プログラミング教育はいらない

プログラミングキョウイクハイラナイ

GAFA で求められる力とは?

プログラミング教育はいらないの表紙
プログラミング
著者:
岡嶋裕史(オカジマ ユウシ)
出版社:
光文社
出版日:
2019年02月15日頃
ISBN:
9784334043971
シリーズ:
光文社新書
在庫:
在庫あり
3.46(15 件 / 楽天ブックス)
初級者向け
プログラミング教育プログラミング的思考教育理論コンピュータサイエンスデジタルリテラシーカリキュラムデザイン情報教育21世紀のスキルテクノロジーと社会教育改革

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書籍紹介

2020 年、プログラミング教育必修化に向けて問う。キモは、プログラミングではなく「プログラミング的思考」。

技書の森解説

『プログラミング教育はいらない』 (岡嶋 裕史 著、光文社、2019 年 2 月刊) は、光文社新書の一冊として、学校で始まるプログラミング教育が本当に育てるべき力は何かを問い直す本です。副題は「GAFA で求められる力とは?」で、書誌の紹介文によると、2020 年のプログラミング教育必修化に向けて、肝心なのはプログラミングそのものではなく「プログラミング的思考」だと問いかける内容です。子どもにプログラミングを習わせるべきか迷っている保護者や、授業の組み立てを考える教育関係者、そして自分の仕事の価値がどこにあるのかを言葉にしたいエンジニアに向いています。

はじめにと全 5 章の構成、プログラマ像から教育の実際へ

目次は、はじめにに続いて 1 章「プログラミングとは何か?」、2 章「プログラマとは何者か?」、3 章「IT 企業が求める能力とは?」、4 章「プログラミング教育の実際」、5 章「求められる能力と教育」の全 5 章です。章題の並びからは、プログラミングという行為の定義から入り、プログラマという職業、IT 企業が求める能力へと視点を広げたうえで、教育の現場と、求められる能力に見合った教育の姿へ戻ってくる流れと読めます。版元の内容紹介は、ラリー・ペイジやマーク・ザッカーバーグ、ビル・ゲイツといった創業者を引き合いに出し、プログラミングのテクニックだけなら彼らより優れた者も多いとしたうえで、違いはアイデアと、そのアイデアを実製品 / 実サービスに結びつける能力にあると述べています。版元のページには「ジョブズ、ザッカーバーグを教育で生み出せるのか?」という問いも掲げられています。

プログラミング的思考とコーディングの技能を分けて考える

この本の問いを読み解く鍵は、プログラムを書く技能と、その背後にある考え方を分けることです。プログラムは、処理を順に並べる順次、条件によって処理を切り替える 条件分岐、同じ処理をくり返す ループ という少数の構造の組み合わせで書けます。言語の文法や開発ツールの操作は時代とともに移り変わる一方、解きたい問題を手順に分解し、組み合わせを試し、うまくいかなければ原因を探して直すという考え方は、道具が変わっても残ります。問題を解く手順そのものを アルゴリズム として組み立てる力は後者に属し、書誌の紹介文が示すとおり、本書の主眼もこちらにあります。さらに版元の内容紹介が強調するのは、その先にある、アイデアを製品やサービスの形にする力です。著者は刊行時の版元の著者紹介で中央大学総合政策学部准教授とされ、『ブロックチェーン』 (講談社ブルーバックス) や『アップル、グーグル、マイクロソフト』 (光文社新書) などの著書があります。

手を動かす入門書ではない新書、合う読者と合わない読者

本書は新書の読み物で、目次の章題も言語の入門や演習を示すものではありません。子どもと一緒に手を動かせる教材や、特定の言語の文法を一から学ぶ本を探しているなら、目的が合いません。また、刊行は必修化を前にした 2019 年 2 月であり、その時点の議論として読むのが適切です。その後の学校現場での運用や教材の変化を知る本ではない点も押さえておくと、期待とのずれを防げます。

裏返せば、プログラミング教育を「子どもにコードを書かせること」と同一視してよいのかを考えたい人や、IT 企業が人材に求める力と学校教育の関係を一度筋道立てて整理したい人には、短い分量で論点をつかめる一冊です。習い事や教材を選ぶ前の判断軸を持ちたい保護者や、自分の職業の価値をテクニック以外のところで説明したいエンジニアにとって、手に取る価値があります。

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