いちばんやさしいアジャイル開発の教本 人気講師が教える DX を支える開発手法

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いちばんやさしいアジャイル開発の教本 人気講師が教える DX を支える開発手法の表紙
プログラミング
著者:
市谷聡啓; 新井剛; 小田中育生(イチタニトシヒロ; アライタケシ; オダナカイクオ)
出版社:
インプレス
出版日:
2020年05月01日頃
ISBN:
9784295008835
在庫:
在庫あり
4(22 件 / 楽天ブックス)
中級者向け
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書籍紹介

DX 時代を迎えた今、「アジャイル開発」が注目されています。アジャイル開発は、短期間でリリースして改善するサイクルを繰り返すことでニーズを的確にとらえ、すばやくプロダクトを送り出すための開発手法です。本書は、ソフトウェア開発の現場でアジャイル開発を実践してきた著者陣が、その知見を丁寧にまとめたものです。どう実践してよいかわからないという人でも読んだその日から自分の現場で取り組めるように、具体的なやり方が豊富な図とともに解説されているのが特徴です。

技書の森解説

アジャイル開発を自分の現場で始めたいのに、何から手を付ければよいか分からない。そうした担当者に向けて、考え方と最初の一歩を図解で示す入門書が『いちばんやさしいアジャイル開発の教本』 (市谷聡啓 / 新井剛 / 小田中育生 著、インプレス、2020 年 5 月刊) です。版元は本書を、ソフトウェア開発の現場でアジャイル開発を実践してきた著者陣がその知見をまとめたもので、どう実践してよいか分からない人でも読んだその日から自分の現場で取り組めるように、具体的なやり方を豊富な図とともに解説した一冊だと紹介しています。副題は DX (デジタルトランスフォーメーション) を支える開発手法という位置づけを掲げており、書名の「いちばんやさしい」が示すとおり、予備知識のない読者を最初から想定した本です。

全 8 章の構成、アジャイル開発の世界からカイゼン手法まで

構成は全 8 章で、章番号は 1 から始まります。第 1 章「アジャイル開発の世界」と第 2 章「なぜアジャイル開発なのか」でこの開発手法が何を解決しようとしているのかを押さえ、第 3 章「アジャイル開発がもたらす変化」、第 4 章「アジャイル開発の中核にあるコンセプト」で考え方の芯を固めます。後半は第 5 章「小さく始めるアジャイル開発」、第 6 章「上手に乗りこなすためのカイゼン手法」、第 7 章「アジャイル開発の理解を深める」と進み、第 8 章「アジャイル開発はあなたから始まる」で締めます。章題を見る限り、特定フレームワークの手順を並べる本ではなく、なぜそうするのかという理由を先に置き、そのうえで現場での始め方と続け方を扱う流れです。版元の紹介文が「短期間でリリースして改善するサイクルを繰り返す」と要約する開発手法を、考え方から実践へと順に下りていく構成だと言えます。

短いサイクルでニーズをとらえ直す、アジャイル開発の技術背景

アジャイル開発 が生まれた背景には、ソフトウェアの要求は作る前に確定できないという経験的な事実があります。要件定義、設計、実装、テストを一方向に進める従来型の進め方は、最初に決めた要求が正しいことを前提にしますが、実際には作って動かしてみるまで本当に必要な機能は分かりません。そこで期間を短く区切り、動くソフトウェアを実際に使ってもらった反応から次に作るものを決める、という反復のやり方が広まりました。スクラム はその代表的な枠組みで、スプリントと呼ばれる固定長の反復、優先順位付きのバックログ、反復ごとの ふりかえり といった要素で成り立っています。難しいのは、こうした手法の形だけを導入しても効果が出ないことです。朝会やふりかえりを儀式として続けているのに、リリースの間隔も手戻りの量も変わらないという現場は珍しくありません。手法の背後にある目的を理解し、自分たちの状況に合わせて小さく試し、改善を続けるという姿勢が伴わなければ、アジャイル開発は名前だけのものになります。本書が理由から始めて、小さく始める方法と乗りこなすためのカイゼンに章を割いている構成は、この落とし穴に対する解答として読めます。

予備知識なしで読める前提と、手法の規定集を求める人には向かない点

前提知識はほとんど要りません。版元が「どう実践してよいかわからないという人でも」読める本として紹介しているとおり、開発手法の用語を知らない状態から読み始められます。刊行当時の著者紹介によれば、市谷聡啓氏と新井剛氏は株式会社エナジャイルの代表と取締役 COO、小田中育生氏は株式会社ナビタイムジャパンの VP of Engineering で、いずれも組織へのアジャイル開発の導入や支援に携わる立場にあり、本書はその実践知を入門者向けに平易にほどいた本です。一方で、スクラムの公式ガイドにある役割や作成物の定義を逐条で確認したい人、複数チームにまたがる大規模な展開手法の詳細を知りたい人にとっては、章題レベルで見る限り本書の主戦場ではありません。そうした目的にはフレームワークの解説書や大規模アジャイルの専門書を別に用意し、本書はその前に考え方の地図を作る本として位置づけるのが適切です。

チームリーダーとして初めてアジャイル開発の導入を任された人、DX の名の下に開発の進め方を変えるよう求められている人、フレームワークの本を読んだのに自分の現場でどう始めればよいか分からず止まっている人にとって、投じた時間の回収が早い一冊です。理由と最初の一歩を図解で押さえてから手法の詳細へ進む順番は遠回りに見えますが、形だけの導入で頓挫する時間を省けると考えれば、本書は出発点として堅実な選択です。

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