した「サイクルシステム」と呼ばれる方法で、作業リスト、スケジュール、さらに仕事とプライベート双方の長期的な目標をこの方法で管理します。版元のページは「はじめに」から、システム管理は仕事ではなく「それはライフスタイルなのです」という一節を引いています。

割り込みとルーチンからサイクルシステム、自動化まで全 13 章

目次は全 13 章です。1 章「タイムマネジメントの原則」で、情報を 1 か所にまとめる、日課を定めて従う、プロジェクトの時間の間は集中を保つといった原則を示し、2 章「集中と割り込み」では、集中しやすい環境の作り方と、割り込みを別の方向へ向けたり悪印象を与えずに断ったりする方法を扱います。3 章「ルーチン」は、上司と定期的に会う、ファイルを編集する前に常にバックアップをとるなど 10 個の日課の例と、日課の作り方、古い習慣の絶ち方です。4 章から 7 章がサイクルシステムの本体で、4 章で考え方を説明したあと、5 章で作業リストとスケジュール、6 章でカレンダーの管理、7 章で人生の目標を順に扱います。8 章「優先順位」のあとは、9 章「ストレスの管理」、10 章「電子メールの管理」、11 章「時間の浪費」、12 章「文書化」、13 章「自動化」と続き、おわりには「新しい」自由時間をどうするかという話で閉じます。

計画した作業と突発の作業が同じ人に集まる運用の仕事

運用を担う人の一日は、計画して進めたい作業と、予告なく入る作業が同じ時間を取り合う形になりやすいものです。障害が起きれば検知から復旧、再発防止までを受け持つ インシデント管理 の流れが優先され、手元の作業はそこで止まります。止まった作業を再開するには、どこまで進めたかを思い出す手間がかかり、短い中断が重なるほど一日に進められる量は目に見えて減ります。そのため、やるべきことを頭の中ではなく決まった 1 か所に書き出しておき、中断のあとでも次の一手がすぐ分かる状態を保つことが、この種の仕事では効き目の大きい工夫になります。

突発の作業を減らす側の手立てもあります。同じ手順を何度も手で繰り返す作業は、運用の分野で トイル と呼ばれる種類の負担で、コマンドの並びを シェルスクリプト にまとめて人の手を離せば、その分の時間が戻ってきます。よく聞かれることを書き残して誰でも参照できる場所に置くことも、同じ質問への応対を減らす手段になります。

2006 年刊の道具立てと、手順の骨格を生かせる読者

2006 年の刊行なので、道具立てには刊行時点の環境が反映されています。5 章には PAA と PDA をサイクルシステムで使うための準備という節があり、3 章の日課の例にはバックアップテープの手動交換を事前にまとめるという項目、12 章には Wiki の節が並びます。手帳や携帯端末、作業管理の道具はその後大きく変わったため、道具の選び方はそのまま当てはめず、記録を 1 か所に集め、日課を決め、優先順位を付け直すという手順の骨格を読み取る読み方が合います。逆に、特定の作業管理ツールの使い方や、チーム全体の運用体制の設計を学びたい場合は、目次の範囲から外れます。

運用やサポートの仕事を抱え、割り込みのたびに予定が崩れて長期のプロジェクトが進まないと感じているエンジニア、上司とのやり取りや断り方まで含めて自分の時間の守り方を見直したい人にとって、本書は日々の手順へすぐ落とし込める処方箋の集まりです。1 章の原則と 4 章から 7 章のサイクルシステムを先に読み、自分の一日の流れに合わせて取り入れていくと、得られるものが早く手元に残ります。

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